【※R-18】イケメンとＢＬ♡したいだけ

転生

花奈はある日突然、交通事故であっけなくこの世を去った。
あぁ、ろくな人生じゃなかったなぁと思いながら、走馬灯をぼんやり眺める。

（あれ・・、そういえば、あのBLゲームまだやってないじゃん・・？！）

来週発売になるBLゲームの新作を楽しみに予約していたことを思い出す。

（いやいやいや、あのゲームやらずして死ねないよ？！私？！）

学園モノの総モテBLゲーム。色々なタイプのイケメンから攻められまくるっていう夢のシチュエーション。BL大好き腐女子の名にかけて、全員落としてやろうと意気込んでいたというのに。

（前評判が良かったからめちゃくちゃ楽しみにしてたのにぃぃぃ・・・！）

花奈はそんな激しい後悔と無念を残し、３０年という人生の幕を下ろすことになった。


♢♢♢♢


「ライト、いつまで寝てるの？遅刻しても知らないよ。」

ぱちっと電源が入るみたいに目が覚めた。
花奈は勢いよくベッドから起き上がる。遅刻常習犯。
私の朝はいつだって一秒の余裕もなく慌ただしい。走って出勤が常の花奈は、あと１０分早く起きればいいのに、と毎朝嘆いている。

なんだか妙に軽い身体に違和感を覚えて、ぼやけた頭で洗面所に向かう。

「え・・・？え～～～！？！？！？！？？！」

鏡を見て大声をあげる。
三十路OL花奈は・・・信じられないほど綺麗な顔立ちの美少年に生まれ変わっていた。

（え？なにこれ、え？マジで？これが私の顔ぉ？！？！）

「ちょっとライト、朝っぱらから何騒いでるの？」

いつの間にか後ろに、これまた美少年が立っている。
柔らかい笑顔、おっとりとした話し方、気品が感じられる美しい顔立ち。
顎くらいまで伸びた髪をさらりとなびかせて、涼しげな顔でこちらを見ている美少年。

「あ！え？え～っと・・誰？！」

「ライト、頭でも打ったの？それとも熱？」

美少年は眉間にシワを寄せて心配そうにググイっとこちらへ近づいていた。

（えええ！！すっごい良い香りがする・・・！何この美少年！！！）

花奈は興奮しながら、スンスンと彼の香りを嗅いだ。

（うっわ～綺麗な顔！！毛穴なんて一つもないじゃん！！）

額をコツン、と合わせて、熱はないね、と呟いた美少年に思わず鼻血が吹き出しそうになる。

「ちょっとライト？俺は君の兄のリヒトだよ？朝からふざけるのやめて。」

ポンポン、と頭を叩いて、彼は微笑んだ。

「ねぇ、もう類君迎えに来てるよ？あまり待たせないようにね。」

「・・・は～い。」

寝起きでぼんやりしていた頭が、少しずつクリアになってくる。

花奈はなぜか、少年の記憶を持っていることに気が付いた。

（水上ライト。僕の名前だ。）

花奈は、BL大好き腐女子の記憶を持ったまま、美男子高校生「水上ライト」に生まれ変わったのだった。