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宗と大我
しおりを挟む宗と迎える、何度目かの朝。
ベッドから起き上がった彼が、下着姿のまま部屋のドアを開けると、そこには大我の姿があった。
「おはよう、大我君。」
大我が部屋の前に居ると、どうしてわかったのだろう。
悪人の勘なのか、コンビ間の絆が成せる技なのか。
それとも、早朝から二人揃って仕事なのだろうか?
事態が飲み込めず、寝ぼけた頭のまま起き上がると、処女を捧げた相手、大我とばっちり目があった。
丸裸で眠っていた事に気付き、慌てて床に落ちた服を拾い上げる。
服の散乱具合で、昨晩宗と激しく求め合ったことが一目瞭然だ。
大我に、その事実を見せつけるのは気が引けた。
(大我君・・・私と宗さんが寝たこと・・・どう思ってるんだろう・・・?きっと傷つけちゃったよね・・・?)
宗に抱かれている間、大我に抱かれた時の記憶が、フラッシュバックのように何度も頭に浮かんだ。
愛されているのだと実感できる、優しい触れ方や、甘い視線。
鍛え上げられた肉体、淫らな腰の動き。
あの夜の彼の全てが、脳裏に鮮明に焼き付いている。
「宗さん・・・っ・・・ユミが嫌がることしてねぇだろうな。」
部屋に入ってきた大我は、未だ下着姿の宗にイラつきながら、ソファーに置いてあるバスローブを投げつけた。
「嫌がるどころか、悦び狂っちゃって大変だったよ。ユミを先に抱いた大我君ならわかるでしょう。あの女が、どれほど淫乱か。」
「・・・どんな時でも、ユミのことは、大事に扱えよ。俺の女だ。」
大我が本気で怒っているのが、わかる。
「大我君、ユミはもう、俺の女だよ?優しいだけのセックスじゃ、満足できない身体になったから、大我君の出る幕は無いと思うけど。」
鋭い目つきで睨み合う二人。
人生何が起きるか、わからない。
私を取り合って言い争っている二人は、国宝級のイケメンだ。
黒艶髪の美人系イケメンと、強面ヤンチャ系イケメンが、私を取り合って言い争っている。
二人並ぶと、大我のガタイの良さが目立つ。がっしりとした肩や背中。
宗のスラリとした華奢な身体の作りも、儚げで妙に艶っぽく見えた。
二人一緒にいると、それぞれの個性が浮き彫りになって、どちらの魅力も引き立って見える。
「こんなの・・・耐えられねぇよ。ユミが・・・俺以外の男に抱かれるなんて・・・」
(大我君・・・♡そんなに私のことを・・・・♡)
苦しそうに歪めた顔も、たまらなくセクシーで絵になる。
「大我君、こういう状況は、楽しんでなんぼだよ?他の男に汚された女を抱くのって、調教しがいがあるし、燃えない?」
「俺には、そういう変態な趣味はねぇんだよ。」
低く威圧的な、大我の声。
男同士の縄張り争いとは、こうも女を興奮させるものなのだろうか。
雄の本能丸出しで言い合う二人を、私は恍惚の表情で見つめていた。
「大我君は、優しくて愛のあるセックスがモットーなのかな。まぁまだ若いから、経験も浅いだろうしね。」
「誰の経験が、浅いって・・・?」
大我は完全に、宗の挑発に乗せられている。
頭に怒りマークをいくつも浮かべた彼は、眉間に深い皺を寄せながら、宗にガンを飛ばす。
宗は全く動じずに、涼しい笑みを浮かべたまま、その視線を受け止めていた。
「違うの?じゃあ、俺に見せてみてよ?大我君の経験値。」
「望むところだ・・・!宗さん、後悔すんなよ!」
(え・・・?見せてみるってなに・・?どうやって・・・?!)
「鍛え上げた俺の身体見て、ビビるなよ?」
大我は頭に血が上り、完全に戦闘モードに入っている。
(オラオラ系の大我君も、かっこいい・・・・♡)
「身体は鍛えられるけど、あそこはねぇ・・・元々の能力値の差が、ものを言うんじゃない?」
宗は、大我の下半身に視線を向けながら、嘲笑して見せた。
(うわ、宗さんって本格的に性格悪いなぁ・・・人を怒らせる天才・・・・?)
「宗さんこそ、随分自信あるみてぇだけど、俺のを見て自信喪失しても知らねえからな。」
「大我君は今以上に、俺に頭上がらなくなっちゃうんじゃないかなぁ。」
(いつまで続けるの・・・この二人・・・・)
ヒートアップしている二人のイケメンを横目に、あくびが止まらない。
昨夜の情事のおかげで寝足りない私は、再び睡魔に襲われていた。
「ってことで、俺たちコンビで、今からお前の身体を好きにさせてもらうから。いいよね?」
大我と私の間に割り込むように立ちはだかった宗が、にっこりと私に笑顔を向ける。
聞いてたか・・?と威圧的な目で見つめられ、その瞳を見ただけでゾクゾクしてしまう自分が怖かった。
やはり私は、彼のこの目に弱い。
「・・・いいよね?」
(こ・・・こわ・・・無言の圧力・・・・宗さんの笑顔、怖すぎ・・・!!)
有無を言わせぬ笑顔の圧力に、私は黙って頷くしかなかった。
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