上 下
24 / 62

ペアの絆

しおりを挟む



「初めまして!俺、修斗しゅうとっス!!こっちはパートナーのゆめ君。ほら、夢君こっちにおいで。」

ゆめという男性の手をぎゅっと握って、私の前へ連れてきた赤毛の男性は、修斗しゅうとと名乗った。
赤髪のウルフヘア。エクボが可愛い。
少年のような屈託くったくのない笑顔と、ヤンチャな印象が共存しているこのイケメンは、握手をしようと私に手を差し出す。

(この組織って・・・ほんと顔面偏差値どうなってんの・・・・?)


こんなにたくさんのイケメンを見られる機会は、滅多にない。
悪の組織だというのに、アイドルグループと勘違いしてしまうほどに、色々なタイプのイケメンが在籍している。

外の世界で自由に生きていた頃より、監禁生活の方がイケメンをおがめる率が高いなんて、世の中一体どうなっているのだろう。


「よろしくお願いします。」

(イケメンの手に触れられる幸せ・・・♡監禁生活万歳・・・♡)


「彼は、俺の大切なパートナーの夢君です。可愛いでしょ!こう見えて成人男子なんですよ!信じられます?」

修斗は、矢継やつばやまくし立てた。
このペアは随分仲が良いらしい。パートナーとしての絆がとても強そうだ。
修斗は、いかにも自慢のパートナーだと言うように、夢を一歩前に押し出して紹介する。


「あ、あ、あの・・・僕、夢っていいます。よろしくお願いします・・・!」

ふわふわしたピンク色の髪。
タレ目で甘ったるい顔立ちの男性が、震える声でそう言った。


(か・・・可愛い・・・・♡)


「こちらこそ。」

よろしく、と手を伸ばす。
ひぇ!!っと可愛い悲鳴をあげて、彼は後ずさった。


「すんません!夢君は極度の恥ずかしがり屋さんで・・・そこがまたチャーミングなんすよねぇ。」

「はぁ・・なるほど。」


惚気のろけか・・?惚気のろけを聞かされているのか・・・・!?)


仲睦なかむつまじい二人の様子に癒されて、自然と笑顔になる。
イケメン二人のじゃれあいは、目の保養にもってこいだった。


「大丈夫、夢君なら、出来るよ・・・!」

「でも・・・修斗君・・・僕・・・」

ヤンチャ系の赤毛イケメンが、幼顔の内気イケメンの肩を優しく抱きしめてささやいている。


(何これ・・・なんかイケナイものを見ている気分になるんですけど・・・!?)

2人の距離は近い。

どちらもイケメンなので、やたらと絵になる。


「俺、ゆめ君のそういう勇気が出なくてうじうじしちゃうとこも、大好き!」

修斗しゅうと君の・・・底抜けに優しいところ・・・好きです・・・!」


(告白しあってる・・・・・とうとすぎる・・・・・♡)




彼らのやりとりを見ていて、私は先日の告白を思い出していた。


『お、俺・・・お前が・・・・お前が・・・っ好きなんだよ・・・!!』

ーーー栄華からの愛の告白。


(あれってまさかハニートラップとか・・・・?!だとしたら、上手すぎる・・私、栄華君のことばっかり考えちゃってるし・・・・)

あの後、伊吹いぶきが急な仕事だと言って栄華えいがを呼びにきて、それ以来彼とは会っていなかった。

真剣な気持ちをぶつけられるのは、悪い気がしない。
特に相手がイケメンだと、すぐに心が揺れ動いてしまうのだった。



♢♢♢


「今夜の当番は、俺っス!!」

夜、部屋にやってきたのは、知り合ったばかりの修斗しゅうと

彼は人懐っこい笑顔を浮かべながら、可愛いパジャマを持参している。


「これ実は、ゆめ君とお揃いのパジャマで・・・すごい可愛いでしょう♡」

二人は本当に、仲が良いらしい。


(一緒に来ても良かったのに。二人のイケメンにはさまれて眠るとかいいなぁ・・・♡)


よからぬ妄想を繰り広げているうちに、彼はサッとパジャマに着替え、ベッドに潜り込んだ。



「俺・・女の人と同じ部屋で寝るとか、初めてなんで・・・や、優しくしてくださいっス・・・!」

赤面した修斗が、上目遣いで私を見つめる。



(え?・・優しくって・・・何を・・・・?)

私は、心の中で渾身こんしんのツッコミを入れながら、今日知り合ったばかりのイケメンを見つめ返した。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪

奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」 「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」 AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。 そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。 でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ! 全員美味しくいただいちゃいまーす。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

囚われの姫〜異世界でヴァンパイアたちに溺愛されて〜

月嶋ゆのん
恋愛
志木 茉莉愛(しき まりあ)は図書館で司書として働いている二十七歳。 ある日の帰り道、見慣れない建物を見かけた茉莉愛は導かれるように店内へ。 そこは雑貨屋のようで、様々な雑貨が所狭しと並んでいる中、見つけた小さいオルゴールが気になり、音色を聞こうとゼンマイを回し音を鳴らすと、突然強い揺れが起き、驚いた茉莉愛は手にしていたオルゴールを落としてしまう。 すると、辺り一面白い光に包まれ、眩しさで目を瞑った茉莉愛はそのまま意識を失った。 茉莉愛が目覚めると森の中で、酷く困惑する。 そこへ現れたのは三人の青年だった。 行くあてのない茉莉愛は彼らに促されるまま森を抜け彼らの住む屋敷へやって来て詳しい話を聞くと、ここは自分が住んでいた世界とは別世界だという事を知る事になる。 そして、暫く屋敷で世話になる事になった茉莉愛だが、そこでさらなる事実を知る事になる。 ――助けてくれた青年たちは皆、人間ではなくヴァンパイアだったのだ。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~

ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。 ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。 一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。 目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!? 「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...