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『欲求不満?』
しおりを挟む「俺も赤ちゃん欲しい~♡繭、赤ちゃん作ろ~。」
にっこりと無邪気な笑顔で私を見た晴日に、その場にいた夫たちがギョッとした顔で注目した。
リビングのソファーでハルをあやしながら、晴日はハァと幸せなため息を吐き出す。
彼は、赤ちゃんが好きらしい。
「赤ちゃんって、すごく可愛いねぇ。」
ほっぺにツンと指で触れると、ハルはキャッキャと可愛い声で嬉しそうに笑った。
夫の晴日は、いわゆる「不思議ちゃん」に分類されるタイプの男性だ。
突拍子もなく話はあちこち自由に飛んでいくし、こちらが問いかけた内容と違う答えが返ってくる。話はほとんど噛み合わない。彼は別次元の世界で生きているのだ。
彼のギャップは、すごい。
ふわふわと視線が宙を舞い、空想の世界へ入り込んでいると思っていたら、突然解読不能な数式だらけの本を熟読していたりする。
物理学を専攻する彼は、物理の世界に没頭していると、まるで別人のように男らしい。
今まで何度か当て日を一緒に過ごしたけれど、ほとんどが彼の寝落ちで幕を引いている。
あるいは突然に物理スイッチが入り、同じベッドに私がいることさえ忘れ去られるというパターン。
♢♢♢
「まだヤってないんでしょ?」
乾燥機から服を取り出していると、夫の愛が洗濯物を持ってやってきた。
「え・・?」
「晴日と。まだヤってないんでしょ?」
今夜は晴日と一緒に過ごす、久々の当て日だった。
愛は、晴日と仲が良い。
彼から夜の営みについて、何か聞いているのかもしれない。
「俺相手に、隠すことじゃないでしょ。」
愛は、言いにくいこともズバッと口にする。
確かにそうだ。夫婦なのだから、恥ずかしがる必要はない。
「アイツ、物理バカだから、繭の方からグイグイ行かないと、一生無理だよ。」
「私には、全然興味ないみたいで・・・」
「アイツが本読んでても無視して押し倒して、繭が上に乗っちゃえば?それくらいしなきゃ、一線越えるのは難しいかもね。」
「お、押し倒して、上に・・・?!」
愛は女性のような可愛い顔立ちをしているけれど、中身はものすごく男らしい。
可愛い顔から突如として繰り出されるエロワードに、私はいつもドギマギした。
彼のギャップには、未だに慣れない。
愛に背を向けて、乾燥機から服を取り出す作業に没頭し、心を落ち着かせる。
「何?自信ないんだ?」
愛は、私の背後にピッタリと身を寄せ、抱きしめてきた。
「ちょっと・・愛ちゃん、」
彼は下半身を私のお尻に押し付けるように、腰を動かす。
「繭、騎乗位苦手だもんね。じゃあ・・・俺で練習してみる?」
脱衣所に並んでいるベンチに腰掛けて、愛は試すように私を見た。
挑発的な、彼の視線。
見た目からは想像も出来ないほど激しい、男の欲情。
「溜まってんの?繭・・すげぇいやらしい顔してるよ?」
「愛ちゃん・・・誰か、来たら・・・」
「大丈夫、この時間は学生組しかいないし。アイツらこんな時間に洗濯しないでしょ。」
言われるがままに、愛の挑発に乗ってしまった。
彼の肩を両手でぐっと押して、ベンチに押し倒す。
「そんな優しいやり方じゃダメだよ。もっと激しく・・俺を求めて?」
彼に跨ると、太ももに欲望が触れた。
楓とハルが退院して来るまでの間、バタバタと忙しく動き回っていたので、しばらく夫たちと寝ていない。
久々の感覚に、興奮して息があがる。
夢中で彼のベルトを外し、自分の下着を脱ぎ捨てると、スカートを巻くし上げた。
「これを、どうしたいの?」
彼は大きく硬くなったペニスの根本を手で押さえ、私に見せつける。
「ねぇ、ちゃんと言わなきゃ、あげないよ?」
「私の・・ここに・・・愛ちゃんの・・・・大きいの・・・欲しいよぉ・・っ」
秘部を彼の中心に押し当てて、おねだりする。
私の身体は相当な欲求不満だったらしい。恥ずかしさよりも、欲望が勝っていた。
ガタン、と大きな物音がして、ハッと我にかえる。
「お・・驚いたな。悪い・・邪魔するつもりは、なかったんだが・・」
そこには洗濯カゴを抱えた律と、顔を真っ赤にした音弥が、立ち尽くしていた。
音弥の洗濯カゴは床に落ち、衣服が派手にぶちまけられている。
「マ・・・マユたんすげー・・・・!俺もやって欲しいっす・・・・!!」
音弥が放心状態のまま、叫ぶ。
羞恥心のあまり、私の世界は一瞬にして暗転した。
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