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『イケメン夫たち』
しおりを挟むある日突然、宇宙で謎の大爆発が起こり、人類のほとんどが死滅してしまった。
特に「女」という生き物は絶滅寸前と言われるまでに減ってしまい、人類滅亡を回避しようと色々な策が講じられている。
私、折原 繭は数少ない女性の生き残りとして、この度政府からある施設で生活するようにとお達しがあった。
(噂には聞いていたけれど、本当にこんなところが存在するなんて・・・)
政府の人間に案内され到着したのは、大きな屋敷の前。
「ここが今日からあなたの自宅です。」
学生寮のような雰囲気を持つ大きなその屋敷は、綺麗に整備されていた。花であふれた中庭には噴水まである。一体何人で暮らすというのだろう。事前説明ではざっくり数十人としか聞かされていない。
ここで暮らす男性は全員私の「夫」だ。
人類滅亡を食い止めるため、私に与えられた使命は彼らと子作りすること。こんな世の中とはいえ、本当にそんなことが可能なんだろうか?
私は少し不安になりながら、扉を叩く。
「繭さん!お帰りなさい。」
そこには「夫」という言葉に似つかわしくない、少年のような笑顔が待っていた。
「はじめまして。僕、楓って言います。あなたの・・夫です!」
恥ずかしそうに顔を赤らめて自己紹介する彼は、「純粋」「素直」という言葉がぴったりの人懐っこい男性だった。
(か・・・可愛い・・・。少年みたいなこの子が・・・私の夫・・・?!)
「やあ。もう着いたんだ。早かったね。」
講堂のようなリビングに通されると、そこには数人の男性が待っていた。
(え・・・揃いも揃って全員イケメン・・・・?)
私は夫たちの顔を、一人一人順番に見回した。
見間違えじゃない。全員イケメンだ。
「俺は慶斗。はじめまして。」
慶斗と名乗る男性は、サラサラヘアに銀色の細縁メガネ。いかにも知的で優秀な雰囲気が醸し出されている。長身で手足が長く、スタイルが良い。
(この人も、私の夫・・・?まごうことなきイケメン・・・ちょっとカッコ良すぎない・・??)
「君の夫は数十人いるし、全員一気に覚えるのは大変だから、徐々に紹介していくことにするよ。」
彼は涼しげな顔に、美しい微笑みを浮かべた。
「お~、早かったな。午後からって聞いてたんだけどぉ?」
ソファーに腰掛ける茶髪、ボブヘアの男性。チャラくていかにもナンパな印象だけど、ここに居るということは優秀な男性なのだろう。
「桜雅、ちゃんと挨拶して。」
慶斗に促されて、チャラ男は立ち上がって私の前に立った。
長身で、驚くほど手足が長い。顔が小さくて、モデルみたいだ。ラフな服装がよく似合う。
「はいはい。繭ちゃんだっけ?俺は、桜雅。よろしくな。」
手を差し伸べられて慌てる。これほどのイケメンに触れる機会が、私の人生に訪れるなんて。
「よろしくお願いします。」
「おわっ!だ・・・誰かと思った。もう着いたのか?」
リビングに入ってきた明るい髪色の男性が、私を見て大袈裟に飛び退いた。
「繭です。よろしくお願いします。」
「・・煌大だ。よろしく。」
彼は恥ずかしいのか、顔を赤くして目を逸らしながら私の手を握った。
それにしても見渡す限り、全てイケメン。
選び抜かれた優秀な遺伝子を持つ男性たちと聞かされていたけれど、それって顔も関係あるのだろうか・・?
イケメンだらけの屋敷の中で、私は緊張しっぱなしだ。
(これが全員、私の夫・・・・?)
「俺たちはもうかなり前から一緒に暮らしてるんだ。みんな仲が良いから安心して。君もゆっくり馴染んでいってくれたらいいよ。」
慶斗がそう言うと、周りの男性たちも顔を見合わせて頷く。
これが私と、イケメン夫たちとの共同生活の始まりだった。
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