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何度生まれ変わっても (SIDE 千聖)

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「またお前か・・・」

「それ、こっちのセリフ。」

何度生まれ変わっても、こいつは俺の目の前に現れる。
どんなに容姿が変わっていようとも、出会った瞬間にわかってしまう自分が忌々しい。

一体何の因果だろう。
プラチナブロンドの美青年を頭の上からつま先まで見下ろして、はぁと深いため息をついた。

「で?お前の名前は?」

「は?忘れたの?お前、生まれ変わるたびに脳みそ劣化してない?」

「じゃなくて、今世でのお前の名前だ。」

「あぁ。」

なるほど、と納得したように頷いて、彼は名前を口にする。

水音みずね天崎あまさき 水音みずね。」

「今世では、随分綺麗な名前をもらったじゃないか。」

お前は?と問いかけるように、彼の視線が動く。
言葉がなくても彼の考えていることがわかる。

それくらいに俺たちは、何度も何度も出会っているのだ。

「俺は千聖ちさと琉月りゅうげつ 千聖ちさとだ。」

俺たちは500年前、同じ男を愛した同志だった。
ルビィという、人生でたった一人の運命の男。

彼を失い絶望した俺たちは、次の世で共に彼を奪い合うと誓ったのだ。



「今考えてみると、バカみたいな話だよね。」

図々しく俺の部屋に上がり込んで、ベッドに寝転ぶこいつは500年前から何も変わっていない。
抑揚のないウィスパーボイス、こちらがもどかしく思えるほどのスローペースで喋る、無表情なこの男。

「千聖は今何してんの?随分いい部屋に住んでるじゃん。」

「弁護士だよ。お前は?どうせ今世でもちゃんとした職についてないんだろ?」

ルビィを守る騎士として、俺たちは最初の人生を彼に捧げた。
それ以降何度生まれ変わっても、こいつはまともな職についていた試しがない。

「ヒモ・・?っていうんだっけ。この顔のおかげで、生活には困ってない。」

なんつうダメ男だ、こいつは。
確かにルックスは良い。どんなルーツかまるでわからないが、プラチナブロンドにブルーの瞳、ポーカーフェイスでミステリアスな印象が女性に好かれそうな色男だ。

「俺はただここにいるだけで良いって、みんなが・・」

「みんなって何人女をはべらせてるんだ?」

呆れてものも言えない。
甘え上手で、人の懐に入り込むのが得意。それは500年前からちっとも変わっていない。

何度生まれ変わっても巡り会う恋敵に、俺はもう何度目かわからないため息を吐き出した。

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