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元カレ
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「真美ちゃん?」
「あ・・・・カズ君・・・?」
スーパーでばったり会った相手に、思わず顔を背けたい気持ちになった。
モデルのように長い手足、ツルツルの美肌、小顔にウルフヘアがよく似合う。
周囲の目を惹くイケメンが、人懐っこい笑顔を浮かべながらこちらへ向かってくる。
「真美ちゃんじゃーん。久しぶり!全然変わってないね?やっぱ可愛いなぁ♡」
相変わらず口がうまい。思ってもないことを平気で口にする能力がずば抜けているチャラ男君。
彼はいわゆる「元カレ」と言うやつだ。
「元気そうだね・・・。」
「俺?めちゃくちゃ元気だよ~。でも・・・真美ちゃんに振られてからしばらく本気で落ち込んだんだよ?」
ギャップ攻撃。私はこの男のこの表情に弱い。
いつもはチャラチャラ軽口を叩いているくせに、突然しおらしい態度でじっと見つめてくる。
寂しがりやの子犬のような瞳。
別れようと決意するたびに、この顔にやられてずるずると関係を続けてしまった過去を思い出す。
「誰?」
飲み物コーナーから炭酸片手に戻ってきた浅葱が、私と彼を交互に見る。
「昔の知り合い。今ばったり会って。」
元カレということは、伏せておきたい。
「あれあれ?弟君?」
彼には、全く悪気がないからタチが悪い。
浅葱を見るなり馴れ馴れしさ全開で、ニコッと笑顔を向けた。
「弟なんていないってば。カズ君・・私一人っ子だったの忘れた?」
呆れてものも言えない。三年も付き合っていたのに、私の家族構成さえこの男はまるで覚えていないのだ。
彼にとって自分がどれほど軽い存在だったのか、今になってみればはっきりとわかる。
浅葱がムッとした表情で、私を庇うように一歩前に身を乗り出した。
「真美と一緒に暮らしてる、藍田 浅葱です。あんた誰?」
「え?彼氏君?若・・っ・・!真美ちゃん、やるじゃん。」
私の頭をわしゃわしゃと無遠慮に撫で回す癖・・・全く変わっていない。
共に過ごした薄っぺらい三年間の思い出が頭をよぎり、私は思い切り脱力した。
「じゃあ、私たち急いでるからこれで。カズ君、元気でね。」
一刻も早く立ち去りたくて、私は浅葱の腕を引っ張ってその場を離れる。
「真美ちゃん、近々また会おうよ。連絡するね~。」
背後から大声で甘ったるい声を出す元カレに、信じられない気持ちで振り返った。
彼はヒラヒラと手を振っている。
あはは・・と苦笑いで誤魔化すと、浅葱の何かいいたげな視線が私を射抜いた。
「何。あいつ・・真美の元カレ?」
(か、完全に・・・バレてる・・・・・・)
どう説明しようか・・と、頭を抱える。
私は過去のくだらない恋愛遍歴を、心底呪いたい気持ちになった。
「あ・・・・カズ君・・・?」
スーパーでばったり会った相手に、思わず顔を背けたい気持ちになった。
モデルのように長い手足、ツルツルの美肌、小顔にウルフヘアがよく似合う。
周囲の目を惹くイケメンが、人懐っこい笑顔を浮かべながらこちらへ向かってくる。
「真美ちゃんじゃーん。久しぶり!全然変わってないね?やっぱ可愛いなぁ♡」
相変わらず口がうまい。思ってもないことを平気で口にする能力がずば抜けているチャラ男君。
彼はいわゆる「元カレ」と言うやつだ。
「元気そうだね・・・。」
「俺?めちゃくちゃ元気だよ~。でも・・・真美ちゃんに振られてからしばらく本気で落ち込んだんだよ?」
ギャップ攻撃。私はこの男のこの表情に弱い。
いつもはチャラチャラ軽口を叩いているくせに、突然しおらしい態度でじっと見つめてくる。
寂しがりやの子犬のような瞳。
別れようと決意するたびに、この顔にやられてずるずると関係を続けてしまった過去を思い出す。
「誰?」
飲み物コーナーから炭酸片手に戻ってきた浅葱が、私と彼を交互に見る。
「昔の知り合い。今ばったり会って。」
元カレということは、伏せておきたい。
「あれあれ?弟君?」
彼には、全く悪気がないからタチが悪い。
浅葱を見るなり馴れ馴れしさ全開で、ニコッと笑顔を向けた。
「弟なんていないってば。カズ君・・私一人っ子だったの忘れた?」
呆れてものも言えない。三年も付き合っていたのに、私の家族構成さえこの男はまるで覚えていないのだ。
彼にとって自分がどれほど軽い存在だったのか、今になってみればはっきりとわかる。
浅葱がムッとした表情で、私を庇うように一歩前に身を乗り出した。
「真美と一緒に暮らしてる、藍田 浅葱です。あんた誰?」
「え?彼氏君?若・・っ・・!真美ちゃん、やるじゃん。」
私の頭をわしゃわしゃと無遠慮に撫で回す癖・・・全く変わっていない。
共に過ごした薄っぺらい三年間の思い出が頭をよぎり、私は思い切り脱力した。
「じゃあ、私たち急いでるからこれで。カズ君、元気でね。」
一刻も早く立ち去りたくて、私は浅葱の腕を引っ張ってその場を離れる。
「真美ちゃん、近々また会おうよ。連絡するね~。」
背後から大声で甘ったるい声を出す元カレに、信じられない気持ちで振り返った。
彼はヒラヒラと手を振っている。
あはは・・と苦笑いで誤魔化すと、浅葱の何かいいたげな視線が私を射抜いた。
「何。あいつ・・真美の元カレ?」
(か、完全に・・・バレてる・・・・・・)
どう説明しようか・・と、頭を抱える。
私は過去のくだらない恋愛遍歴を、心底呪いたい気持ちになった。
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