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第三十四話 暗闇の部屋にて グレース視点

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カーテン隙間から一筋の光が射し込み、私を照らしている。
私の人生は完全に終わってしまったの。
そんなことは無いとヘンリーは言うけれど、そんな気休めは要らないのよ。
お腹の子を失い、学園を退学し、私は暗闇の部屋に閉じ籠るようになった。
そんな中、聞こえてくるのはローラの話ばかり、………ローラを中心として学園が改革されるだの、やれ、ローラが次期学園長になるだの、ローラの結婚式が新しく出来る王都で行われるだの、ローラ、ローラ、ローラ、ローラ、ローラ、ローラ!!

皆ローラが大好きで、私は家族からも婚約者からも疎まれるの!
なんでこうなったの?
私の人生は、魔物討伐実習までは全てが私の思い通りになっていたのよ。
なのに、ローラがあんなに弱い学園長しか私達学園の出資者につけなかったからよ。
私達は多額の寄付を学園にしていたの。
それなのに、私達の守りをおろそかにして、私の赤ちゃんを奪ったローラ!憎い!憎い!憎い!憎い!憎!憎い!憎い!憎い!

なんであいつはのうのうと生きて、私はこんな暗闇の中で、皆から嫌われて生きていなくちゃいけないのよ!

私はフュルスト侯爵令嬢なのよ!沢山の事業を成功させたあの父の娘なの。
今はアルフレッドのせいで落ち目になってきているけど、それでもまだまだ新参者どもには負けてないはずなのよ!

そうだわ、あいつらの結婚式があるなら披露パレードの時に殺してしまえば良いのよ!そう思って暗殺者を、ありったけ雇ったのにっっっっっっっ!!!
アルフレッドはすべての殺し屋をあっさりと殺したの、あっさりとよ!
父上の雇ったこの国最強の殺し屋を花火みたいな魔法で一瞬にして殺すなんて、あり得ない……。

そんなときにヘンリーはいつものヘラヘラした顔で私の部屋に入っていて、

「グレース、体調はどうだい?今日は晴れて暖かいから一緒に散歩でもしないか?」

なんて言ってくるから、

「なんでローラばかりが幸せになって……何で私は上手くいかないのよ!何でローラだけ!何で!何で!」

って言って、つかみかかったの。

そうしたらヘンリーは、

「ごめん。」

ってそれだけよ!婚約者を袖にして許せない!あんな奴、私から願い下げよ!婚約破棄をしてやるわ!昔の爽やかなカッコいい男から、あんなヒョロヒョロ、ガリガリの奴に成るなんて詐欺も良いところよ!ローラには絶対に、復習してやるんだから!
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