上 下
32 / 40

第三十二話 学園再開準備とヘンリーの告白

しおりを挟む
新しい王宮での休暇を終え、学園に戻って一か月、ローラの日常が戻ってくる。アルフレッドからの改革案の実行や、施設の改造、新しいカリキュラムの作成と、沢山の仕事に、目が回る様だった。

身体は疲れて辛く感じる事もあったが、それがローラの心を想い人から遠ざけることができ、心が疲れる事はなかった。

何よりこの仕事は、尊敬するアルフレッドの妻として、国の為にローラが出来る唯一の事だと信じていたから。そんななか、今日の仕事も終わりを迎えていた。

「ふぅ、今日も疲れたわね。カール。お疲れ様。」

学園長室にて、ローラがカールに話しかける。

「そうですね、沢山の仕事をこなしましたからね。最近はあまりお休みをとっていらっしゃらないようですが、大丈夫ですか?」

アルフレッドの右腕。今は、次期学園長のローラを助けるべく、補佐役兼ボディーガードとして働くカールが心配そうに尋ねた。

「ありがとう、カール。でも、それは私と一緒に働いている貴方にも言えることよ。貴方こそ大丈夫?」

「質問に質問返しですか?まぁ、そうですね、私は大丈夫です。しかし、ローラ様は少しお疲れのご様子なので、心配です。」

「そお?ん~、仕事に集中しているから、疲れたなんて、感じは無いわね。でも、人から見てそう感じさせるなら、気を付けるわ。ありがとうカール。」

「いえ、そんな、ローラ様、こんなのはどうですか?明日のお仕事は午後からにして見ては?午前中は進捗状況の把握が主なので、休まれて見ては?こちらで進めておきますので、午後に確認していただければ、大丈夫ですよ。何より、学園が再開したときに新学園長が倒れては、また閉鎖ですよ。」

「ちょっと、脅かさないでよカール………でもそれもそうね、わかったわ、明日は午前中お休みを貰うわね。それなら、貴方もお休みしなさい!」

「ハハハ、ありがとうございます。そのお言葉だけで十分ですが、お言葉通りにした方がローラ様もお気持ちが休まりますよね……わかりました。そうさせていただきます。」

こうして、翌日の午前中に休みを得たローラは、久しぶりにヘンリーの屋敷を訪れる。

「久しぶり、ヘンリー。って本当に痩せたわね……。」

「ああ、僕はつかれたよ。」

やつれたと言う表現がピタリと当てはまるほど、ヘンリーの見た目は過去のそれを忘れる位変わり果てていた。

「グレースはそんなに悪いの?」

「ああ、そうだね。僕が彼女に話しかけても、つかみかかられる始末でね。………ここだけの話、もう婚約破棄も考えているよ。」

「そ、そんな、あんなに二人とも幸せそうだったのに………。」

ヘンリーの衝撃的な言葉を受けて、ローラの心は揺れ動くのでした。







しおりを挟む

処理中です...