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第三話 婚約式、グレース視点

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私はグレース、侯爵令嬢として生まれました。

私の父は、事業で大成功し、豊かな生活をさせて頂いています。

そんな私には、二人の幼馴染みがいるんです。

一人は、公爵令嬢のローラ。彼女に対してはずっと劣等感をもっていたの。それは、爵位の違いから?いいえ、そんなものは小さな事、何故なら、彼女は初めて会った時から、常に光輝いていたもの。幼いながらも容姿端麗で、明るい性格、その上に、全ての所作が美しい……。私はこの女には一生勝てない……。そう何度思わされた事か、今でも忘れる事が出来ない。

もう一人は私の婚約者、ヘンリー 卿。初めてお逢いしたあの日の事を私は今でも昨日のことのように思い出せるの。

ローラの屋敷でのお茶会に、彼は現れた。ローラに初めて会った時以上の衝撃を、感じた私の心は、彼に奪われてしまったの。この方とずっと一緒にいたい。ずっと側にいたい。いいえ、私の物にしたい!そう強く思った私は、すぐにお父様にお願いしたの。




「ヘンリー様と婚約したいの!」

「グレース、どうしたいきなり?」

「お父様!お願い!ヘンリー様と、お父様!」

「ん~、そうか、グレースはヘンリー卿と一緒になりたいんだな……。よしよし、パパに任せなさい。」

父が優しく抱き締めてくれる。

「え?本当!パパ、ダ~イスキ!」

それから間もなくして、私はヘンリー様と許嫁になった。爵位も下で、容姿も劣る私が、ローラを差し置いてヘンリー様の婚約者となったの。その話をヘンリー様と一緒にローラに伝えた。あのお茶会の時のローラの顔は、とても悲しげで、寂しそうだった、その時私は初めてローラに勝った気持ちになったのよ。

全てにおいて私を上回るローラに私は勝った。そんな気持ちで私は満たされていた。それは、先日の婚約式の時もそう!許嫁なんてものではなくて、きちんとした婚約者として、皆に示すための式、寂しくなるなんて言うローラを慰めるフリはしたけれど、心のなかはローラに対する勝利!それしかなかった……。そして、私はヘンリー様を深く愛している。皆に優しく、多くの女生徒の憧れの的、沢山の女がヘンリーに言い寄るけれど、彼は私の婚約者なの。才色兼備、頭脳明晰、公爵令嬢のローラさえも彼を手にいれることは出来なかった。それを手に入れた私は勝者なの。

でも、最近ヘンリー様の心が私から離れているように感じる……何故かしら、私は貴方の婚約者なのに、アナタは一生私の物なの!絶対に手離したりしないんだから!

先日、ローラから第二王子のアルフレッド殿下との婚約が決まったと知らせがあった。あの、王国始まって以来の天才魔導師にして、王家の人間、また私は彼女に負けるの?


許せない!

そんな気持ちに私は侵されたの!
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