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第二話 突然の、婚約話
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二人の婚約式から暫くして、ローラは父から呼び出されていた。
「お父様、入ります。」
「ああ、ローラ、待っていたよ。さ、そこへ掛けなさい。」
「はい。失礼致します。」
ローラはソファーに腰を下ろす
「突然呼び出してすまなかったね。」
「いえ、かまいません。………それで、お話と言うのは?」
「ん~、その前に、幼馴染みが婚約をして、二人と会う機会が減ったと、肩を落としている様子だと聞いたが、大丈夫かい?」
「ええ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます。お父様。」
ローラは笑顔を見せる。
「うん、うん、」
「もう会えなくなるわ訳ではありませんし、何より私は二人を祝福しているんです。」
「そうか、なら良いんだ。それで、本題に入るんだが、君に婚約の話がきていてね。」
「え?私にですか?」
「ああ、私も突然の申し入れに何度か確認したのだが、どうしてもと頼まれてしまってね、私としては進めたいんだが、やっぱり娘の幸せを考えたら、確認はしておきたくてね。」
「はぁ。」
「相手なんだが、第二王子の、アルフレッド殿下なんだ。ローラは殿下と面識が確かあったと聞いたが?この話、どう思うかい?」
「はい、アルフレッド殿下は昨年まで生徒会に所属されておりましたので、一緒に活動したことがあります。なので、面識はありますが、事務的な話以外はあまり……。って、え?そういえば、アルフレッド殿下にはエリザベス様と言う婚約者がいたと……」
「ああ、彼女は何でも、浮気をしたとかで、婚約を破棄されている。」
「そ、そうなんですか?エリザベス様は才色兼備、他の生徒からもあこがれの的で、そんな雰囲気は………。お相手は、ハルト様?」
「なんだ、ローラも知っているではないか。まぁ、そんな事で、新しい相手を探しているところに、同じ生徒会の仕事を見事にこなす君に白羽の矢が立ったと言うことだな。」
「いえ、私などは……。」
「そんなに謙遜することもないさ。親バカかも知れないが、君はエリザベスよりも優れていると思うよ。」
「あ、ありがとうございます。……あの、エリザベス様とハルト様は……。」
「ああ、彼女はそんなに男が好きならと、娼館に、彼は王家の婚約者に手を出すなんて、それだけ勇気があるならと、魔物討伐の最前線へと送られたよ。この国で二番目に強かった魔道師が今は行方不明だ。」
「そ、そんな……。」
「まぁ、そんなこともあって、気が進まないなら断わって構わないんだよ。」
「で、でもそれは、殿下がエリザベス様に一目惚れされて、ハルト様とエリザベス様との仲を引き裂いたから………。」
「まぁ、そうなんだが、エリザベス嬢が話を受けた以上、してはいけないことなんだよ。何より、今の王家には、いや、あのアルフレッド殿下には誰も逆らえないんだよ。」
「そ、そうですね。殿下は卓越した魔法使いで、昨年、学園を卒業したばかりなのに、殿下と数人の部隊だけで、多くの魔物を殲滅して、国の領土を 倍増させる程の働きをされていますからね……。え、では、私が断わったら、父上にも何かしらのおとがめが?」
「ああ、そんなもの、わたしが処分される位さ、そうしたら、この家は長男のジョージが継ぐだろう。だから、君には実害はないと思うよ。……そう思いたい。」
最後の言葉は小さく、ローラには聞かせたくなかったが、口からこぼれ落ちてしまった。
「分かりました。このお話、お受け致します。」
こうして、ローラとアルフレッド王子との婚約が決まった。
「お父様、入ります。」
「ああ、ローラ、待っていたよ。さ、そこへ掛けなさい。」
「はい。失礼致します。」
ローラはソファーに腰を下ろす
「突然呼び出してすまなかったね。」
「いえ、かまいません。………それで、お話と言うのは?」
「ん~、その前に、幼馴染みが婚約をして、二人と会う機会が減ったと、肩を落としている様子だと聞いたが、大丈夫かい?」
「ええ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます。お父様。」
ローラは笑顔を見せる。
「うん、うん、」
「もう会えなくなるわ訳ではありませんし、何より私は二人を祝福しているんです。」
「そうか、なら良いんだ。それで、本題に入るんだが、君に婚約の話がきていてね。」
「え?私にですか?」
「ああ、私も突然の申し入れに何度か確認したのだが、どうしてもと頼まれてしまってね、私としては進めたいんだが、やっぱり娘の幸せを考えたら、確認はしておきたくてね。」
「はぁ。」
「相手なんだが、第二王子の、アルフレッド殿下なんだ。ローラは殿下と面識が確かあったと聞いたが?この話、どう思うかい?」
「はい、アルフレッド殿下は昨年まで生徒会に所属されておりましたので、一緒に活動したことがあります。なので、面識はありますが、事務的な話以外はあまり……。って、え?そういえば、アルフレッド殿下にはエリザベス様と言う婚約者がいたと……」
「ああ、彼女は何でも、浮気をしたとかで、婚約を破棄されている。」
「そ、そうなんですか?エリザベス様は才色兼備、他の生徒からもあこがれの的で、そんな雰囲気は………。お相手は、ハルト様?」
「なんだ、ローラも知っているではないか。まぁ、そんな事で、新しい相手を探しているところに、同じ生徒会の仕事を見事にこなす君に白羽の矢が立ったと言うことだな。」
「いえ、私などは……。」
「そんなに謙遜することもないさ。親バカかも知れないが、君はエリザベスよりも優れていると思うよ。」
「あ、ありがとうございます。……あの、エリザベス様とハルト様は……。」
「ああ、彼女はそんなに男が好きならと、娼館に、彼は王家の婚約者に手を出すなんて、それだけ勇気があるならと、魔物討伐の最前線へと送られたよ。この国で二番目に強かった魔道師が今は行方不明だ。」
「そ、そんな……。」
「まぁ、そんなこともあって、気が進まないなら断わって構わないんだよ。」
「で、でもそれは、殿下がエリザベス様に一目惚れされて、ハルト様とエリザベス様との仲を引き裂いたから………。」
「まぁ、そうなんだが、エリザベス嬢が話を受けた以上、してはいけないことなんだよ。何より、今の王家には、いや、あのアルフレッド殿下には誰も逆らえないんだよ。」
「そ、そうですね。殿下は卓越した魔法使いで、昨年、学園を卒業したばかりなのに、殿下と数人の部隊だけで、多くの魔物を殲滅して、国の領土を 倍増させる程の働きをされていますからね……。え、では、私が断わったら、父上にも何かしらのおとがめが?」
「ああ、そんなもの、わたしが処分される位さ、そうしたら、この家は長男のジョージが継ぐだろう。だから、君には実害はないと思うよ。……そう思いたい。」
最後の言葉は小さく、ローラには聞かせたくなかったが、口からこぼれ落ちてしまった。
「分かりました。このお話、お受け致します。」
こうして、ローラとアルフレッド王子との婚約が決まった。
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