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最終話 この手に……
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キースはその後、旧ギネリン王国の全ての貴族、領土を吸収して、エネロワ王国の建国を宣言する。
王となったキースは、軍事面をモーリヤスに、政治面をマルコをトップに据えて、統治を進めていった。
そうして、一年後の時が流れる。
「ちょっと、何で私がこんな風に、何時も探す事になるの?もぅ………。」
ぶつぶつと独り言を呟き、城の中を足早に進むマリア。
廊下ですれ違った兵士が、遠慮気味に、
「あ、マリア様、どちらにお越しですか?アメリア様でしたら、礼拝堂の方に向かわれましたが……。」
そう声をかけられ、マリアは、
「あら、ありがとう。助かったわ。」
そうマリアは礼を言うと、くるりと向きを変え、礼拝堂を目指してまた歩きだす。
様々な人々が行き交う王都の中にある今はキースが支配する王城、その中に、回りとは隔離されたかのような、静かな礼拝堂……。
ステンドグラスの窓からは優しい光が射し込み、なんとも言えない雰囲気を作り出している。
そんな礼拝堂の中で、祭壇の前で両膝をつき、静かにアメリアが祈りを捧げていた。
バタン!!
静かな空気を打ち壊すように、乱暴に開かれた扉から、マリアが顔をだし、
「ちょっと、お義母様?こちらにいらしたの?」
眉間に皺を寄せ、マリアが怒気のある声をアメリアにかける。
「あら、マリアさん、そんな風に怒るものではないわよ。それに……まだキース様とは結婚していないのだから……お義母様って……。それは……まだ……でも嬉しいのよ…。でも……。」
もじもじしているアメリアに、マリアは呆れたように、
「はぁ?まったく、今日がその結婚式でしょ?花嫁が支度もせずに何処に行ったかと思えば……。」
マリアの言葉にアメリアは、取り繕うように、
「だからこそ、身を清めてからと思っていたのよ。それにまだ時間があったと…。」
ぼそぼそと言い訳するアメリアにマリアは、サッパリと、
「それはそうだけど…。まぁ良いわ、さっ急いで!」
そう言ってマリアがアメリアの手をとると、強引に礼拝堂から連れ出す。
「ちょっ、マリアさん……」
アメリアはギュッと手を握られ、先を歩くマリアの姿にあの時の光景が甦り、涙が込み上げてくる。
「お義母様は本当にマイペースなんだから……まったく……。」
そう言って振り返るマリアの視界に涙を流すアメリアが入り、歩みを止める。
「え?痛かった?ごめんなさい……。」
手は繋いだままだが、その歩みをら止めるマリア、その様子にアメリアは、
「ち、違うのよ。マリアさん…。あの時を思い出して、マリアさん貴女の手に救われたんだなと想うと、涙が……」
ハンカチで涙を、拭うアメリアにマリアは、
「はぁ?なに言ってるの?まったく、お義母様は変わらないわね。まっでも、あの時は、私も救われたのよ。一人で心細くなっていたところに崖の先に立っている人、ボロボロの服を着ていて、冷たい手だったけど、ほんのりとした暖かみに私も救われたのよ……ってこんな話は良いのよ!さっお父様がお待ちかねよ。」
そうして、マリアが到着した扉を開くと、そのさきには、キースが優しい笑みで二人を迎える。
「アメリア、マリア、待っていたよ。さっ、大聖堂に向かおうか。」
三人はマリアを、真ん中に、仲良く手を繋ぎ、部屋を後にした。
終わり。
ここまでお付き合いして頂いた皆様ありがとうございました。
遅筆にて、かなりの時間をかけていまいました。
もしよろしければまた次の作品で御会いしましょう。
ありがとうございました。
王となったキースは、軍事面をモーリヤスに、政治面をマルコをトップに据えて、統治を進めていった。
そうして、一年後の時が流れる。
「ちょっと、何で私がこんな風に、何時も探す事になるの?もぅ………。」
ぶつぶつと独り言を呟き、城の中を足早に進むマリア。
廊下ですれ違った兵士が、遠慮気味に、
「あ、マリア様、どちらにお越しですか?アメリア様でしたら、礼拝堂の方に向かわれましたが……。」
そう声をかけられ、マリアは、
「あら、ありがとう。助かったわ。」
そうマリアは礼を言うと、くるりと向きを変え、礼拝堂を目指してまた歩きだす。
様々な人々が行き交う王都の中にある今はキースが支配する王城、その中に、回りとは隔離されたかのような、静かな礼拝堂……。
ステンドグラスの窓からは優しい光が射し込み、なんとも言えない雰囲気を作り出している。
そんな礼拝堂の中で、祭壇の前で両膝をつき、静かにアメリアが祈りを捧げていた。
バタン!!
静かな空気を打ち壊すように、乱暴に開かれた扉から、マリアが顔をだし、
「ちょっと、お義母様?こちらにいらしたの?」
眉間に皺を寄せ、マリアが怒気のある声をアメリアにかける。
「あら、マリアさん、そんな風に怒るものではないわよ。それに……まだキース様とは結婚していないのだから……お義母様って……。それは……まだ……でも嬉しいのよ…。でも……。」
もじもじしているアメリアに、マリアは呆れたように、
「はぁ?まったく、今日がその結婚式でしょ?花嫁が支度もせずに何処に行ったかと思えば……。」
マリアの言葉にアメリアは、取り繕うように、
「だからこそ、身を清めてからと思っていたのよ。それにまだ時間があったと…。」
ぼそぼそと言い訳するアメリアにマリアは、サッパリと、
「それはそうだけど…。まぁ良いわ、さっ急いで!」
そう言ってマリアがアメリアの手をとると、強引に礼拝堂から連れ出す。
「ちょっ、マリアさん……」
アメリアはギュッと手を握られ、先を歩くマリアの姿にあの時の光景が甦り、涙が込み上げてくる。
「お義母様は本当にマイペースなんだから……まったく……。」
そう言って振り返るマリアの視界に涙を流すアメリアが入り、歩みを止める。
「え?痛かった?ごめんなさい……。」
手は繋いだままだが、その歩みをら止めるマリア、その様子にアメリアは、
「ち、違うのよ。マリアさん…。あの時を思い出して、マリアさん貴女の手に救われたんだなと想うと、涙が……」
ハンカチで涙を、拭うアメリアにマリアは、
「はぁ?なに言ってるの?まったく、お義母様は変わらないわね。まっでも、あの時は、私も救われたのよ。一人で心細くなっていたところに崖の先に立っている人、ボロボロの服を着ていて、冷たい手だったけど、ほんのりとした暖かみに私も救われたのよ……ってこんな話は良いのよ!さっお父様がお待ちかねよ。」
そうして、マリアが到着した扉を開くと、そのさきには、キースが優しい笑みで二人を迎える。
「アメリア、マリア、待っていたよ。さっ、大聖堂に向かおうか。」
三人はマリアを、真ん中に、仲良く手を繋ぎ、部屋を後にした。
終わり。
ここまでお付き合いして頂いた皆様ありがとうございました。
遅筆にて、かなりの時間をかけていまいました。
もしよろしければまた次の作品で御会いしましょう。
ありがとうございました。
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あの戦いの中、光に包まれたキースはどこへ行ってたのですか?
他にも伏線を拾いきれていないところがあって、気になります。
キースは、エネロワ公爵領の港町まで飛ばされてしまいます。
そこからキースが全速力で翔んできたところで、皇帝は王都を蹂躙し、その後でキースを迎え撃つ事で戦いを終えるつもりでいました。
ですが、そうならなかったと言うことです。
子持ちでなくカッコいいヒーローがでできたらよかったです。
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感想ありがとうございます。
そうですね、亡くなった方には勝てないですものね。
これからの作品作りに生かせたらと思います。
ありがとうございました。