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第三十九話 ギネリン王の最期

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王都の無血開城、それはアメリアの願いだった。

継母や義理の妹にいじめられ、婚約者と実の父親にも裏切られ、失意の中たどり着いた海へと突き出した崖の上…

そこで、自ら命を断とうと考えたアメリアは海へと伸びる崖で娘のマリアに命を救われたと言う……。

その後の生活の中で、命を無駄にしたくないと言う考えから、ギネリン王との戦いの為に古文書を読み漁り、様々な策を立案した……

それを実行したモーリヤスやマルコの力もあるが、敵にも味方にも、死者は少なく抑えることが出来た。

夜明けも迫る頃、キースは、モーリヤスとマルコが捕虜を拘束している現場へと向かう。

「よし……モーリヤス、マルコ、首尾はどうだ?」

キースが二人を呼び、問いかける。
作業を終え、丁度報告に向かおうとしていた二人は、

「会長、やっと終わったよ……。」

額に汗を光らせ、モーリヤスが言う。

「兵士は全て拘束、投獄が終わりました。住民については倒れるときに負った怪我の治療も終わっています。」

マルコも報告する。
拘束した兵士は、王都の牢では足らないのと、元々いた罪人と一緒にすることは躊躇われたため、キース達が夜明けから用意していた簡易的な建物に投獄している。

「そうか、ご苦労様。」

真剣な面持ちで報告を聞くキースは二人を労う。
キースはふと上空を見上げ、パッと、左手を光らせ、ギネリン王が逃げないように監視に送っていた魔法使い達に合図を送る。
すると、上空から一人の魔法使い部隊が報告に降りてくる。

「キース様、ギネリン王の上空への逃走は許していません!今も変わらず展望台に籠っています。傍らに黒ずくめの護衛と思われる者がいます!」

『黒ずくめ』と言う、言葉に眉をピクリと反応させたキースは、

「そうか、ご苦労。さて、謁見といくかな……。」

そう言って、展望台へと歩みを進める。
その様子にモーリヤスは、

「え?もういくのかよ会長?!」

と、少し休憩したいようだった。
マルコは、『黒ずくめ』の言葉に反応して、

「その黒ずくめの男とは多分フュルスト侯爵の首をはねた者かと……気を引き締めて参りましょう。」

そう言ってキースに注意を促す。
キースは、表情をいっそう厳しいものにすると、

「ああ、後ひと踏ん張りだ…お互い怪我の無いようにな。」

こうしてキース、モーリヤス、マルコに十人の精鋭を加えた十三人で展望台へと向かう………。


展望台ではギネリン王があまりの事態に半狂乱状態に陥っていた。

「ぐひゃひゃひゃしゃひゃひゃひゃしゃ!!」

黒ずくめの防具に身を固めた男、ウォーロックが王のそばで、

「王よ、取り乱すお気持ちも分からなくもないですが、お気をしっかりと……無理か……。」

そんなやり取りも、何度繰り返されたであろうか……

そこへ満を持してキースがモーリヤス、マルコ、以下精鋭を連れて乗り込んでくる。

「あひゃ?エネロワの小僧?……お、おのれ……わ、ワシの国を乗っ取る賊が………。」

キースの顔を見たギネリン王が、意識を取り戻したのか、キースを認識した。

「賊か……あんたのしてきた政治を正す為なら賊でもなんでも良いさ、さっ覚悟しろ!」

キースが、構えると、ウォーロックも身構える。

そこへ、ギネリン王が大声を上げる!

「あひゃ!うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!え、エネロワ!お前の天下は長くないぞ!!うひゃひゃひゃ!!」

ギネリン王が外を指差し、ふただび大声で笑う!

キースは、ギネリン王が指差す先を見ると、いくつもの真っ青な旗が風になびき、三十万とも四十万とも思えるほどの地平を埋め尽くすような大軍勢が、白々と夜が明けようとしている王都に進軍してくるのが見て取れた。

「あれは……。」

キースはあまりの軍勢に言葉を失っていると、

ザシュ!!

と、背後で血飛沫が飛ぶおとがする!

キースが振り替えると、ギネリン王の首を髪の毛を掴むような形で左手に持つ黒ずくめの……ウォーロック!?

「やれやれ、やっと迎えが来てくれた。あっ、どうも何度かお目にかかりましたが、挨拶がまだでしたね。私は帝国軍のウォーロックと申します!すぐにまた戦場で、あいまみえるとは思いますが、どうぞお見知りおきを……では、皇帝にこの土産を持参しなければいけないので、これで失礼致します。」

そう言って、ウォーロックは転移魔法でその場を去るのだった。
    
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