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三十一話 開戦(ファンタジー風味)②
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相手の兵力の少なさに、大口を開けて笑うマルシャル元帥と、厳しい表情で10万を越える王国軍を睨むキース……
視界の全てをその装備の色である、赤で覆い尽くすほどの大軍勢である、王国陸軍との戦いが始まろうとしている………
静まり返り、にらみ合いを続けていた両軍だったが、先に動きを見せたのはキース=エネロワ率いる、エネロワ公爵側だった。
「キース様、本当にこの作戦でよろしいのですか?」
マルコがキースに気を遣いながら尋ねると、
「ああ、これがこちらの損害を少なく、何より、少ない人員であれだけの大軍に勝てる作戦であるからには仕形がないだろう………よし!では作戦を実行に移すか……魔法使い部隊!頼む……。」
そうキースが指示を出すと、マルコは全魔法使いに通信を行う!
魔法使いはみすぼらしい木の柵の辺りに横に広く陣取ると、力を合わせて呪文を唱え始めた。
エネロワ公爵領の軍に、動きを認めると、今度はマルシャル元帥が動く!
「全軍突撃!!」
何の捻りもない全軍突撃だが、10万の人間が横に広く連なり、一気に押し寄せる人の波は、魔法使い達に恐怖を与える!
脅える魔法使い部隊……だがしかし、キースの伝えた作戦を実行すべく、魔法を発動させると、各々の前に広がる木の柵の数メートル先に雲を突き抜けるほどの高さの岩壁が隙間を空けず、横幅の長さにして、数十キロメートルにも渡り現れる!!
それはかつて、キースの妻が命を落とした、ロヌポルル地区を覆った壁を連想させるものだったが、高さを出すために、少し歪で厚みも1メートル程と薄いものだった。
それは、王国軍に所属する魔法使い部隊が空を飛び、壁をこえる事を恐れての高さだったのだろう……
そう判断したマルシャル元帥は、
「グハハハハハハ!!キースの坊主はあの頃のままのようだな!成長の欠片も見えない!!こちらの戦力にビビリ、あの様な壁をこさえたかと思えば、厚さは1メートル程だと?壁を築いてこちらを迂回させて時間を稼いでいる間に何かするつもりだろうが、そんなものは厚みがあれば壊すにも時間がかかるだろうが、薄い、薄い、歩兵!破城鎚を持て!」
マルシャル元帥が命令を下すと、丸太にロープを付けて何人もで持つと、勢いよく壁へと打ち込む!!!
すると壁にヒビが入り、今にも穴が空きそうになる!!
「グハハハハハハ!キース!恐れるに足りぬな!さぁ、さっさと壁に穴を空けてそのさきの魔法使いどもを虐殺するのだ!!」
マルシャル元帥は大声を上げ、これから起こるであろう虐殺ショーに期待を膨らませ、下品に笑うのだった。
視界の全てをその装備の色である、赤で覆い尽くすほどの大軍勢である、王国陸軍との戦いが始まろうとしている………
静まり返り、にらみ合いを続けていた両軍だったが、先に動きを見せたのはキース=エネロワ率いる、エネロワ公爵側だった。
「キース様、本当にこの作戦でよろしいのですか?」
マルコがキースに気を遣いながら尋ねると、
「ああ、これがこちらの損害を少なく、何より、少ない人員であれだけの大軍に勝てる作戦であるからには仕形がないだろう………よし!では作戦を実行に移すか……魔法使い部隊!頼む……。」
そうキースが指示を出すと、マルコは全魔法使いに通信を行う!
魔法使いはみすぼらしい木の柵の辺りに横に広く陣取ると、力を合わせて呪文を唱え始めた。
エネロワ公爵領の軍に、動きを認めると、今度はマルシャル元帥が動く!
「全軍突撃!!」
何の捻りもない全軍突撃だが、10万の人間が横に広く連なり、一気に押し寄せる人の波は、魔法使い達に恐怖を与える!
脅える魔法使い部隊……だがしかし、キースの伝えた作戦を実行すべく、魔法を発動させると、各々の前に広がる木の柵の数メートル先に雲を突き抜けるほどの高さの岩壁が隙間を空けず、横幅の長さにして、数十キロメートルにも渡り現れる!!
それはかつて、キースの妻が命を落とした、ロヌポルル地区を覆った壁を連想させるものだったが、高さを出すために、少し歪で厚みも1メートル程と薄いものだった。
それは、王国軍に所属する魔法使い部隊が空を飛び、壁をこえる事を恐れての高さだったのだろう……
そう判断したマルシャル元帥は、
「グハハハハハハ!!キースの坊主はあの頃のままのようだな!成長の欠片も見えない!!こちらの戦力にビビリ、あの様な壁をこさえたかと思えば、厚さは1メートル程だと?壁を築いてこちらを迂回させて時間を稼いでいる間に何かするつもりだろうが、そんなものは厚みがあれば壊すにも時間がかかるだろうが、薄い、薄い、歩兵!破城鎚を持て!」
マルシャル元帥が命令を下すと、丸太にロープを付けて何人もで持つと、勢いよく壁へと打ち込む!!!
すると壁にヒビが入り、今にも穴が空きそうになる!!
「グハハハハハハ!キース!恐れるに足りぬな!さぁ、さっさと壁に穴を空けてそのさきの魔法使いどもを虐殺するのだ!!」
マルシャル元帥は大声を上げ、これから起こるであろう虐殺ショーに期待を膨らませ、下品に笑うのだった。
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