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一話 突然の婚約破棄!!
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「アメリア?この部屋はキチンと掃除してくれたのかしら?」
真っ青なドレスに身を包む継母のエリザベスがアメリアに詰め寄る。
「はい、お義母様、」
そう答えるアメリアは、もとの色が分からないほど薄汚れたドレスに身を包んでいる。
「はぁ?!じゃあこれは何?」
ツツツ!っと、人差し指を窓のサンに這わせると、ホコリの塊をつまみ上げ、アメリアに「フッ!」っと、吹いて見せる!
「す、すみません!すぐに!」
慌てる様子のアメリアに、エリザベスは、
「ああ、もう!ホントに仕事の出来ない子だね!」
そう言うと、エリザベスは足元のバケツの水を、アメリアの頭から浴びせかけた!
バケツの水は、大きく水飛沫を上げる!
「もう!私まで濡れたじゃない!着替えてくるからキチンと拭いておきなさいよ!」
そう言うと、バタン!!と大きな音を立ててドアを閉め、エリザベスは部屋を出ていく。
アメリアは汚い水を頭から浴びせかけられ、髪から滴り落ちてくる水滴と溢れ出てくる涙がポタポタと床を更に濡らす中、片付けを続ける。
アメリア(21歳)は、フュルスト侯爵家の長女であったが、三年前に母のジュリエッタを病気で亡くし、その後に父のオリビエが再婚した継母のエリザベスに冷遇されていた。
アメリアは撒き散らされた水を拭き上げると、バケツを持ち、片付けようとする。
しかし、足を滑らして、バケツの水を再び床に撒き散らしてしまう!
「ああ、また、こんなことに…。」
アメリアが泣いていると、ライムグリーンのドレスを身に纏った義妹のソフィアが、様子を見に来る。
「ああ、全く義姉さんはいつも汚いわね、あっ、先程、お義姉様の婚約者のハルト様が見えていたわよ。何でも大切なお話があるそうよ?」
ソフィアはニヤニヤと悪意に満ちた笑みを浮かべ、アメリアを見下ろす。
「わかったわ。教えてくれてありがとうソフィア。」
「じゃあ、応接間にてお待ちになっているから早くね。」
そう言うと、ソフィアは倒れているバケツを持ち上げると、アメリアの頭に被せて、大爆笑で部屋を後にする。
アメリアは大急ぎで片付けを済ませると、濡れたドレスを着替えて応接間へと急ぐ。
部屋に入るなり、すぐにアメリアは、
「すみません、ハルト様!お待たせしました。」
と謝罪する。
深々と頭を下げるアメリアにハルトは、
「まったく、君はいつも人を待たせるね。どうなっているんだ?まぁ、それも今日までなら……。」
「すみません。これから気を付けますので……。」
そう言いかけるアメリアにハルトは、
「ああ、もう気にしないで良いよ。僕たちの婚約は破棄しよう。それが一番なんだと僕も気付いたんだ。」
そう冷たく言い放つハルトにアメリアは、
「そ、そんな……。あんなに愛していると……。」
涙を浮かべ、呆然とするアメリア……。
そんなアメリアを尻目にハルトは、
「まぁ、人の気持ちは移ろうものさ……。さっ、では今日の僕の要件は伝えたから……。あっ、もうフュルスト侯爵にも話は通してあるからあしからず。それじゃ!」
信じていた婚約者、ハルトにも捨てられ、泣き崩れるアメリアだった………。
真っ青なドレスに身を包む継母のエリザベスがアメリアに詰め寄る。
「はい、お義母様、」
そう答えるアメリアは、もとの色が分からないほど薄汚れたドレスに身を包んでいる。
「はぁ?!じゃあこれは何?」
ツツツ!っと、人差し指を窓のサンに這わせると、ホコリの塊をつまみ上げ、アメリアに「フッ!」っと、吹いて見せる!
「す、すみません!すぐに!」
慌てる様子のアメリアに、エリザベスは、
「ああ、もう!ホントに仕事の出来ない子だね!」
そう言うと、エリザベスは足元のバケツの水を、アメリアの頭から浴びせかけた!
バケツの水は、大きく水飛沫を上げる!
「もう!私まで濡れたじゃない!着替えてくるからキチンと拭いておきなさいよ!」
そう言うと、バタン!!と大きな音を立ててドアを閉め、エリザベスは部屋を出ていく。
アメリアは汚い水を頭から浴びせかけられ、髪から滴り落ちてくる水滴と溢れ出てくる涙がポタポタと床を更に濡らす中、片付けを続ける。
アメリア(21歳)は、フュルスト侯爵家の長女であったが、三年前に母のジュリエッタを病気で亡くし、その後に父のオリビエが再婚した継母のエリザベスに冷遇されていた。
アメリアは撒き散らされた水を拭き上げると、バケツを持ち、片付けようとする。
しかし、足を滑らして、バケツの水を再び床に撒き散らしてしまう!
「ああ、また、こんなことに…。」
アメリアが泣いていると、ライムグリーンのドレスを身に纏った義妹のソフィアが、様子を見に来る。
「ああ、全く義姉さんはいつも汚いわね、あっ、先程、お義姉様の婚約者のハルト様が見えていたわよ。何でも大切なお話があるそうよ?」
ソフィアはニヤニヤと悪意に満ちた笑みを浮かべ、アメリアを見下ろす。
「わかったわ。教えてくれてありがとうソフィア。」
「じゃあ、応接間にてお待ちになっているから早くね。」
そう言うと、ソフィアは倒れているバケツを持ち上げると、アメリアの頭に被せて、大爆笑で部屋を後にする。
アメリアは大急ぎで片付けを済ませると、濡れたドレスを着替えて応接間へと急ぐ。
部屋に入るなり、すぐにアメリアは、
「すみません、ハルト様!お待たせしました。」
と謝罪する。
深々と頭を下げるアメリアにハルトは、
「まったく、君はいつも人を待たせるね。どうなっているんだ?まぁ、それも今日までなら……。」
「すみません。これから気を付けますので……。」
そう言いかけるアメリアにハルトは、
「ああ、もう気にしないで良いよ。僕たちの婚約は破棄しよう。それが一番なんだと僕も気付いたんだ。」
そう冷たく言い放つハルトにアメリアは、
「そ、そんな……。あんなに愛していると……。」
涙を浮かべ、呆然とするアメリア……。
そんなアメリアを尻目にハルトは、
「まぁ、人の気持ちは移ろうものさ……。さっ、では今日の僕の要件は伝えたから……。あっ、もうフュルスト侯爵にも話は通してあるからあしからず。それじゃ!」
信じていた婚約者、ハルトにも捨てられ、泣き崩れるアメリアだった………。
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