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「お姉さま!ハルト様を、私にください!」

また妹のエリザベスが何か言い出した。小さな頃から私にマウントを取りたがっていたが、今度は婚約者を奪って来るのか。

「ねぇ、エリザベス、貴女は何を言っているのかわかっているの?もうすでに私とハルト様は婚約しているの。それを破棄してとなると、お父様にも迷惑がかかるわ。」

「ああその事ならご心配なく!お父様は、お前の方が上手く立ち回れるだろうから、どちらが結婚しても良いよ。とおっしゃっていたわ。」

「え!そ、そんな……」

「お姉さまは、不器用で要領が悪いからハルト様の家で旨く立ち回れるか心配だから、お前がハルト様のところへ嫁いでくれるなら安心だ。ともいっていたわ。」

エリザベスは、見下すような目で私を見る。確かにあの家は色々ありすぎて、エリザベスなら上手くやってくれるかしら。

「わかりました。そこまで言われたら仕方がありません。でも、貴女はハルト様の事わかってあるのですよね?」

「ええ、公爵家の跡取りで、領地はたくさんの都市を経由するための道を所有、交通の要所で、利益は潤沢。こんなところかしら?」

「はぁ、まぁ、頑張ってね。」

「はん!何かこの他にも知ってるようだけど、そんなのは私ならなんとでも出来るわ!」

「そうね、貴女なら出来るかもね。私はゆっくりと次を探します。」

~~数ヶ月後~~~

今日はエリザベスとハルト様の婚約が決まる日。エリザベス、黙っていたけど、交通の要所であることから、たくさんのマフィアが暗躍して、ハルト様は裏の世界にどっぷりなのよ。だから、抗争や麻薬の取引、衛兵や秘密警察の対策等々気苦労が絶えないだろうけど、器用で、要領が良ければ楽勝よね!

それから一年後、エリザベスは事故に見せかけて殺されてしまった。

「あれだけ器用と言っていたのに……」

















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