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第四章 タイ・ラオス・ベトナム駆け足雨季の旅
サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 123
しおりを挟む第七話
ラオスに入国して市内へのタクシーやトゥクトゥク乗り場に佇む僕に、トゥクトゥク野郎が次々声をかけてくる。
「オールドマーケット?ツーハンドレッドフィフティバーツ!」と。
それはあまりにエクスペンシブやないでっか!と言ったところで、どうやらこの料金がやはり相場のようだ。
50バーツで行けと言った時に、人相の悪いトゥクトゥク野郎が「よし、乗れ!」と言ったが、おそらく目的地に着いて支払いの際にはきっちり250バーツと言って、ひと悶着あるに違いないと思われたので、僕はあきらめて人の良さそうなトゥクトゥクを選んで乗り込んだ。
結局、出発間際にラオス人の女の子がふたり乗り込んできて、三人を乗せてトゥクトゥクは走り出した。
女の子たちの料金はのちに分かるのだが、僕と同じタラートサオで降りて1万キップも支払っていなかったように窺えた。(この時期1万キップは120円程度、250バーツは1000円弱でした)
市内へ向かう道は、もう四度目のラオス訪問だがほとんど変わっていないように思われた。
少し舗装部分が増えたかなと感じる道路と、道路沿いに点在する民家の中に明らかに新築または改装した建物が目立つ程度か。
途中、トゥクトゥクを一人の若い女性が手を挙げて止めた。
まだ3人程度は余裕のある座席へ彼女が乗り込んできた。
ところがこれが驚きの美女。
彼女の容貌はまるでバンコクのBTS車内やバラゴンなどで見られる、携帯電話やコスメなどの大広告に起用されているモデルさんのようなのだ。
スレンダーな体躯を薄いピンクのブラウスに白のスカートで包み、白のハイヒールをお履きになった彼女は、とても洗練された雰囲気が漂っていた。
しかもブラウスの胸の辺りはハミ乳で、ほのかに甘い香水のにおいがトゥクトゥック内に漂い、男は僕だけだし、まるでキャバクラにいるようだった。(行ったことはないが)
ラオスにもこんな美女がいるのだ。
僕は驚きと好奇でチラチラと彼女の方に何度も何度も目が行ってしまい、クラクラと目まいがしそうなくらい、うっとりとその姿に見とれてしまうのだった。
ここで「一枚写真を撮らせてください」と言うのが慣れた旅人なのかも知れないが、残念ながら言えなかった。
心舞い踊る僕とラオス女性三人を乗せたトゥクトゥクはタラートサオで止まり、全員が降りた。
美女はトゥクトゥク野郎と何やら世間話を交わしてからタラートサオに入って行った。
おそらく美女は、タラートサオの中に前回訪れた際に見た、三階建ての新しいショッピングセンターのどこかの店舗に勤めているのではないかと推測された。
宿にバックパックをおろしてから、あとで見に行ってみよう。
さて、重いバックパックを背負ってチャンターゲストハウスに向かった。
この年の元旦に訪れた時は、シーズンでもあったので予約メールを入れていた。
今回も六月二十六日の朝に着きますと一応メールを出していた。
空はノンカイに着いた時と変わらずどんよりと曇っていた。
旅行者の姿は見えない。
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