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7 時間が欲しかったのに…
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あの日以降、私は徹底的に透を避けていた。
透が家を出てから起き出して大学に行き、授業が終われば一切寄り道をせずに家に帰った。家に着いたらすぐにシャワーを浴びて、夕飯用に冷凍食品を適当にレンジにかけて部屋にこもった。
部屋にいる時は、常に鍵をかけた。
怖かった。
透に会うのが怖かった。
会ったときの透の反応が、自分の反応が、予想できなくて怖かった。
そうやって数日が過ぎた。
こんな風にやり過ごしていればもうすぐ夏休みになるから。そうしたら行き先を告げずにリゾートバイトにでも行って、そうやって時間を置いてーー
あれ以来、一度も透と顔を合わせずに済んでいたため、私はそんな楽観的な計画を立て始めていた。今も、透が二階でシャワーを浴びてる隙に、一階のトイレに行ってきた。
この調子なら夏休みまでなんとか一度も顔を合わせずにーー
そんなことを考えながら階段を上っていると、信じられないものが視界に入った。
廊下に透が立っていた。
壁に背を預けて腕を組んで。
いつかのように。
視界に入った途端、身体が強張った。足が竦んで動けなくなった。
どうして…
さっきシャワーに行ったばかりじゃーー
透の視線がこちらを向いた。
刺すような、鋭い視線。
口が、ゆっくりと開く。
「姉さん、久しぶり」
皮肉げに歪んだ唇。
ずっと避けていた私を責めるように。
「ひ…さしぶ…り…」
声の震えは、隠しようもなかった。
「会いたかったよ」
透が壁から背を離し、廊下を歩いてくる。
階段の途中で立ち竦む私に向かって。
一歩一歩、歩いてくる。
それが見えているのに動けない。
透が階段を下りてきた。
一段、また一段。
トントンというその軽い足音を、耳にしても動けない。
トン
あ…
透が、私と同じ段に立った。
腕をつかまれる。強い力で。
「本当に、会いたかった」
俯く私に向けられた、鋭い視線。
透はそれ以上は何も言わずに、階段を上り始めた。
私の腕を握って。
ぎこちないながらも、操られたように足が動く。透の後について、私も階段を上る。
ダメ…ついて行っては…ダメ…抵抗…しなくては…
歩みは止まらない。
透のも。私のも。
ようやく足が止まった時には、透の部屋の前まで来てしまっていた。
私の腕を握っているのとは反対側の手が、ドアノブをつかむ。
「姉さん」
透が振り返った。
ガチャリとドアノブが回される。ドアが押され、部屋の中が見えた。
少し大きめの透のベッドも。
透が一歩、部屋の中に足を踏み入れた。
「おいで」
ぐいっと腕を引かれて、透の腕の中に倒れ込むようにして部屋の中に連れ込まれた。
すぐさまドアが閉められる。
ガチャリ
続いて、鍵をかける大きな音。
その音にびくりと震えた身体に、透の腕が力強く回された。
「会いたかった…姉さん…本当に…会いたかった…」
キツく、抱きしめられる。
身動きできないくらいに。
「姉さん…会いたかった…」
透が震える声で囁いた。
筋肉質な肩、腕。
男の人の…身体。
微かな体臭。
身をよじると、腕の力は更に強くなった。絶対に逃さないとでも言うように。
「姉さん…今日も…俺がクスリに走らないよう…助けて…」
甘さを感じる掠れ声に、背筋が震えた。大きな手のひらが、包み込むようにして私の首の後ろを撫でる。
ゆっくりと。
上下に何度も。
その感触に、息が上がってしまう。
「姉さん」
頭に何度もキスされる。
そちらに気をとられていると、不意に背中を撫で上げられた。服越しではなく直接。
暑いので部屋着として愛用しているワンピースを、裾から一気にまくり上げられていた。そのままブラのホックを外され、肩から肩紐を滑り落とされる。気づいた時にはほとんど脱がされていた。
「姉さん」
透に軽く押されてよろめき、ベッドにストンと腰を落とした。そのまま、ゆっくりと仰向けに押し倒される。首元に溜まったワンピースが、ごわごわして気持ち悪い。
乳首を軽く吸われた。
「姉さん…」
ゆっくり交互に。
喘ぎそうになる口を慌てて押さえようとすると、透に手首を押さえつけられた。
「ダメだよ姉さん…聞かせて…姉さんの可愛い声…」
上ずった声に、ぞくりと全身が泡立つ。もう一度乳首を吸われて、あられもない声が出た。
「うん…もっと…聞かせて…姉さん…ずっと…聞きたかったんだ…姉さんのその声…」
うっとりと透が囁く。
乳首を軽く吸われ噛まれ転がされ、いいように喘いでしまう。
拒絶しなければいけないのに…
喘いでばかりで言葉にならない。
首すじも、吸われる。
跡…ついちゃう…
そう思っても、透を止められない。
首を吸われるのと同時に乳首をつままれて、力が抜けてしまう。喘ぐことしかできない。
どうしてこんなに気持ちいいの…
「可愛い…姉さん…俺の……」
透の興奮した声。
私に…欲情している声…
「下着…脱がせるよ…」
透の手は、なんなく私の下着を下ろした。腰をよじっても、何の抵抗にもならなかった。
「姉さん…」
次の瞬間には、くちゅりと音を立てて透の指が中に入ってきた。
「よかった…濡れてる…感じてくれてるんだね、姉さん…」
ほっと息を吐いた透の指の動きが、徐々に激しくなっていく。私の中から蜜が溢れて、その動きを助ける。
抑えきれずに、喘ぎ声が漏れてしまう。奥を押されて、腰が揺らいでしまう。
「イっていいからね」
優しく囁かれて、弱いところを刺激されて。大した時間もかからず、堪えきれずに透にしがみついてイってしまった。
荒い息を吐く私の前で、透が服を脱いだ。Tシャツを脱いで、下着と一緒にズボンを下ろして。
一瞬だった。
「姉さん…」
余韻に震える私のそこに、透が自らのモノを押し当てた。すぐには挿れずに円を描くようにされて、思わず喘いでしまう。くちゅりくちゅりと、恥ずかしい音が鳴る。
私の中からあふれた蜜の音。
まるで先端でそこにキスされているみたい…。そう思ったら、そこがパクパクと収縮した。
蜜が外へと溢れ出す。
食い入るような透の視線が刺さった。
「姉さん…愛してるんだ…」
私の目を見つめながら、透が腰を進める。
「ダーー」
見計らったように唇を塞がれた。
時々唇を離しては「愛してる」と囁いて、すぐにまた唇を塞ぐ。それを繰り返されている間に、あっさり奥まで挿れられてしまった。
耳に入る、透のモノと私の中が触れ合う音は、とても気持ちがよさそうで。
「愛してる。姉さん…」
透が動くたびに、ぐちゃりぐちゃりと、いやらしい音がする。私の身体はこの行為を悦んでいると、私に何度も言い聞かせるように。それが恥ずかしくて辛い。でも…
気持ちいい…
やっぱり、透との行為は気持ちいい。嫌なのに…ダメなのに…
音に、感覚に、思い知らされる。
私は…弟にいやらしい行為をされて…悦んでいる…
蜜が…こんなに溢れてしまうほどに…
今まで付き合った誰とも、こんな風にはならなかった。誰にされても、こんなに夢中になってしまうことなんてなかった。
…いっそ話に聞く媚薬でも使われていればまだよかったのに。薬の所為にできたから。
でも私は今、完全に素面で、そんな言い訳もできない。お酒さえ飲んでいない。なのにこんな…
ぐいっと奥を突かれるのが、気持ちよくてたまらない。本当にやめて欲しい…これ以上されたら私…
「透っ…!」
やめてと言うつもりで叫んだその名前は、信じられないくらいに甘く響いた。気持ちいいと、言っているようにしか聞こえなかった。
ダメ…私は…お姉ちゃんなんだからっ…こんな…気持ちいいからって…流されちゃダメっ…透をとめなくちゃ…いけない…のにっ…
そんな私の考えを見透かしたかのように、透が優しく笑った。
「甘えて。姉さん」
透の甘い笑み。
「姉さんは女で、俺は男だから。姉さんは俺に甘えていいんだよ」
役割をすり替えられて、何を思うより先に中が透のモノに絡みついた。透の言葉に喜んだ。素直に、甘えた。
甘く焦らすように突かれて、さっきよりずっと蕩けた声が出てしまう。まるで透に甘えて求めているかのような声。
透が嬉しそうに笑う。男の顔で。
その表情に、鼓動が速くなる。
「好きなだけ甘えて…姉さん…」
その言葉に、笑顔に。堪えきれずに抱きついた。中の動きに引きずられるように、腕でも透を抱きしめた。
もう…ダメ…
もう…抑えきれない……
後で後悔すると分かっているのにっ…
「透っ…」
名前を呼んだ。
弟の名前を。
求めるように呼んだ。
「透っ…」
止まれない。
絶対、絶対終わったら後悔するのに…
「透っ…!」
「姉さん…今だけでもいいよ…」
切なさと寂しさと愛情が入り混じった瞳でそう囁かれて、躊躇いが消えた。
「透っ…」
背中に爪を立てる。
気持ちいい…忘れないで…私のこと…
支離滅裂な思考。
「透っ…」
前回は声に出せなかった名前を何度も呼ぶ。
「透っ…!」
口の中に入ってきた舌を喜んで迎える。舌で応える。
透に挿れられてるモノも舌も、どっちも気持ちよくて。
透が与えてくれる快楽を身体全部で貪る。
こんなに気持ちいいの初めて…
ふと気づくと、透が私をじっと見ていた。透から与えられる快楽を、悦んで受け入れる私を。
喰い殺されてしまいそう…
向けられる鋭い視線に、うっとりと目を細めた。向けられる強い感情が心地いい。
「とお…るっ…」
もっと見て。
その目で私を見て。
「透…」
首を噛まれて、嬉しくなった。
もっと噛んで欲しい。
食べられたい。
透に食べられたい。
「透っ…」
「もう…限界…っ…」
不意に呟いた透が、腰を思い切り振り始めた。
夢中になってる。
透が私に夢中になってるっ…
「透っ…!」
「姉さん…中に…出す…から…受けとめてっ…」
余裕のない、がむしゃらな動きで奥を突かれる。身体の奥に激しく突き挿れられる。無意識に頷く。
そして、透のモノが、私の中でびくんびくんと跳ねた。
透がイった。私の中で…
嬉しい…
透の熱。
荒い呼吸。
身体の重み。
とてつもなく満たされた感覚。
身体も心も、それ以外の何かでさえ。
すべてが満たされたようで…。
「透…」
ぐったりと私に覆い被さる透のこめかみに、そっとキスをして抱きしめた。
透が家を出てから起き出して大学に行き、授業が終われば一切寄り道をせずに家に帰った。家に着いたらすぐにシャワーを浴びて、夕飯用に冷凍食品を適当にレンジにかけて部屋にこもった。
部屋にいる時は、常に鍵をかけた。
怖かった。
透に会うのが怖かった。
会ったときの透の反応が、自分の反応が、予想できなくて怖かった。
そうやって数日が過ぎた。
こんな風にやり過ごしていればもうすぐ夏休みになるから。そうしたら行き先を告げずにリゾートバイトにでも行って、そうやって時間を置いてーー
あれ以来、一度も透と顔を合わせずに済んでいたため、私はそんな楽観的な計画を立て始めていた。今も、透が二階でシャワーを浴びてる隙に、一階のトイレに行ってきた。
この調子なら夏休みまでなんとか一度も顔を合わせずにーー
そんなことを考えながら階段を上っていると、信じられないものが視界に入った。
廊下に透が立っていた。
壁に背を預けて腕を組んで。
いつかのように。
視界に入った途端、身体が強張った。足が竦んで動けなくなった。
どうして…
さっきシャワーに行ったばかりじゃーー
透の視線がこちらを向いた。
刺すような、鋭い視線。
口が、ゆっくりと開く。
「姉さん、久しぶり」
皮肉げに歪んだ唇。
ずっと避けていた私を責めるように。
「ひ…さしぶ…り…」
声の震えは、隠しようもなかった。
「会いたかったよ」
透が壁から背を離し、廊下を歩いてくる。
階段の途中で立ち竦む私に向かって。
一歩一歩、歩いてくる。
それが見えているのに動けない。
透が階段を下りてきた。
一段、また一段。
トントンというその軽い足音を、耳にしても動けない。
トン
あ…
透が、私と同じ段に立った。
腕をつかまれる。強い力で。
「本当に、会いたかった」
俯く私に向けられた、鋭い視線。
透はそれ以上は何も言わずに、階段を上り始めた。
私の腕を握って。
ぎこちないながらも、操られたように足が動く。透の後について、私も階段を上る。
ダメ…ついて行っては…ダメ…抵抗…しなくては…
歩みは止まらない。
透のも。私のも。
ようやく足が止まった時には、透の部屋の前まで来てしまっていた。
私の腕を握っているのとは反対側の手が、ドアノブをつかむ。
「姉さん」
透が振り返った。
ガチャリとドアノブが回される。ドアが押され、部屋の中が見えた。
少し大きめの透のベッドも。
透が一歩、部屋の中に足を踏み入れた。
「おいで」
ぐいっと腕を引かれて、透の腕の中に倒れ込むようにして部屋の中に連れ込まれた。
すぐさまドアが閉められる。
ガチャリ
続いて、鍵をかける大きな音。
その音にびくりと震えた身体に、透の腕が力強く回された。
「会いたかった…姉さん…本当に…会いたかった…」
キツく、抱きしめられる。
身動きできないくらいに。
「姉さん…会いたかった…」
透が震える声で囁いた。
筋肉質な肩、腕。
男の人の…身体。
微かな体臭。
身をよじると、腕の力は更に強くなった。絶対に逃さないとでも言うように。
「姉さん…今日も…俺がクスリに走らないよう…助けて…」
甘さを感じる掠れ声に、背筋が震えた。大きな手のひらが、包み込むようにして私の首の後ろを撫でる。
ゆっくりと。
上下に何度も。
その感触に、息が上がってしまう。
「姉さん」
頭に何度もキスされる。
そちらに気をとられていると、不意に背中を撫で上げられた。服越しではなく直接。
暑いので部屋着として愛用しているワンピースを、裾から一気にまくり上げられていた。そのままブラのホックを外され、肩から肩紐を滑り落とされる。気づいた時にはほとんど脱がされていた。
「姉さん」
透に軽く押されてよろめき、ベッドにストンと腰を落とした。そのまま、ゆっくりと仰向けに押し倒される。首元に溜まったワンピースが、ごわごわして気持ち悪い。
乳首を軽く吸われた。
「姉さん…」
ゆっくり交互に。
喘ぎそうになる口を慌てて押さえようとすると、透に手首を押さえつけられた。
「ダメだよ姉さん…聞かせて…姉さんの可愛い声…」
上ずった声に、ぞくりと全身が泡立つ。もう一度乳首を吸われて、あられもない声が出た。
「うん…もっと…聞かせて…姉さん…ずっと…聞きたかったんだ…姉さんのその声…」
うっとりと透が囁く。
乳首を軽く吸われ噛まれ転がされ、いいように喘いでしまう。
拒絶しなければいけないのに…
喘いでばかりで言葉にならない。
首すじも、吸われる。
跡…ついちゃう…
そう思っても、透を止められない。
首を吸われるのと同時に乳首をつままれて、力が抜けてしまう。喘ぐことしかできない。
どうしてこんなに気持ちいいの…
「可愛い…姉さん…俺の……」
透の興奮した声。
私に…欲情している声…
「下着…脱がせるよ…」
透の手は、なんなく私の下着を下ろした。腰をよじっても、何の抵抗にもならなかった。
「姉さん…」
次の瞬間には、くちゅりと音を立てて透の指が中に入ってきた。
「よかった…濡れてる…感じてくれてるんだね、姉さん…」
ほっと息を吐いた透の指の動きが、徐々に激しくなっていく。私の中から蜜が溢れて、その動きを助ける。
抑えきれずに、喘ぎ声が漏れてしまう。奥を押されて、腰が揺らいでしまう。
「イっていいからね」
優しく囁かれて、弱いところを刺激されて。大した時間もかからず、堪えきれずに透にしがみついてイってしまった。
荒い息を吐く私の前で、透が服を脱いだ。Tシャツを脱いで、下着と一緒にズボンを下ろして。
一瞬だった。
「姉さん…」
余韻に震える私のそこに、透が自らのモノを押し当てた。すぐには挿れずに円を描くようにされて、思わず喘いでしまう。くちゅりくちゅりと、恥ずかしい音が鳴る。
私の中からあふれた蜜の音。
まるで先端でそこにキスされているみたい…。そう思ったら、そこがパクパクと収縮した。
蜜が外へと溢れ出す。
食い入るような透の視線が刺さった。
「姉さん…愛してるんだ…」
私の目を見つめながら、透が腰を進める。
「ダーー」
見計らったように唇を塞がれた。
時々唇を離しては「愛してる」と囁いて、すぐにまた唇を塞ぐ。それを繰り返されている間に、あっさり奥まで挿れられてしまった。
耳に入る、透のモノと私の中が触れ合う音は、とても気持ちがよさそうで。
「愛してる。姉さん…」
透が動くたびに、ぐちゃりぐちゃりと、いやらしい音がする。私の身体はこの行為を悦んでいると、私に何度も言い聞かせるように。それが恥ずかしくて辛い。でも…
気持ちいい…
やっぱり、透との行為は気持ちいい。嫌なのに…ダメなのに…
音に、感覚に、思い知らされる。
私は…弟にいやらしい行為をされて…悦んでいる…
蜜が…こんなに溢れてしまうほどに…
今まで付き合った誰とも、こんな風にはならなかった。誰にされても、こんなに夢中になってしまうことなんてなかった。
…いっそ話に聞く媚薬でも使われていればまだよかったのに。薬の所為にできたから。
でも私は今、完全に素面で、そんな言い訳もできない。お酒さえ飲んでいない。なのにこんな…
ぐいっと奥を突かれるのが、気持ちよくてたまらない。本当にやめて欲しい…これ以上されたら私…
「透っ…!」
やめてと言うつもりで叫んだその名前は、信じられないくらいに甘く響いた。気持ちいいと、言っているようにしか聞こえなかった。
ダメ…私は…お姉ちゃんなんだからっ…こんな…気持ちいいからって…流されちゃダメっ…透をとめなくちゃ…いけない…のにっ…
そんな私の考えを見透かしたかのように、透が優しく笑った。
「甘えて。姉さん」
透の甘い笑み。
「姉さんは女で、俺は男だから。姉さんは俺に甘えていいんだよ」
役割をすり替えられて、何を思うより先に中が透のモノに絡みついた。透の言葉に喜んだ。素直に、甘えた。
甘く焦らすように突かれて、さっきよりずっと蕩けた声が出てしまう。まるで透に甘えて求めているかのような声。
透が嬉しそうに笑う。男の顔で。
その表情に、鼓動が速くなる。
「好きなだけ甘えて…姉さん…」
その言葉に、笑顔に。堪えきれずに抱きついた。中の動きに引きずられるように、腕でも透を抱きしめた。
もう…ダメ…
もう…抑えきれない……
後で後悔すると分かっているのにっ…
「透っ…」
名前を呼んだ。
弟の名前を。
求めるように呼んだ。
「透っ…」
止まれない。
絶対、絶対終わったら後悔するのに…
「透っ…!」
「姉さん…今だけでもいいよ…」
切なさと寂しさと愛情が入り混じった瞳でそう囁かれて、躊躇いが消えた。
「透っ…」
背中に爪を立てる。
気持ちいい…忘れないで…私のこと…
支離滅裂な思考。
「透っ…」
前回は声に出せなかった名前を何度も呼ぶ。
「透っ…!」
口の中に入ってきた舌を喜んで迎える。舌で応える。
透に挿れられてるモノも舌も、どっちも気持ちよくて。
透が与えてくれる快楽を身体全部で貪る。
こんなに気持ちいいの初めて…
ふと気づくと、透が私をじっと見ていた。透から与えられる快楽を、悦んで受け入れる私を。
喰い殺されてしまいそう…
向けられる鋭い視線に、うっとりと目を細めた。向けられる強い感情が心地いい。
「とお…るっ…」
もっと見て。
その目で私を見て。
「透…」
首を噛まれて、嬉しくなった。
もっと噛んで欲しい。
食べられたい。
透に食べられたい。
「透っ…」
「もう…限界…っ…」
不意に呟いた透が、腰を思い切り振り始めた。
夢中になってる。
透が私に夢中になってるっ…
「透っ…!」
「姉さん…中に…出す…から…受けとめてっ…」
余裕のない、がむしゃらな動きで奥を突かれる。身体の奥に激しく突き挿れられる。無意識に頷く。
そして、透のモノが、私の中でびくんびくんと跳ねた。
透がイった。私の中で…
嬉しい…
透の熱。
荒い呼吸。
身体の重み。
とてつもなく満たされた感覚。
身体も心も、それ以外の何かでさえ。
すべてが満たされたようで…。
「透…」
ぐったりと私に覆い被さる透のこめかみに、そっとキスをして抱きしめた。
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