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106海軍設立

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 大ホールでの戦闘終結祝賀会が始まり、
各州の知事らの家族たちも参加している。

 多くの軍人将校らを引き連れた各司令官は、
夫人さえをも伴い参加していた。

 ムースン商業長官は夫人を伴い鹿島に挨拶に来て、
「閣下、わが愚妻が珍しいお店でお会いしたそうですが、
あの店では男性禁止だと伺っていたのに、
近頃では男性用の背広なるものが売りに出されたとの事で、
かなりの繁盛とのことですが、閣下も注文なさってはいかがですか?」
「既に仮縫い中です。」
「流石に閣下殿です。あそこのデザインは画期的で機能的です。
愚妻が目を付けたので、
ムースン商会では、あそこのデザインした服を一手に売り出す予定です。」

「デザイン料は?」
「ツル殿の特許は革命的で、流行風が吹いたならば、
かなりの金貨が、いや、白金貨が支払われるでしょう。
この神降臨街いちの大富豪になるかも知れません。
大富豪になった暁には、
我が社の筆頭株主になっていただきたいです。」

 ムースン商会は、エルフ財閥と猫亜人組合財閥に対抗するためか、
かなりの資本を必要のようである。

 鹿島が次々と色んな挨拶されている間に、
ムースン商業長官と夫人はいつの間にかはじかれてしまった様子で、
多くの司令官からは、鹿島は軍人将校等を次々と紹介されると、
軍人将校等は忠誠を誓っていく。

 トーマス元帥の周りには元陸戦隊のメンバーが集まっていて、
鹿島を迎えてくれた。

「隊長。おめでとうございます!」
と、全員にハモられた

「閣下。かなり司令官等から、空気を入れられていたようですが?」

「空気?」
「軍事教育を受けた生徒らが、もう直ぐ卒業するので、
各将校等が怯えているようです。」
「そこはトーマスがうまくやれるだろう。」
「問題はないと言い切れます。」

「海軍の計画は?」
「艦の概要は、地球星の初期の装甲巡洋艦の日進艦と春日艦をモデルにした石炭ボイラー造船ですと、直ぐに進水できそうです。
以後本格的には重油専燃ボイラー艦長門を参考にして、
多くの艦が間も無く造船され出すでしょうが、
大型瞬発内燃エンジンができたならば、順次取り換えていくようです。
機関部と砲台部の養成は終わってはいるのですが、
航海士官の教育がまだ終わって無いのは、希望者不足です。」
「ヤン次第か?」
「ハイ、ヤン次第です。」

 そこに見覚えのある士官養成大学の制服を着た娘が、
ポールにワゴン.カートに乗せた飲み物と食い物を運んできた。

「ミズミーちゃん。どうしてここに?」
と、ポールは驚いている。

「祝賀会手伝いの募集に応募して。」
「ザツ村のミズミーちゃん?」
「ハイ。ザツ村のミズミーです。
閣下様あの時は本当にありがとうございました。
天国みたいな神降臨街に連れて来ていただき、
ザツ村を代表して感謝します。」

「あの時、かなりの髪の毛が抜けていた様でしたが、もう大丈夫ですか?」
と鹿島は冗談を言ったら、ミズミーは慌てて頭に手を当てて、
真っ赤な顔になり、
「抜けていません。大丈夫です。」
と、言ってうろたえた。

「隊長。あまりからかわないでほしいです。
ミズミーちゃんはまだ子供ですよ。」
と、ポールが言うと、ミズミーはさらに真っ赤な顔になり、
ポールに平手打ちを食らわせた。

「子供ではありません。十七歳です。もう立派な大人です。」
と泣き出してしまった。

「何、女の子を泣かせているの!」
と、赤ん坊を抱いた婦人等を従えて、パトラとマーガレットが現れた。

 パトラの剣幕に驚いたミズミーちゃんは赤ん坊を見初めて、
レイに近づいて、
「抱かせてください。」
と言って、レイを受け取り上機嫌になった。

「可愛い~。お人形さんみたいな可愛い女の子ですね~。」
と、ひとりでに騒ぎだすと、赤ん坊たちの周りに人だかりが出来て、
鹿島達は身動きができなくなってしまいその場を離れると、
日出国皇王イエミツと白石に従うように宗矩が付き添っていた。

 イエミツは鹿島に近づいてきて、
「和子様達と姫様の誕生おめでとう御座います。
これで亜人協力国の未来はなお明るくなりました。」
と、三人は其々に祝いの言葉を述べた後に頭を下げた。

「有難う御座います。」
と鹿島が返事をすると、
「総督閣下様、
鉄の国と九ヶ条約を結んだ素晴らしいキョクトウ知事殿を、
紹介していただけませんか?」
と、白石が鹿島にささやいた。

 鹿島は周りにいる元陸戦隊に声をかけて、
キョクトウ知事を探させると、
キョクトウ知事も鹿島達を探していた様子で間もなく現れると、
同時に血相を変えたマーガレットが飛んできた。

「キョクトウ知事殿。鉄の国との九ヶ条約の内容は、ひどすぎます。
余りにも不平等条約でしょう。」
「相手の了解のもとに結んだ条約です。」
「脅しながらでしょう。」
「諭させただけです。」

 二人の論争に白石も加わり、
「キョクトウ知事殿の結んだ条約は正当な権利です。
特に評価できることは、
多くの問題を事前に全て押さえるための事だったと思います。
必要な事を全て熟慮断行されたのちの結論だったのでしょう。」
と白石は、キョクトウ知事の九ヶ条約の内容を高く評価していた。

 思わぬ反抗に会ったマーガレットは、
「貴方は誰?」
と、白石をにらみ返した。

 鹿島も割って入って、
「日出国の丞相新井白石殿です。」

 相変わらずマーガレットとキョクトウ知事の考え方は、
互いに両極端のようである

 日出国皇王イエミツの呼びかけで、
主な軍関係者と運営責任者を名指しされると、
急遽亜人協力国の運営委員会の四人と、
元陸戦隊全員が迎賓室に集まった。

 迎賓室の円卓には、イエミツと白石に宗矩等が塊になり、
それと向かうように鹿島を中心に皆が並んだ。

 イエミツは立ち上がって、
「日出国では、大きな変化が起こります。
それに伴い、亜人協力国に対しては、多くの要求がございます。
要求すべてを承諾くださいました暁には、
日出国は亜人協力国の州とならせていただきます。」

 迎賓室の亜人協力国の面々は、
亜人協力国の州になるなどと予想していなかったためか、
凍り付いた静寂が訪れると、

 白石の発言は、
「帝イエミツは隠匿されて、私が摂政となり日出国を治めます。
亜人協力国は、我が国に海軍省を設立していただいた暁には、
巴姫とヤン殿を結婚させます。
亜人協力国においては、ヤン殿を海軍省元帥に指名していただきたい。
海軍省ができたならば、陸や海で戦える海兵隊の設立をもお願いしたい。
海軍省は我が国の商船を、
各国との貿易を行う上での保護をしてもらいたい。
そしてわたくしを、亜人協力国の運営委員会に入れてほしい。
運営委員会に入れていただいた後に、
立憲君主制と中央集権国家への憲法改正を提案したい。」

 白石は日出国に残っている戦力を、
ヤンの下に集結させて巴姫を守ると同時に、
亜人協力国での発言力を持ちたい様子で、
かなりの主戦強行派かもしれないとマーガレットは感じた。

 亜人協力国の参加者全員が、マーガレットを見つめている。
「私!私次第!」と、マーガレットは困惑しだした。
そんなマーガレットに皆は頷いた。

「私はすべてを認めるが、憲法改正の中身については、論争します。」
と、マーガレットは承諾した。

 めでたく、日出州は成立して、白石知事が誕生した。

 トーマス元帥は海軍省について、白石に新たな提案をした後に、
海軍省傘下に海軍兵学校の設立をも提案した。

 ビリーとポールは帆のないディーゼルエンジンの説明を始めた。
そして、日出州には全ての領域海図の提出を求めている。

 白石は、なんとなく理解してはいるようだが、
壮大すぎると唸りだした。

 海軍兵学校の設立の準備は、帰国後直ぐに行えると宣言して、
鉄の船の造船所を要求した。

 トーマス元帥は新たなる造船所設立を、運営委員会四人の承諾を得た。

 海兵隊の設立に当たっては、
日出州の兵を訓練することで互いに了解した。

 トーマス元帥はヤンと巴姫との結婚に賛成の意向を強く示した。
更に、ヤンを海軍省元帥に推薦を宣言して、
鹿島に了解を求めてきたので鹿島は了解した。

 トーマス元帥は、ビリーとポールに海軍兵学校の航海士官の教育と、海兵隊の訓練を指示した。

 迎賓室にトーマス元帥とビリーにポール等に加えて白石と宗矩が残り、細かい打ち合わせの為に、ほかのみんなは祝賀会の場に向かった。
 
 鹿島は後でトーマスからの知らせで、
その後にキョクトウ知事が現れると、
白石と意気投合した様子で二人は朝まで飲んでいたそうである。

 また一人、マーガレットの政敵が現れたようである。

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