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94逃避行完遂
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朝食を終えて、国境を越える期待の為か、
起き上がる皆からは力強さが見て取れた。
先頭はトーマスに譲り、鹿島は最後尾を担当しているが、
程なくして若干ではあるが、足元は下りだしている様子である。
朝日を背にしているのでまだ若干暗いが、
皆はへこたれないで進んで行く。
時々女性たちの中から、
山菜や茸を見つけると列を離れてしまう人がいるので、
鹿島は、戻り直しを確認する必要があると思い、
未知の襲撃を未然に防ぐ必要があるので、
周りと後ろを警戒しながらも気を付けなければならなかった。
「山桃だ!」との声が響くと皆が駆け出した。
直径七、八十センチ位の大木に、何人かの男たちが登っていて、
袋に赤い実を入れている者たちもいるが、
中には赤い実を付けた枝木を落としている者たちも居る。
下では子供達が大喜びで、落ちてくる枝に歓喜の声を上げている。
鹿島も近くに落ちた赤い実の付いた枝を拾い、
見覚えのあるイチゴ味の実を口に入れた。
鹿島の方へ風に流された枝を追ってくる娘がいて、
その手には何本かの枝が握りしめられていた。
幸いにも、枝は鹿島よりも娘の近くに落ちたので、
娘はそれを拾ってステップ踏みながら、
集団外側に居るポールの傍にステップ足のままで近寄ると、
枝から赤い実を摘み取り、ポールの口に差し込んだ。
ポールもまんざらではない顔で次々と頬張り、
極上の料理を食べている顔をしている。
鹿島はそれを見て、羨ましい幸せな野郎であると思いながらも、
早くマーガレットとパトラに会いたいと思ってしまった。
今更ながら、初めてのホームシックになってしまった様である。
赤い実を取り終えたのか、
男たちは大木から赤い実の入った袋を持って降りて来ると、
スープ用陶器を持った子供たちと女性たちが待っている所に向かい、
赤い実を大きい陶器にはそれなりに、
小さな陶器には残念なりに盛られている。
イチゴ味のヤマモモ饗宴は終わり、
国境は越えたとのサスケの声で、この場で早い昼食会となった。
ポールは調理中の婦人らに何かの説明をした後に、
並べられたかまどに乗せられている鍋の中に、
残っていた非常食と各種類のスープ元を加えだした。
今回のスープでは多彩なスープが並んでいる。
鹿島はポールと、調理してくれた婦人たちに感謝しながらゴチになった。
食事が終わりかけた頃、コーA.Iからの連絡が入り、
既に鹿島達が現れるだろうと思われる森の前に、
ヒルルマ司令官が着いたとの知らせを受けた。
更にゲルググ知事までもが、
昼夜問わず二日間寝ないでエミューを取り替えながら乗り潰して、
鹿島達の方へ向かっているとの事である。
ゲルググ州では、
鹿島達の漫遊でかなりの大事になってしまっているようである。
鹿島達はサスケの案内で狩り場が遠いのには苦労したが、
魔獣や猛獣に遭遇することなく、一人のけが人もなかった事に、
鹿島は、サスケには感謝しなければならないだろうと思っている。
まだ陽が高いうちに、
森の木々が段々低く感じてくるのは、森が終わる予感がする。
所々に木々はあるが、藪が多くなってきている辺りで、
かなりの数で一斉射撃の銃声が静かな森の中をコダマしだした。
鹿島はヒルルマ司令官が我々に合図するためか、
不足の事態が起きたのではと思ったが、銃声はそれきりで終わった。
先頭集団から歓声が挙がったのは、
先頭部はようやく森を抜けたようである
歓声が挙がった後は、
みんな駆け足になっていたのに、急に渋滞になってしまった。
「総督閣下様。ヒルルマです。お迎えに上がりました。」
と言いながら、
ヒルルマ司令官が駆け込みながら、森の中に入ってきている。
ザツ村のみんなは、鹿島の方へ指さしてヒルルマ司令官に伝えている。
「閣下。無茶はしないでください。
閣下等だけで火の国に入ったと聞いた時には、
思わず立ち眩みしてしまいました。
危険地帯に入る時は、すぐ連絡ください。この事は部下からの上申です。」
と言いながら、再開の感動か、安度からか、涙をこぼしている。
鹿島はヒルルマ司令官を伴い森の外に出ると、
多くのテントが並びその中では、
多くの清潔な服装の婦人たちが料理を作っている。
テント横に大量の銀色狼似キャルドが並べられているのは、
先程の銃声原因だろうと思われる。
銃兵隊がいなかったら、
ザッツ村の住民に多くのけが人が出ていたであろう。
テントの先には多くのホロ付き荷車が並んでいる外側に、
多くの銃兵隊がきちんと整列している。
「天幕では、妻と親戚一同のおなご衆が腕を振るっています。
宮廷料理とまではいわないが、かなり期待してください。」
と言って、三つのソファーが用意されている天幕に向かった。
天幕の横には大きな広い天幕が用意されていて、
ザツ村のみんなのために中には多くのイスとテーブルが並んでいた。
だが、ザツ村のみんなは遠慮しているのか一塊で佇んでいる。
将校衛士兵がザツ村のみんなに、天幕の中に入るよう勧めている。
ザツ村のみんなが椅子に座りだすと、ザツ村塊の中に居たのか、
トーマスとポールも鹿島達の荷物を積んだ四頭のエミューを引いて、
鹿島の方へ向かってくる後ろで、
サスケが集団から離れて、街道に出ようとしているので、
「ヒルルマ司令官。申し訳ないが、あの男をここに呼んでくれ。
大事な友人だ。」
と言って、サスケを指さした。
ヒルルマ司令官は、護衛していた将校衛士兵を呼び指示を与えると、一頭のエミューが駆け出して行って、後ろにサスケを乗せて帰ってきた。
「水臭いな~サスケ殿。挨拶なしで居なくなるつもりか?」
「私の仕事は終わりましたので。」
「もう一つ残っているだろう。少し待ってくれ。」
と鹿島は言って、
トーマスが引いているエミューの背中から、鹿島用の荷物を下ろすと、百貨幣は入っているだろう金貨を入れている革袋を取り出してサスケの前に向かった。
「サスケ殿。約束のお礼だ。受け取ってくれ。」
と言って、革袋を差し出すとサスケは辞退して、
「これは私の義務でのことです。礼でしたら我が殿にお願いします。」
「それはそれ、これはこれ。私の気持ちだと思ってくれ。
サスケ殿の物になってしまっているこの袋を、俺は受け取れない。」
と言って、サスケの手に握らせた。
サスケの予想より多かったのか、
革袋を握った瞬間に前のめりになった。
「いくら何でも多すぎます。」
「少ないより、多い方がいいだろう。」
サスケは礼を述べるように頭を下げて再び出ていこうとしているが、鹿島は引き留めるように、
「逃避行は無事に終わった。祝い酒を共に飲もう。」
と言って、傍の椅子に座らせた。
「閣下とご友人殿との関係は?」
と、サスケの服装が気になるのか、ヒルルマ司令官は訪ねてきた。
「サスケ殿は日出国の柳生領頭領宗矩殿の配下で、
諜報専門のサスケといいます。」
「諜報専門?」
「気にするな!今は俺の護衛で同盟よりも信頼できる。
頭領宗矩殿さえ俺達仲間の旗本になるのは、時間の問題だ。」
「仲間の旗本?」
と、同時にヒルルマ司令官とサスケがハモった。
サスケにおいては、寝耳に水とばかりに立ち上がっている。
「ア、 ア~。しまった。頭領宗矩殿も了解している。
これは、日出国家光帝との密約であった。
二人共聞かなかったことにしてくれ。」
だが、二人はかなり動揺しているようである。
「サスケ殿。すまんが、発表されるまで内緒にしてほしい。」
と鹿島は手を合わせた。
「我が殿に関することは、たとえ仲間であろうが、
殺される目に合おうが言いません。」
「柳生宗矩殿は家光皇王の旗本を解任されて、
巴姫の旗本に格下げされたと。発表されていますが、そのことと関係が?」
「え~~。」
再びサスケは椅子から立ち上がった。
「皇王様の旗本を解任されたのは、いつの話ですか?」
「六日前。」
「俺達が会った日だな。」
サスケは椅子に座り直して考え込んだ。
「上のことは関係無い。今迄と同じだ。」
と、サスケは呟き開き直ったが、心の動揺は隠せなかった。
食事会は先にザツ村のみんなから配られて、
やはり酒も振るわれている様子である。
鹿島達にもすでに酒は振るわれていたが、サスケ以外はお茶を所望した。
次々といろんな料理が運ばれてきて、
カナリア街での感謝会の食事場面が浮かんだが、
それは鹿島の杞憂だった。
料理の運ばれが途絶えたころ、おなご衆は鹿島の後ろで、
片膝を土につけたまま、鹿島の食事が終わるのを待っていたようで、
鹿島がホークとナイフを皿に置くと、
「閣下。おなご衆の挨拶を受けてください。」
と言って、ヒルルマ司令官は立ち上がった。
鹿島が振り向くと、おなご衆は鹿島の後ろで、
片膝を土につけたまま下を向いている。
「ヒルルマの息子ヒュースレンを助けていただき、有難うございました。本人は勉学中なのでここにいませんが、
親戚一同、閣下の恩義は忘れません。」
片膝を付けたまま、両手を土につけて頭を下げた。
「あ。それ止めましょう。対等の立場が、亜人協力国のいいところです。
国是でもあります。」
「国是は理解しています。これは人間と人間の信頼の証です。」
「受け取りました。立って、一緒に食事しませんか?」
重たい一族のようである。
「有難うございます。わたくしたちは既に食事は終わっていますので、次の機会によろしくお願いします。」
と会話中に、
突進してくるエミューの集団が、
地響きと共に土煙を上げて遠くに現れた。
起き上がる皆からは力強さが見て取れた。
先頭はトーマスに譲り、鹿島は最後尾を担当しているが、
程なくして若干ではあるが、足元は下りだしている様子である。
朝日を背にしているのでまだ若干暗いが、
皆はへこたれないで進んで行く。
時々女性たちの中から、
山菜や茸を見つけると列を離れてしまう人がいるので、
鹿島は、戻り直しを確認する必要があると思い、
未知の襲撃を未然に防ぐ必要があるので、
周りと後ろを警戒しながらも気を付けなければならなかった。
「山桃だ!」との声が響くと皆が駆け出した。
直径七、八十センチ位の大木に、何人かの男たちが登っていて、
袋に赤い実を入れている者たちもいるが、
中には赤い実を付けた枝木を落としている者たちも居る。
下では子供達が大喜びで、落ちてくる枝に歓喜の声を上げている。
鹿島も近くに落ちた赤い実の付いた枝を拾い、
見覚えのあるイチゴ味の実を口に入れた。
鹿島の方へ風に流された枝を追ってくる娘がいて、
その手には何本かの枝が握りしめられていた。
幸いにも、枝は鹿島よりも娘の近くに落ちたので、
娘はそれを拾ってステップ踏みながら、
集団外側に居るポールの傍にステップ足のままで近寄ると、
枝から赤い実を摘み取り、ポールの口に差し込んだ。
ポールもまんざらではない顔で次々と頬張り、
極上の料理を食べている顔をしている。
鹿島はそれを見て、羨ましい幸せな野郎であると思いながらも、
早くマーガレットとパトラに会いたいと思ってしまった。
今更ながら、初めてのホームシックになってしまった様である。
赤い実を取り終えたのか、
男たちは大木から赤い実の入った袋を持って降りて来ると、
スープ用陶器を持った子供たちと女性たちが待っている所に向かい、
赤い実を大きい陶器にはそれなりに、
小さな陶器には残念なりに盛られている。
イチゴ味のヤマモモ饗宴は終わり、
国境は越えたとのサスケの声で、この場で早い昼食会となった。
ポールは調理中の婦人らに何かの説明をした後に、
並べられたかまどに乗せられている鍋の中に、
残っていた非常食と各種類のスープ元を加えだした。
今回のスープでは多彩なスープが並んでいる。
鹿島はポールと、調理してくれた婦人たちに感謝しながらゴチになった。
食事が終わりかけた頃、コーA.Iからの連絡が入り、
既に鹿島達が現れるだろうと思われる森の前に、
ヒルルマ司令官が着いたとの知らせを受けた。
更にゲルググ知事までもが、
昼夜問わず二日間寝ないでエミューを取り替えながら乗り潰して、
鹿島達の方へ向かっているとの事である。
ゲルググ州では、
鹿島達の漫遊でかなりの大事になってしまっているようである。
鹿島達はサスケの案内で狩り場が遠いのには苦労したが、
魔獣や猛獣に遭遇することなく、一人のけが人もなかった事に、
鹿島は、サスケには感謝しなければならないだろうと思っている。
まだ陽が高いうちに、
森の木々が段々低く感じてくるのは、森が終わる予感がする。
所々に木々はあるが、藪が多くなってきている辺りで、
かなりの数で一斉射撃の銃声が静かな森の中をコダマしだした。
鹿島はヒルルマ司令官が我々に合図するためか、
不足の事態が起きたのではと思ったが、銃声はそれきりで終わった。
先頭集団から歓声が挙がったのは、
先頭部はようやく森を抜けたようである
歓声が挙がった後は、
みんな駆け足になっていたのに、急に渋滞になってしまった。
「総督閣下様。ヒルルマです。お迎えに上がりました。」
と言いながら、
ヒルルマ司令官が駆け込みながら、森の中に入ってきている。
ザツ村のみんなは、鹿島の方へ指さしてヒルルマ司令官に伝えている。
「閣下。無茶はしないでください。
閣下等だけで火の国に入ったと聞いた時には、
思わず立ち眩みしてしまいました。
危険地帯に入る時は、すぐ連絡ください。この事は部下からの上申です。」
と言いながら、再開の感動か、安度からか、涙をこぼしている。
鹿島はヒルルマ司令官を伴い森の外に出ると、
多くのテントが並びその中では、
多くの清潔な服装の婦人たちが料理を作っている。
テント横に大量の銀色狼似キャルドが並べられているのは、
先程の銃声原因だろうと思われる。
銃兵隊がいなかったら、
ザッツ村の住民に多くのけが人が出ていたであろう。
テントの先には多くのホロ付き荷車が並んでいる外側に、
多くの銃兵隊がきちんと整列している。
「天幕では、妻と親戚一同のおなご衆が腕を振るっています。
宮廷料理とまではいわないが、かなり期待してください。」
と言って、三つのソファーが用意されている天幕に向かった。
天幕の横には大きな広い天幕が用意されていて、
ザツ村のみんなのために中には多くのイスとテーブルが並んでいた。
だが、ザツ村のみんなは遠慮しているのか一塊で佇んでいる。
将校衛士兵がザツ村のみんなに、天幕の中に入るよう勧めている。
ザツ村のみんなが椅子に座りだすと、ザツ村塊の中に居たのか、
トーマスとポールも鹿島達の荷物を積んだ四頭のエミューを引いて、
鹿島の方へ向かってくる後ろで、
サスケが集団から離れて、街道に出ようとしているので、
「ヒルルマ司令官。申し訳ないが、あの男をここに呼んでくれ。
大事な友人だ。」
と言って、サスケを指さした。
ヒルルマ司令官は、護衛していた将校衛士兵を呼び指示を与えると、一頭のエミューが駆け出して行って、後ろにサスケを乗せて帰ってきた。
「水臭いな~サスケ殿。挨拶なしで居なくなるつもりか?」
「私の仕事は終わりましたので。」
「もう一つ残っているだろう。少し待ってくれ。」
と鹿島は言って、
トーマスが引いているエミューの背中から、鹿島用の荷物を下ろすと、百貨幣は入っているだろう金貨を入れている革袋を取り出してサスケの前に向かった。
「サスケ殿。約束のお礼だ。受け取ってくれ。」
と言って、革袋を差し出すとサスケは辞退して、
「これは私の義務でのことです。礼でしたら我が殿にお願いします。」
「それはそれ、これはこれ。私の気持ちだと思ってくれ。
サスケ殿の物になってしまっているこの袋を、俺は受け取れない。」
と言って、サスケの手に握らせた。
サスケの予想より多かったのか、
革袋を握った瞬間に前のめりになった。
「いくら何でも多すぎます。」
「少ないより、多い方がいいだろう。」
サスケは礼を述べるように頭を下げて再び出ていこうとしているが、鹿島は引き留めるように、
「逃避行は無事に終わった。祝い酒を共に飲もう。」
と言って、傍の椅子に座らせた。
「閣下とご友人殿との関係は?」
と、サスケの服装が気になるのか、ヒルルマ司令官は訪ねてきた。
「サスケ殿は日出国の柳生領頭領宗矩殿の配下で、
諜報専門のサスケといいます。」
「諜報専門?」
「気にするな!今は俺の護衛で同盟よりも信頼できる。
頭領宗矩殿さえ俺達仲間の旗本になるのは、時間の問題だ。」
「仲間の旗本?」
と、同時にヒルルマ司令官とサスケがハモった。
サスケにおいては、寝耳に水とばかりに立ち上がっている。
「ア、 ア~。しまった。頭領宗矩殿も了解している。
これは、日出国家光帝との密約であった。
二人共聞かなかったことにしてくれ。」
だが、二人はかなり動揺しているようである。
「サスケ殿。すまんが、発表されるまで内緒にしてほしい。」
と鹿島は手を合わせた。
「我が殿に関することは、たとえ仲間であろうが、
殺される目に合おうが言いません。」
「柳生宗矩殿は家光皇王の旗本を解任されて、
巴姫の旗本に格下げされたと。発表されていますが、そのことと関係が?」
「え~~。」
再びサスケは椅子から立ち上がった。
「皇王様の旗本を解任されたのは、いつの話ですか?」
「六日前。」
「俺達が会った日だな。」
サスケは椅子に座り直して考え込んだ。
「上のことは関係無い。今迄と同じだ。」
と、サスケは呟き開き直ったが、心の動揺は隠せなかった。
食事会は先にザツ村のみんなから配られて、
やはり酒も振るわれている様子である。
鹿島達にもすでに酒は振るわれていたが、サスケ以外はお茶を所望した。
次々といろんな料理が運ばれてきて、
カナリア街での感謝会の食事場面が浮かんだが、
それは鹿島の杞憂だった。
料理の運ばれが途絶えたころ、おなご衆は鹿島の後ろで、
片膝を土につけたまま、鹿島の食事が終わるのを待っていたようで、
鹿島がホークとナイフを皿に置くと、
「閣下。おなご衆の挨拶を受けてください。」
と言って、ヒルルマ司令官は立ち上がった。
鹿島が振り向くと、おなご衆は鹿島の後ろで、
片膝を土につけたまま下を向いている。
「ヒルルマの息子ヒュースレンを助けていただき、有難うございました。本人は勉学中なのでここにいませんが、
親戚一同、閣下の恩義は忘れません。」
片膝を付けたまま、両手を土につけて頭を下げた。
「あ。それ止めましょう。対等の立場が、亜人協力国のいいところです。
国是でもあります。」
「国是は理解しています。これは人間と人間の信頼の証です。」
「受け取りました。立って、一緒に食事しませんか?」
重たい一族のようである。
「有難うございます。わたくしたちは既に食事は終わっていますので、次の機会によろしくお願いします。」
と会話中に、
突進してくるエミューの集団が、
地響きと共に土煙を上げて遠くに現れた。
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