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56女儀仗兵
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裂熊丸達は、神守街で仕入れた穀物を持ち込んだが、ムー帝国の都は混乱状態であり、店の木戸はすべて下ろされていた。
しかしながら幸いにも穀物屋の木戸は開いているので、穀物をいくらで引き取るか交渉すると、神守街で仕入れた倍の値段十金貨で売れたので、裂熊丸達は、背負って来たかいがあったと喜んだ。
宿を探して都を歩き回ると、荷造りの者たちが多数いるが、門から出してもらえないと嘆いている。
開戦前にもかかわらず十万人は居るだろうはずのムー帝国兵と、傭兵の姿はまばらで、街の警護衛士兵の姿も矢張りまばらである。
これは意図して兵を隠匿しているのか、領民兵の集まりが悪いのか、裂熊丸には異常な状態にも感じられた。
裂熊丸は宿を見つけて入ると、受付の男はいの一番に食事の用意は出来ないと、断りの返事が返ってきた。
裂熊丸達は持ち込んだ大量の硫黄蒸しした干し肉を見せると、宿代代わりに干し肉を求めたので、宿代は無料で、持ち合わせの干し肉を半分分けてやり、大銀貨五枚をせしめた。
裂熊丸は傭兵の姿を見ないことを不思議だと言って、傭兵募集はないのかと聞いたら、
「あるだろう。」
といって、宿の受付につれなく返事をされただけでなく、消化不良の状態で話を切らされた。
城壁での戦いになったならば、市民をも守ってくれる傭兵は歓迎されるはずなのに、もしも負け戦になった場合は、自分達敗戦市民は、暴行や略奪をされてしまうのが戦争である。
宿での裂熊丸が感じた関わりたくないとの態度は、自分の身に残忍なことが起きると推測できるのにも拘らず、市民をも守ってくれる傭兵を歓迎してない様子の非協力的態度は、おかしな心情状態であるように思えた。
神守街ではあぶれた傭兵が多くいて、伝手を求めてゲルググ商会周りを徘徊している集団を見かけたが、ここでは徘徊している傭兵を見掛ける事は無かったし、住民は活気なく、不安げな顔だけしか感じられなかったので、裂熊丸は、気分を改めてから、再度受付の男に訳を聞くと、
「元皇太子邸宅の門が原因さ!」
と、受付の男は意味不明なことを言い出したが、後はなにを聞いても聞こえないふりして、迷惑顔で黙り込んだ。
裂熊丸は、ムー都においては、これ以上の情報を得る事はないと判断して、ムー帝国の敵対国、亜人協力国の神降臨街へ向かうことにしたのは、黒鎧の守り人が食糧不足のことは、相談に乗ろうと言ったことに興味もあり、亜人協力国の雰囲気調査に向かうことにした。
裂熊丸は、隠密に行動したいが為に、亜人国の城壁街での宿泊を避けた。
自分達の軍事行動においては、四日間の野宿移動は、自分らにとっては当たり前の事であった。
神降臨街の城壁門前に着くと、どのようにして五メートル四方の石を五段も積み上げたのかと、裂熊丸は不思議に思い、その高さにも驚かされた。
神降臨街門の出入りはどの街よりも混雑していて、裂熊丸の前では、既に二列の列ができてはいるが、既に片列だけでも二十人以上いた。
混乱している原因は、三人組の傭兵と門番衛士兵のトラブルのようである。
隣の列に並んでいる若い商人風たちの会話では、
「また、亜人協力国の国是に同意しないやつが、現れたようだな。」
「ガイア様教の教えを知らないやつだろうし、傭兵など募集していないだろう。」
と会話を交わしている。
裂熊丸は七色に輝く甲冑姿の兵を見て、女儀仗兵だろうかと眺めていると、
男三人組の傭兵らしき奴らを、門の中のテントへ案内して行った。
暫くして、男たちを罵倒する女声が響いてくると、
テントから剣を抜いた男たちが飛び出してきた。
「いっぱしに戦士面した女ども、剣の使い方を教えてやる!」
と、女相手に粋がっている。
テントの周りにいる女儀仗兵達は、剣を抜いた男三人に槍で身構えていた。
女儀仗兵達の持っている槍は、見たこともない反り鉈(なた)刃みたいな槍先である。
裂熊丸は黒い甲冑等と同じ様に、女儀仗兵達が槍先刃を赤く輝かせたのを見止めると、
女儀仗兵達も、鬼神か魔神の累なのではと注視した。
女儀仗兵達は、傭兵らしき奴ら三人を取り囲んだ。
女儀仗兵達の腕は確かなようで、特質な槍をうまく操り、
自分に有利な間合いを保っているので、三人の男たちが攻めあぐんで踏み込むことができないのは、
普段から女儀仗兵は、訓練に精進してのことだろうと、裂熊丸は感心していた。
女儀仗兵の堅い守りを無理に突破しようとした一人は、
女儀仗兵の掛け声で袈裟懸けに切られた。
虹色に輝く甲冑を身に着けた二人の女儀仗兵が輪の中に入り、赤く輝いた剣を上段に構えると、
切り込んできた男の剣諸共上段から真っ直ぐに鎖鎧身のまま、
共に肩から胴まで切り裂いたのは、見事な腕と度胸であるが、
一歩遅れると自身の身が危ない剣術である。
もう一人の女儀仗兵は白く光った剣で中段に構えると、
切り込んできた傭兵らしきやつを横に交わし、
掛け声とともに首をはねた姿は、舞を踊っているようなスキのない可憐さである。
裂熊丸は二人の女儀仗兵と立ち会っても、同じ種類の剣であるならば、
互角には立ち会えるだろうし、勝てる自信もある。
だが、剣の違いは、勝負にかなり影響するであろうと、裂熊丸は考え込むと、亜人協力国の人種は、たとえ女であろうとも、矢張り鬼神か魔神の化身ではないだろうかとも思えた。
女儀仗兵さえも鬼神か魔神の化身の強さを見て、亜人協力国の力で、瞬く間に四ヶ国を併合できたのは、納得できる出来事であった。
女儀仗兵であるのに、猛者頭以上であるのは、
亜人協力国の戦士者共は、鬼神か魔神の類であろうと、裂熊丸は確信せざるを得ない。
門番衛士兵の検問調査は、ほかの国とはかなり違っていた。
「亜人協力国の国是をご存知ですか?」
と、裂熊丸に尋ねて来たので、
「よく存じています。個人の尊厳を守ることだと聞いています。」
「ありがとうございました。次の方、個人の尊厳の意味はご存知ですか?」
「意味など、まして、何のことだがさえも解りません。」
と、黒豹丸は答えてしまったのは、正直な感想を言ってしまう一本気な男であるが、周りの門番衛士兵は黒豹丸を取り囲んだ。
裂熊丸は慌てて、黒豹丸と門番衛士兵の間に入り、
黒鎧の守り人に神降臨街に呼ばれたといった。
門番衛士兵同士が話し合ったあと、一人がテントの方へ駆けて行き、駆け戻ってきた。
裂熊丸等五人は、二人の門番衛士兵にテントまで行くよう言うと、
門番衛士兵二人に同行させられた。
裂熊丸はテントの中に入ると、テーブルの前に椅子が五脚置かれていて、
正面には白く光った剣で戦った、品の良い高貴な感じの美人な娘がいた。
その後ろには、やはり赤く輝いた剣を使った綺麗な娘も高貴な感じがする。
二人の美しさは甲乙つけがたいと、裂熊丸は見惚れた。
「何処で、黒鎧の守り人に会いましたか?」
高貴な感じの美人な娘は、たった今、男の首を落としたことを気にかけていないようで、
既に修羅場を経験した者だけが持つ、静かな落ち着いた声で尋ねた。
「元ゲルググ国と境のムー帝国都近くで、お会いしました。」
「その者は自分で名乗りましたか?」
「亜人協力国の守り人と名乗りました。そして、後ろの剣士と同じ様な、
赤く輝いた剣を使いました。」
「ジャネック。確認してください。」
と、赤く輝いた剣を使った、娘ジャネックに指示した。
裂熊丸の言葉を確認するためか、赤く輝いた剣を使ったジャネックは、
テントから出ていった。
裂熊丸の感じでは、二人共まだ二十歳前のようであるが、この二人の落ち着き方は、
どんな修羅場を経験したのか気になるが、近寄りがたい冷たい鋭い刃をも感じた。
裂熊丸はしばらく待たされたが、赤く輝いた剣使いジャネックは再びテントに現れて、
裂熊丸をテントの裏に案内して荷車に乗るよう指示してきた。
鉄でできた荷車の荷台には両脇に椅子があり、裂熊丸は座っているように注意されたが、
引手のエミューはまだ用意されていなかったし、後ろの荷車には特質な槍を持った四人が乗り込み、一人は荷車前方の箱に入っているがエミューの手綱をどの様に操作するのだろうと不思議に思った。
何故か、後ろ荷車も引手エミューはまだなかなか用意されない。
裂熊丸は腹の底に響く唸り声に驚いたら、荷車は急に動き出した。
裂熊丸は魔物か魔法かわからない、奇怪な物の背中にいるような恐怖を覚えた。
鉄の荷車はすごい速さであり、顔に当たる風は気持ちいいが、揺れる怖さの方が強いようで、
握れる物は何でもよかったので、裂熊丸は怖いながらも冷たい表皮の角をつかんだ。
後ろの荷車も遅れないように付いてきているが、
裂熊丸の見る、引手エミューのいない荷車は異様である。
テントの裏からは街並みが続いていて、商店の看板の多さに驚かされたのは、
自給自足に慣れている裂熊丸には、自前で用意できる必要ないものが多くみられたが、どの店も客は入っているようであるし、通りは祭りの夜のようなにぎわいである。
向かう前方には二メートルの太さの抗の壁があり、その先には白く大きな宮殿のようだが、火の国の宮殿の十倍はありそうな風格が漂っている。
しかしながら幸いにも穀物屋の木戸は開いているので、穀物をいくらで引き取るか交渉すると、神守街で仕入れた倍の値段十金貨で売れたので、裂熊丸達は、背負って来たかいがあったと喜んだ。
宿を探して都を歩き回ると、荷造りの者たちが多数いるが、門から出してもらえないと嘆いている。
開戦前にもかかわらず十万人は居るだろうはずのムー帝国兵と、傭兵の姿はまばらで、街の警護衛士兵の姿も矢張りまばらである。
これは意図して兵を隠匿しているのか、領民兵の集まりが悪いのか、裂熊丸には異常な状態にも感じられた。
裂熊丸は宿を見つけて入ると、受付の男はいの一番に食事の用意は出来ないと、断りの返事が返ってきた。
裂熊丸達は持ち込んだ大量の硫黄蒸しした干し肉を見せると、宿代代わりに干し肉を求めたので、宿代は無料で、持ち合わせの干し肉を半分分けてやり、大銀貨五枚をせしめた。
裂熊丸は傭兵の姿を見ないことを不思議だと言って、傭兵募集はないのかと聞いたら、
「あるだろう。」
といって、宿の受付につれなく返事をされただけでなく、消化不良の状態で話を切らされた。
城壁での戦いになったならば、市民をも守ってくれる傭兵は歓迎されるはずなのに、もしも負け戦になった場合は、自分達敗戦市民は、暴行や略奪をされてしまうのが戦争である。
宿での裂熊丸が感じた関わりたくないとの態度は、自分の身に残忍なことが起きると推測できるのにも拘らず、市民をも守ってくれる傭兵を歓迎してない様子の非協力的態度は、おかしな心情状態であるように思えた。
神守街ではあぶれた傭兵が多くいて、伝手を求めてゲルググ商会周りを徘徊している集団を見かけたが、ここでは徘徊している傭兵を見掛ける事は無かったし、住民は活気なく、不安げな顔だけしか感じられなかったので、裂熊丸は、気分を改めてから、再度受付の男に訳を聞くと、
「元皇太子邸宅の門が原因さ!」
と、受付の男は意味不明なことを言い出したが、後はなにを聞いても聞こえないふりして、迷惑顔で黙り込んだ。
裂熊丸は、ムー都においては、これ以上の情報を得る事はないと判断して、ムー帝国の敵対国、亜人協力国の神降臨街へ向かうことにしたのは、黒鎧の守り人が食糧不足のことは、相談に乗ろうと言ったことに興味もあり、亜人協力国の雰囲気調査に向かうことにした。
裂熊丸は、隠密に行動したいが為に、亜人国の城壁街での宿泊を避けた。
自分達の軍事行動においては、四日間の野宿移動は、自分らにとっては当たり前の事であった。
神降臨街の城壁門前に着くと、どのようにして五メートル四方の石を五段も積み上げたのかと、裂熊丸は不思議に思い、その高さにも驚かされた。
神降臨街門の出入りはどの街よりも混雑していて、裂熊丸の前では、既に二列の列ができてはいるが、既に片列だけでも二十人以上いた。
混乱している原因は、三人組の傭兵と門番衛士兵のトラブルのようである。
隣の列に並んでいる若い商人風たちの会話では、
「また、亜人協力国の国是に同意しないやつが、現れたようだな。」
「ガイア様教の教えを知らないやつだろうし、傭兵など募集していないだろう。」
と会話を交わしている。
裂熊丸は七色に輝く甲冑姿の兵を見て、女儀仗兵だろうかと眺めていると、
男三人組の傭兵らしき奴らを、門の中のテントへ案内して行った。
暫くして、男たちを罵倒する女声が響いてくると、
テントから剣を抜いた男たちが飛び出してきた。
「いっぱしに戦士面した女ども、剣の使い方を教えてやる!」
と、女相手に粋がっている。
テントの周りにいる女儀仗兵達は、剣を抜いた男三人に槍で身構えていた。
女儀仗兵達の持っている槍は、見たこともない反り鉈(なた)刃みたいな槍先である。
裂熊丸は黒い甲冑等と同じ様に、女儀仗兵達が槍先刃を赤く輝かせたのを見止めると、
女儀仗兵達も、鬼神か魔神の累なのではと注視した。
女儀仗兵達は、傭兵らしき奴ら三人を取り囲んだ。
女儀仗兵達の腕は確かなようで、特質な槍をうまく操り、
自分に有利な間合いを保っているので、三人の男たちが攻めあぐんで踏み込むことができないのは、
普段から女儀仗兵は、訓練に精進してのことだろうと、裂熊丸は感心していた。
女儀仗兵の堅い守りを無理に突破しようとした一人は、
女儀仗兵の掛け声で袈裟懸けに切られた。
虹色に輝く甲冑を身に着けた二人の女儀仗兵が輪の中に入り、赤く輝いた剣を上段に構えると、
切り込んできた男の剣諸共上段から真っ直ぐに鎖鎧身のまま、
共に肩から胴まで切り裂いたのは、見事な腕と度胸であるが、
一歩遅れると自身の身が危ない剣術である。
もう一人の女儀仗兵は白く光った剣で中段に構えると、
切り込んできた傭兵らしきやつを横に交わし、
掛け声とともに首をはねた姿は、舞を踊っているようなスキのない可憐さである。
裂熊丸は二人の女儀仗兵と立ち会っても、同じ種類の剣であるならば、
互角には立ち会えるだろうし、勝てる自信もある。
だが、剣の違いは、勝負にかなり影響するであろうと、裂熊丸は考え込むと、亜人協力国の人種は、たとえ女であろうとも、矢張り鬼神か魔神の化身ではないだろうかとも思えた。
女儀仗兵さえも鬼神か魔神の化身の強さを見て、亜人協力国の力で、瞬く間に四ヶ国を併合できたのは、納得できる出来事であった。
女儀仗兵であるのに、猛者頭以上であるのは、
亜人協力国の戦士者共は、鬼神か魔神の類であろうと、裂熊丸は確信せざるを得ない。
門番衛士兵の検問調査は、ほかの国とはかなり違っていた。
「亜人協力国の国是をご存知ですか?」
と、裂熊丸に尋ねて来たので、
「よく存じています。個人の尊厳を守ることだと聞いています。」
「ありがとうございました。次の方、個人の尊厳の意味はご存知ですか?」
「意味など、まして、何のことだがさえも解りません。」
と、黒豹丸は答えてしまったのは、正直な感想を言ってしまう一本気な男であるが、周りの門番衛士兵は黒豹丸を取り囲んだ。
裂熊丸は慌てて、黒豹丸と門番衛士兵の間に入り、
黒鎧の守り人に神降臨街に呼ばれたといった。
門番衛士兵同士が話し合ったあと、一人がテントの方へ駆けて行き、駆け戻ってきた。
裂熊丸等五人は、二人の門番衛士兵にテントまで行くよう言うと、
門番衛士兵二人に同行させられた。
裂熊丸はテントの中に入ると、テーブルの前に椅子が五脚置かれていて、
正面には白く光った剣で戦った、品の良い高貴な感じの美人な娘がいた。
その後ろには、やはり赤く輝いた剣を使った綺麗な娘も高貴な感じがする。
二人の美しさは甲乙つけがたいと、裂熊丸は見惚れた。
「何処で、黒鎧の守り人に会いましたか?」
高貴な感じの美人な娘は、たった今、男の首を落としたことを気にかけていないようで、
既に修羅場を経験した者だけが持つ、静かな落ち着いた声で尋ねた。
「元ゲルググ国と境のムー帝国都近くで、お会いしました。」
「その者は自分で名乗りましたか?」
「亜人協力国の守り人と名乗りました。そして、後ろの剣士と同じ様な、
赤く輝いた剣を使いました。」
「ジャネック。確認してください。」
と、赤く輝いた剣を使った、娘ジャネックに指示した。
裂熊丸の言葉を確認するためか、赤く輝いた剣を使ったジャネックは、
テントから出ていった。
裂熊丸の感じでは、二人共まだ二十歳前のようであるが、この二人の落ち着き方は、
どんな修羅場を経験したのか気になるが、近寄りがたい冷たい鋭い刃をも感じた。
裂熊丸はしばらく待たされたが、赤く輝いた剣使いジャネックは再びテントに現れて、
裂熊丸をテントの裏に案内して荷車に乗るよう指示してきた。
鉄でできた荷車の荷台には両脇に椅子があり、裂熊丸は座っているように注意されたが、
引手のエミューはまだ用意されていなかったし、後ろの荷車には特質な槍を持った四人が乗り込み、一人は荷車前方の箱に入っているがエミューの手綱をどの様に操作するのだろうと不思議に思った。
何故か、後ろ荷車も引手エミューはまだなかなか用意されない。
裂熊丸は腹の底に響く唸り声に驚いたら、荷車は急に動き出した。
裂熊丸は魔物か魔法かわからない、奇怪な物の背中にいるような恐怖を覚えた。
鉄の荷車はすごい速さであり、顔に当たる風は気持ちいいが、揺れる怖さの方が強いようで、
握れる物は何でもよかったので、裂熊丸は怖いながらも冷たい表皮の角をつかんだ。
後ろの荷車も遅れないように付いてきているが、
裂熊丸の見る、引手エミューのいない荷車は異様である。
テントの裏からは街並みが続いていて、商店の看板の多さに驚かされたのは、
自給自足に慣れている裂熊丸には、自前で用意できる必要ないものが多くみられたが、どの店も客は入っているようであるし、通りは祭りの夜のようなにぎわいである。
向かう前方には二メートルの太さの抗の壁があり、その先には白く大きな宮殿のようだが、火の国の宮殿の十倍はありそうな風格が漂っている。
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