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制覇行進
黒い妖精と反物質
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鹿島は元首執務室にて、アチャカ首相、トニーヤマ財務大臣、エントツ軍務大臣達の承認印が押してある法整備や、国家予算に臨時補正費などの書類を承諾し、ハンコを押し続ける作業を続けていた。
何故か途中一枚の書類には、アチャカ首相、トニーヤマ財務大臣の承認欄には承認印がなく、エントツ軍務大臣の承認印だけの書類に気が付いた。
書類の内容は鎮守聖国民が、大河向こう側への懲罰を望んでいる事で、軍事予算の倍額要求であった。
鹿島は書類の山からその書類を抜き取り、机の角において文鎮で押さえた。
何枚かの書類を過ぎたあたりで、パトラ情報長官の承諾印が押された紙があった。
内容は、今や北と南に二分された両キルオシ帝国の暗殺専門間者が、各国に派遣されているとの情報が書き記してあった。
暗殺専門間者の一級対象者はイザベラ女王とホルヘ公爵であり、二級対象者はカジマ王と鎮守聖国行政指導者三人が指定されていて、三級対象者はヒカリ自治領の行政責任者と書かれていた。
その書類もエントツ軍務大臣承認印だけの、書類の上に乗せて文鎮で押さえた。
書類の束が残り数枚になったところで、ヒカリ皇后が完全武装でドアを乱暴に開き、ドム足音で机に向かってきた。
「タロー様!妖精達が樹海の奥にある、白い森で苦戦しているらしいです。救援に行きましょう。」
「サニー達は?」
「既に、向かいました。」
「わかった。」
と言って、背中の床の間風壁にかけてある神剣をつかんで、ベルトに差し込んだ。
隣室との境ドアから、ノックの音がしてドアが開いて、若い女性事務員が声掛けした。
「どちらへ、出かけられますのでしょう。」
「妖精樹海。」
「書類の方は?」
「あらかた終わった。」
と言いながら、翅を広げたヒカリ皇后の手を引き、瞬間移動しながら階段を上り屋上へ着いた。
「ひどい!羽がちぎれるかと思ったわ。」
鹿島はヒカリ皇后の抗議を無視して、C-003号機に飛び込んだ。
C-003号機は緑の水平線がどこまでも続く、樹海の緑の迷彩じゅうたん上空を音速で飛行した。
C-003号機は数カ所で葉っぱが渦を巻いている場所を、目印に飛行していった。
白い森上空では数百無数の兵隊人形妖精達と、同数位の軍隊魔蜂が戦っていた。
兵隊人形妖精三人と軍隊魔蜂一匹で対等な戦いだが、鹿島は完全な劣勢と感じられた。
だが、兵隊人形妖精達は優勢とは感じないが、何とか一人一人が軍隊魔蜂の攻撃を防ぎつつ耐えていた。
鹿島はC-003号機のコックピットの窓から、空中戦を眺めながら、
「黒ボーボア素材の装備は、かなり防御力が高いのだな。」
「Z-998号の指導の賜物でしょう。」
とサニーの声がした。
「え、Z-998号の指導の賜物?」
「妖精達に空中戦の訓練指導を、かなり厳しく教え込んだようよ。それよりも、変なのが五匹いるのよ。」
「変なのが五匹?何処に?」との瞬間、C-003号機は左斜めに降下した。
と、同時に青色光線がコックピット窓横を掠めた。
「右翼前方損傷。」とのコンピューター声が響いた。
「なんだ?レーザー光線?」
「推測ですが、電気光線のような感じでした。」
「雷?」
「もっと強烈高電圧です。損傷跡から推測して、強いて仮定ながら、理論から言ったなら反物質の可能性、も、あります。」
「反物質の可能性?なして?」
「損傷部分が何も残さず、空気中に消えました。」
「正、負、いや、+-0の反応だと。」
「そうです。」
「光線の発生源の記録はあるか?」
「映像を出します。」
映像には、親衛隊伴侶魔蜂の背中に、とんがり耳の黒い妖精が乗っていて、その姿は黒い翅に三角矢じりのしっぽが確認できた。
「なんだこいつは?悪魔、サターンの子供?」と、鹿島は絵本の挿絵で見た、悪魔の尻尾を思い出していた。
「奴らが逃げるぞ!」との声がこだましだすと、
軍隊魔蜂が樹海じゅうたんの内へ急降下しだした。
兵隊人形妖精達は防菌対策のない無防備では、白い森へは入っていけなかった。
樹海じゅうたん内側のあちらこちらから、戦闘から避難していたのか、白い防護服を着た妖精達が飛翔してきた。
白い防護服を着た妖精達が「風散布!」と叫ぶと、
緑色した消毒液が白い森を浄化しだした。
鹿島の居るコックピットにサニーに五人の精霊達が現れ、
「あの黒い妖精は何者?」
「あ奴らが魔蜂を指揮していたよ。」
「あ奴らがいなければ勝てたのに。」
「ホントに、黒い妖精は何者?」
「変種かな?」
と、五人が互いに首をかしげて、サニーを見つめた。
サニーは静かに考え事をしている様で、
「サニーどうした。」
と鹿島も心配そうに声掛けした。
「う~~ん。あの枯れ木大木、、、見覚えがあるのよね。」
「一番大きな枯れ木なのに、真っ先に逃げた枯れ木のこと?」
「そう~。あの枯れ木の枝の、、、形容は、、、精霊様の母老樹に似てたような気がした。」
「枝の生えだしなど、みん同じ様なもんだろう。」
と、鹿島は言い出すと、
「「「違う!」」」
とサニーと五人の精霊達にヒカリ皇后が叫んだ。
「だけど、なんで枯れ木魔物が六匹も、寄り合っていたのだろう?」
「しかも、白い森を軍隊魔蜂が守っているなど、聞いたことも遭遇したこともない。」
サニーとサクラ精霊が話し合っていると、
「白い繭の内の幼虫は何になるの?」
鹿島はふと疑問に思っていたことを口に出した。
「蚕でしょう。」と、サニーはバカなことをと断言した。
「幼虫が蚕でしょう。さなぎとも言うが、脱皮した後、成虫じゃないの?その成虫は何なの?」
「なにそれ?」
「俺のいた世界では、それが普通だったよ。」
「え~。そんなこと知らない。」
繭から生まれる成虫の話中、殺菌消毒を終えたのか、白い森で騒ぎが起こっていた。
「黒い繭が、動いている。」
「鼓動しているよ!」
「黒い繭が、鼓動している~。」
「何かが生まれてくるのかしら。」
「あ、頭が出てきそう。」
「あ、黒い顔!」
「耳が尖っているよ。」
「私達と同種の、黒い変種。」
「変種?」
「変種だ!」
「何で木の股から生まれないで、繭から生まれるの?」
「あ、しっぽがある。」
「翅も黒い。」
「あ、逃げてく~!」
と言って、みんなは黒い妖精が猛スピードで飛翔していくのを、きょとんとした目で眺めていた。
サニーが鹿島を抱えて白い森へ降下していくと、森の中には無数の糸がはぐめぐらされていて、中の様子が全く視界不良であった。
「広範囲に糸が張り巡らしている様子なので、繭がかなりありそうだな。」
「一個もないよ。」
「繭が一個も無い?」
「一個あったけど、今は内空っぽです。」
「空っぽ?」
「逃げていった。」
「止めるか、捕縛ができただろうに?」
「なして?」
と、サニーは妖精達からの要領の得ない返答にイラつき、精霊と妖精の中間ぐらいの体系をした白衣妖精の腕をつかみ、
「ここでの出来事を、順次に詳しく話しなさい。」
とおからず精霊になるであろう白衣を着た妖精は、黒い繭が鼓動している状況から、逃げ去っていくまでを話した。
「て、事は、繭は枯れ木魔物から生まれ、そのさなぎから脱皮したのが黒い妖精だった。
なら、枯れ木魔物から黒い妖精が生まれたと言えるだろう。
それらの事が真実とするなら、黒い繭を守るため、六匹の枯れ木魔物と軍隊魔蜂が居た。」
と、鹿島が推測すると、
「だとしたら、あの指揮していた五人の黒い妖精達も枯れ木魔物から生まれた?て、事。」
「枯れ木魔物が五人の黒い妖精達の母なら、脱皮して去って行った黒い妖精の母枯れ木も一緒にいた。」
「さなぎが孵化してすぐ逃げて行った黒い妖精?と、、、、指揮していた五人の黒い妖精達。
合わせると六人だ、枯れ木魔物も六匹、、、それだとつじつまが合う。」
「今回の出来事は、すべて推測だけだし、すべて謎だな。」
と鹿島が諦め心情の言葉を出すと、
「ケセラセラ。」と、五人の精霊は笑い出した。
「なるようになると?妖精特徴の不安逃避かい。」
「不安逃避ではない。わからないことは深く考えないだけだ。」
と、サニ―が反論した。
「そうよ、不安から逃避などしないで、戦うわよ。」
「ただ、一様にわからないことは、わかる人が考えるだけよ。」
「さ、ケセラセラで帰ろう。」
兵隊人形達は穴の開いた黒い繭を吊り下げて、花園わきにある住処へと向かった。
鹿島達が花園にある妖精宿舎に着くと、すぐに大型ドローンでC-002号と兎亜人賢者がやってきた。
鹿島達もC-002号と兎亜人賢者の後ろから、C-003号機の右翼前方損傷場所に向かった。
右翼前方の消失した部分は半円形直径三十センチほどの損傷であった。
「この程度だったので飛行には問題なかったが、切り口が鏡みたいになっているぞ。どんな現象だ?」
と、鹿島が不思議がると、
「その事も思考対象にするつもりです。」
「やっぱり、反物質光線だと思うか?」
「その事も思考対象にするつもりです。」と、C-002号は応えた。
「俺が疑問に思うことは?」
「その事も思考対象にするつもりです。」と、次は兎亜人賢者が答えた。
「は、何もわからないのか。」
「今の時点ではそうです。が、反物質は理論上存在していると確定しているので、それを証明できる手がかりを得たかもしれない。」
と、兎亜人賢者は放射能測定器を消失部にかざして、真剣な表情で返事した。
鹿島はこれ以上の情報は聞けないと判断し、
「俺らは、神降臨街に帰るわ。」
「大型ドローンを用意しましたので、C-003号機はしばらくこちらで預かります。」
と、C-002号は眼帯鏡をつけたまま消失部に見入り、背中で声掛けした。
何故か途中一枚の書類には、アチャカ首相、トニーヤマ財務大臣の承認欄には承認印がなく、エントツ軍務大臣の承認印だけの書類に気が付いた。
書類の内容は鎮守聖国民が、大河向こう側への懲罰を望んでいる事で、軍事予算の倍額要求であった。
鹿島は書類の山からその書類を抜き取り、机の角において文鎮で押さえた。
何枚かの書類を過ぎたあたりで、パトラ情報長官の承諾印が押された紙があった。
内容は、今や北と南に二分された両キルオシ帝国の暗殺専門間者が、各国に派遣されているとの情報が書き記してあった。
暗殺専門間者の一級対象者はイザベラ女王とホルヘ公爵であり、二級対象者はカジマ王と鎮守聖国行政指導者三人が指定されていて、三級対象者はヒカリ自治領の行政責任者と書かれていた。
その書類もエントツ軍務大臣承認印だけの、書類の上に乗せて文鎮で押さえた。
書類の束が残り数枚になったところで、ヒカリ皇后が完全武装でドアを乱暴に開き、ドム足音で机に向かってきた。
「タロー様!妖精達が樹海の奥にある、白い森で苦戦しているらしいです。救援に行きましょう。」
「サニー達は?」
「既に、向かいました。」
「わかった。」
と言って、背中の床の間風壁にかけてある神剣をつかんで、ベルトに差し込んだ。
隣室との境ドアから、ノックの音がしてドアが開いて、若い女性事務員が声掛けした。
「どちらへ、出かけられますのでしょう。」
「妖精樹海。」
「書類の方は?」
「あらかた終わった。」
と言いながら、翅を広げたヒカリ皇后の手を引き、瞬間移動しながら階段を上り屋上へ着いた。
「ひどい!羽がちぎれるかと思ったわ。」
鹿島はヒカリ皇后の抗議を無視して、C-003号機に飛び込んだ。
C-003号機は緑の水平線がどこまでも続く、樹海の緑の迷彩じゅうたん上空を音速で飛行した。
C-003号機は数カ所で葉っぱが渦を巻いている場所を、目印に飛行していった。
白い森上空では数百無数の兵隊人形妖精達と、同数位の軍隊魔蜂が戦っていた。
兵隊人形妖精三人と軍隊魔蜂一匹で対等な戦いだが、鹿島は完全な劣勢と感じられた。
だが、兵隊人形妖精達は優勢とは感じないが、何とか一人一人が軍隊魔蜂の攻撃を防ぎつつ耐えていた。
鹿島はC-003号機のコックピットの窓から、空中戦を眺めながら、
「黒ボーボア素材の装備は、かなり防御力が高いのだな。」
「Z-998号の指導の賜物でしょう。」
とサニーの声がした。
「え、Z-998号の指導の賜物?」
「妖精達に空中戦の訓練指導を、かなり厳しく教え込んだようよ。それよりも、変なのが五匹いるのよ。」
「変なのが五匹?何処に?」との瞬間、C-003号機は左斜めに降下した。
と、同時に青色光線がコックピット窓横を掠めた。
「右翼前方損傷。」とのコンピューター声が響いた。
「なんだ?レーザー光線?」
「推測ですが、電気光線のような感じでした。」
「雷?」
「もっと強烈高電圧です。損傷跡から推測して、強いて仮定ながら、理論から言ったなら反物質の可能性、も、あります。」
「反物質の可能性?なして?」
「損傷部分が何も残さず、空気中に消えました。」
「正、負、いや、+-0の反応だと。」
「そうです。」
「光線の発生源の記録はあるか?」
「映像を出します。」
映像には、親衛隊伴侶魔蜂の背中に、とんがり耳の黒い妖精が乗っていて、その姿は黒い翅に三角矢じりのしっぽが確認できた。
「なんだこいつは?悪魔、サターンの子供?」と、鹿島は絵本の挿絵で見た、悪魔の尻尾を思い出していた。
「奴らが逃げるぞ!」との声がこだましだすと、
軍隊魔蜂が樹海じゅうたんの内へ急降下しだした。
兵隊人形妖精達は防菌対策のない無防備では、白い森へは入っていけなかった。
樹海じゅうたん内側のあちらこちらから、戦闘から避難していたのか、白い防護服を着た妖精達が飛翔してきた。
白い防護服を着た妖精達が「風散布!」と叫ぶと、
緑色した消毒液が白い森を浄化しだした。
鹿島の居るコックピットにサニーに五人の精霊達が現れ、
「あの黒い妖精は何者?」
「あ奴らが魔蜂を指揮していたよ。」
「あ奴らがいなければ勝てたのに。」
「ホントに、黒い妖精は何者?」
「変種かな?」
と、五人が互いに首をかしげて、サニーを見つめた。
サニーは静かに考え事をしている様で、
「サニーどうした。」
と鹿島も心配そうに声掛けした。
「う~~ん。あの枯れ木大木、、、見覚えがあるのよね。」
「一番大きな枯れ木なのに、真っ先に逃げた枯れ木のこと?」
「そう~。あの枯れ木の枝の、、、形容は、、、精霊様の母老樹に似てたような気がした。」
「枝の生えだしなど、みん同じ様なもんだろう。」
と、鹿島は言い出すと、
「「「違う!」」」
とサニーと五人の精霊達にヒカリ皇后が叫んだ。
「だけど、なんで枯れ木魔物が六匹も、寄り合っていたのだろう?」
「しかも、白い森を軍隊魔蜂が守っているなど、聞いたことも遭遇したこともない。」
サニーとサクラ精霊が話し合っていると、
「白い繭の内の幼虫は何になるの?」
鹿島はふと疑問に思っていたことを口に出した。
「蚕でしょう。」と、サニーはバカなことをと断言した。
「幼虫が蚕でしょう。さなぎとも言うが、脱皮した後、成虫じゃないの?その成虫は何なの?」
「なにそれ?」
「俺のいた世界では、それが普通だったよ。」
「え~。そんなこと知らない。」
繭から生まれる成虫の話中、殺菌消毒を終えたのか、白い森で騒ぎが起こっていた。
「黒い繭が、動いている。」
「鼓動しているよ!」
「黒い繭が、鼓動している~。」
「何かが生まれてくるのかしら。」
「あ、頭が出てきそう。」
「あ、黒い顔!」
「耳が尖っているよ。」
「私達と同種の、黒い変種。」
「変種?」
「変種だ!」
「何で木の股から生まれないで、繭から生まれるの?」
「あ、しっぽがある。」
「翅も黒い。」
「あ、逃げてく~!」
と言って、みんなは黒い妖精が猛スピードで飛翔していくのを、きょとんとした目で眺めていた。
サニーが鹿島を抱えて白い森へ降下していくと、森の中には無数の糸がはぐめぐらされていて、中の様子が全く視界不良であった。
「広範囲に糸が張り巡らしている様子なので、繭がかなりありそうだな。」
「一個もないよ。」
「繭が一個も無い?」
「一個あったけど、今は内空っぽです。」
「空っぽ?」
「逃げていった。」
「止めるか、捕縛ができただろうに?」
「なして?」
と、サニーは妖精達からの要領の得ない返答にイラつき、精霊と妖精の中間ぐらいの体系をした白衣妖精の腕をつかみ、
「ここでの出来事を、順次に詳しく話しなさい。」
とおからず精霊になるであろう白衣を着た妖精は、黒い繭が鼓動している状況から、逃げ去っていくまでを話した。
「て、事は、繭は枯れ木魔物から生まれ、そのさなぎから脱皮したのが黒い妖精だった。
なら、枯れ木魔物から黒い妖精が生まれたと言えるだろう。
それらの事が真実とするなら、黒い繭を守るため、六匹の枯れ木魔物と軍隊魔蜂が居た。」
と、鹿島が推測すると、
「だとしたら、あの指揮していた五人の黒い妖精達も枯れ木魔物から生まれた?て、事。」
「枯れ木魔物が五人の黒い妖精達の母なら、脱皮して去って行った黒い妖精の母枯れ木も一緒にいた。」
「さなぎが孵化してすぐ逃げて行った黒い妖精?と、、、、指揮していた五人の黒い妖精達。
合わせると六人だ、枯れ木魔物も六匹、、、それだとつじつまが合う。」
「今回の出来事は、すべて推測だけだし、すべて謎だな。」
と鹿島が諦め心情の言葉を出すと、
「ケセラセラ。」と、五人の精霊は笑い出した。
「なるようになると?妖精特徴の不安逃避かい。」
「不安逃避ではない。わからないことは深く考えないだけだ。」
と、サニ―が反論した。
「そうよ、不安から逃避などしないで、戦うわよ。」
「ただ、一様にわからないことは、わかる人が考えるだけよ。」
「さ、ケセラセラで帰ろう。」
兵隊人形達は穴の開いた黒い繭を吊り下げて、花園わきにある住処へと向かった。
鹿島達が花園にある妖精宿舎に着くと、すぐに大型ドローンでC-002号と兎亜人賢者がやってきた。
鹿島達もC-002号と兎亜人賢者の後ろから、C-003号機の右翼前方損傷場所に向かった。
右翼前方の消失した部分は半円形直径三十センチほどの損傷であった。
「この程度だったので飛行には問題なかったが、切り口が鏡みたいになっているぞ。どんな現象だ?」
と、鹿島が不思議がると、
「その事も思考対象にするつもりです。」
「やっぱり、反物質光線だと思うか?」
「その事も思考対象にするつもりです。」と、C-002号は応えた。
「俺が疑問に思うことは?」
「その事も思考対象にするつもりです。」と、次は兎亜人賢者が答えた。
「は、何もわからないのか。」
「今の時点ではそうです。が、反物質は理論上存在していると確定しているので、それを証明できる手がかりを得たかもしれない。」
と、兎亜人賢者は放射能測定器を消失部にかざして、真剣な表情で返事した。
鹿島はこれ以上の情報は聞けないと判断し、
「俺らは、神降臨街に帰るわ。」
「大型ドローンを用意しましたので、C-003号機はしばらくこちらで預かります。」
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