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制覇行進
172 不敬罪
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鹿島達一行にイザベラ女王達も加わり、イザベラ女王の希望で一揆勢の戦闘が行われた街に引き返して、街の住人の雰囲気を観察することとした。
魔石駆動車を運転する鹿島は前方を向いたまま、後ろにいるイザベラ女王に声掛けした。
「イザベラ殿、ビクトリー女王国はいろんなことで忙しそうだが、国を開けて大丈夫なのか?」
「我が国の歯車はすべて順調に回っていますし、わたくしが少しの期間留守にしても大丈夫ですよ。それに、何事が起きてもホルヘ公爵宰相がいますから大丈夫ですし、予期せぬ出来事が起きたとしても、タロー様のおかげで、無線連絡も出来る様になりました。」
「あちらこちらでの事に関しても、対応は万全だと?」
「わが軍隊がどの方面で戦ったとしても、優秀な指揮官により全てが盤石です。」
「すべてとは、占領地での統治もですか?」
「はい。」
「どちらにしても、多くの戦場を維持するには、かなりの資金が必要だろう?」
「鎮守聖国から輸入した魔石駆動農機具を導入したことで、生産が三倍になっています。」
「ま、従姉妹殿の国は、元々から豊かな土壌でしたものね。」
「ご先祖様に感謝です。」
とイザベラ女王は屈託のない笑顔になった。
「間もなく門に着くぞ。」
「あれ?ここの守備兵は逃が去ったと聞いていたが、門番がいるわ?」
と話に割り込んでいたヒカリ皇后が不思議そうに首を傾げた。
助手席のサニーは前方を注視しながら、
「おそらく、自営団でしょう。」
「北方三国と比較すると、この街の住民はたくましい。」と、イザベラ女王は感心しだした。
「北方三国とは、ワンべ王国とツール王国にスリーヤ王国のことか?」
「そうです。あそこの住民たちは逃げ回るだけで、戦おうとしない。」
とイザベラ女王は目を吊り上げた。
魔石駆動車が門前に停車すると、粗末な鎧を装着した門番兵はおののきながらも槍を構えて、「全員、魔石駆動馬車から降りて、審査をう、う、受けろ!」
と、声を絞った様に低くて太い空元気な声を出した。
「フフフ。」と鹿島は喉を鳴らし、
「みんな降りて、審査を受けましょう。」
と言ってシートベルトを外して車から降りた。
車から次々と降りてくる女性たちを、見つめる門番兵たちは固まってしまった。
「旅の者ですが、今夜の宿を求めて来ました。」
と、鹿島が声がけするが、だが、門番兵たちみんなは鹿島を無視して、ぞろぞろと降りてくる
サニーにヒカリ皇后やイザベラ女王と、七人の精霊たちに見入っていた。
サニーが「通るわよ。」と言って門番兵の前に進むと、他の女性たちも後ろからついてきた。あろうことか、門番兵は身分や用事を問うことなく、直ぐに通り道を開ける様に両脇へ並びだした。
サニーは最後尾に並んでいる門番兵に向かって、
「サービスがよくて、綺麗なホテルはどこ?」
「街一番のホテルへ案内します。」
と言って手足を左右並行した歩き方で先導しだすと、「おれが。」「おれが。」と門番兵たちが先頭争いを始めた。
鹿島は無人となった門を見ながら魔石駆動車に乗り込み、女性陣の後ろからゆっくりと付いて行った。
街中通りに差し掛かると、街を行き交う男性達はサニー達女性陣の美貌をほめたたえて歓喜の吠えを漏らし、行き交う女性達も目を丸くして大きく息を吐いていた。
それ故か、鹿島の運転する珍しいであろう魔石駆動車は無視されていた。
「ここが町一番の、グランドホテルです。」
と言って、ホテル入り口ドアを開けて左右に分かれて並んだ。
せわしなく動き回っているホテル従業員全員は、何事が起きたのだと思ったのか作業中の手を止め、女性一行に見入る様に振り返っていた。
受付まえにいた男は、入って来るサニーたちを見認めると駆け出した。
「お荷物をお預かりします。」
「荷物は後ろの車です。」
「では受付に案内します。」
「荷物は?」
「ほかの誰かに運ばせますので、まずは受付へ。」
「あなたはホテルの関係者?」
「当ホテルの、支配人をしています、ドンキー.ピエロでございます。」
と言って、受付カウンターの中に入り、
「どこかのご貴族様でしょうか?」
「身分を言わねばならないのか?」
「無粋なことを聞いて、申し訳ありませんでした。当ホテルはお客様の個人情報に関しては問いませんし、詮索もいたしません。、決して個人情報は漏らしませんので、お名前だけでもお教えください。」
「代表でいい。」
「はい結構でございます。」
「では、代表タローとサニー夫婦です。他その他でお願い。」
「畏まりました。では宿帳には、代表サニー様とご一行様と記載させていただきます。」
「最上階の部屋が、VIP室かしら?」
「そうでございます。」
「最上階の部屋すべてを貸し切るわ。」
「有り難うございます。」
「すぐに、最上階すべてを一組に繋げますので、ラウンジでお待ちください。」
と言って、見とれている受付嬢へ声がけして、
「お客様たちをテーブルに御案内しなさい。」と、指示を出した。
鹿島はホテル内を覗き込む人々の輪の外で、誰も荷物を下ろすのを手伝いに来ないことでぼやいていたが、
「車はどこへ駐車すればいいのだ!」と叫んだ。
テーブルに案内されたサニーは、ウエイターやウエイトレス一人一人が一品のジュースをばらばらと持って来る事に腹を立てた様子で、怒鳴る様に、
「外においてある荷物を中に入れるよう、ドンキー.ピエロ支配人に伝えなさい。」
と、自分に見入っているウエイターをにらみつけた。
ウエイターは駆け出して行き、支配人に報告すると、要約鹿島の元へホテルの制服を着た筋肉質のいかつい男が現れ、
「おい!馭者!荷物はどこだ!」
となぜか怒った顔で、車の横に立っている鹿島に怒鳴った。
鹿島は憮然とした顔で後部ドアを開き、荷物を指さした。
男は三人でも持てないであろう荷物を積み上げ、
「お前の荷物はどれだ?」
との問いかけで、鹿島が一つの行李箱を指さすと、男は積み上げた荷物から行李箱をのけて残りを抱え込んで立ち去ろうとしたので、
「車を置く場所はどこだ!」と怒鳴ると、
「裏の馬小屋の脇に、決まっているだろう!」
と逆に怒鳴り返された。
鹿島はホテルを覗き込んでいる群衆の脇を抜けてホテル建物の裏に回ると、馬小屋らしき屋根が見えたのでそこに向かい、馬小屋の脇に魔石駆動車を駐車した。
「おい!誰に断って変な魔道具車を置くのだ!」
と小間使い風の男が声掛けしてきた。
「俺はここのホテルで泊まるのだ。だから駐車した。」
「なら、大銀貨一枚だ。」
「金をとるのか?」
「あ、ったりまえだの、ビスケットだ。」
「なんだそれ。」
「さっさとよこせ。」
鹿島は渋々と大銀貨を取り出し、
「ぼったくり過ぎないか?」
「こんなご時世だ。恨むならタイガー軍を恨め。」
鹿島は仕方なしに首を傾けながら、大銀貨を小間使い風の男に渡した。
鹿島は行李箱を肩に担いだ状態でホテル裏口を探すが、どこにも見当たらないので仕方なしに群衆の居る入り口に戻り、人々をかき分けながら中に入ると、サニーたちは優雅にお茶していた。
「おい、俺だけが働いていて、おまけに馭者扱いされて、駐車代大銀貨まで取られたのに、皆は優雅に休んでいるなぁ~。」
と言いながら行李箱を肩から降ろしてテーブルへ乗せた。
「タロー様が自分で、荷物を持ったまま来たのですか?」
と、サニーが大声を上げて立ち上がると、お菓子類をテーブルに乗せていた支配人が驚き、
「タロー様に無礼を働いた者たちを連れてきます。」
と言って、走り去っていった。
みんなは笑いをこらえる様に、口に手を当てながら肩を揺らしていた。
支配人が筋肉質のいかつい男と、小間使い風の男を伴い現れた。
「主人様とはつゆ知らず、大変ご無礼しました。」
と二人が頭を下げると、
「この国では、不敬罪者は無礼討ちか、官史への引き渡しが合法だろう。官史か衛士兵を呼んでくれ。」
「今この街には、官史も衛士兵もいないのでございます。ご勘弁ください。」
「なら、手討ちだな。」
と言って、イザベラ女王が尾刃剣を抜くと、
「金は返しますので、手討ちだけはご勘弁ください。」
と言って、ひざまずいて両手で大銀貨を差し出した。
「タロー様は、吐いた唾は飲み込まない。故にその銀貨をタロー様は受け取らない。手討ちが嫌なら、隣街の官史か衛士兵を呼んで来い。」
「どうせ明日は、タイガー軍の支配下にある隣街へ行くのだ。俺らが連行していこう。」
支配人は真っ蒼な顔になり、
「どうか、タイガー軍の官史にだけは、渡さないでいただきたい。」
「なぜだ?」
「タイガー軍の官史は元盗賊や無法者達ばかりなので、当ホテルに対しても不当な罪をかぶせてきます。」
「ま、使用者責任は問われるだろうな。」
「間違いなく倒産させられますので、ので、タロー様サニー様、御夫婦一行様の宿代はサービスさせていただきます事で、ご内聞にお願いいただきたいのです。」
「そんなに大げさになるなら、仕方がない。が、こちら側としたら一度ぼられているので、俺たちの一泊代金は如何程だ。」
「宿泊代と食事代はサービスとさせていただきます。」
「それは困る。俺らは普通のサービスを受け、おいしい食事と飲み物が欲しい。ので宿代は支払う。如何程だ?」
「では金貨一枚では?」
「安すぎだろ~。両方が納得いく充実した結果を得る価格を提示してくれ。」
「では金貨二枚では?」
「分かった。全従業員のチップ込みで、金貨十枚で手を打とう。」
唖然としている支配人たちに、さらに追い打ちをかけたのはサニーであった。
「メインは唐揚げが所望なので、肉をこれから狩ってくる。」
と言って立ち上がった。
すると、
「私どもの処置は?」
と、膝をついていた筋肉質のいかつい男が尋ねた。
「以後、気負付けれもらえばいいや。馬小屋に行く近道を案内しろ。」
と言って鹿島は跪いている二人に交互に微笑んだ。
魔石駆動車を運転する鹿島は前方を向いたまま、後ろにいるイザベラ女王に声掛けした。
「イザベラ殿、ビクトリー女王国はいろんなことで忙しそうだが、国を開けて大丈夫なのか?」
「我が国の歯車はすべて順調に回っていますし、わたくしが少しの期間留守にしても大丈夫ですよ。それに、何事が起きてもホルヘ公爵宰相がいますから大丈夫ですし、予期せぬ出来事が起きたとしても、タロー様のおかげで、無線連絡も出来る様になりました。」
「あちらこちらでの事に関しても、対応は万全だと?」
「わが軍隊がどの方面で戦ったとしても、優秀な指揮官により全てが盤石です。」
「すべてとは、占領地での統治もですか?」
「はい。」
「どちらにしても、多くの戦場を維持するには、かなりの資金が必要だろう?」
「鎮守聖国から輸入した魔石駆動農機具を導入したことで、生産が三倍になっています。」
「ま、従姉妹殿の国は、元々から豊かな土壌でしたものね。」
「ご先祖様に感謝です。」
とイザベラ女王は屈託のない笑顔になった。
「間もなく門に着くぞ。」
「あれ?ここの守備兵は逃が去ったと聞いていたが、門番がいるわ?」
と話に割り込んでいたヒカリ皇后が不思議そうに首を傾げた。
助手席のサニーは前方を注視しながら、
「おそらく、自営団でしょう。」
「北方三国と比較すると、この街の住民はたくましい。」と、イザベラ女王は感心しだした。
「北方三国とは、ワンべ王国とツール王国にスリーヤ王国のことか?」
「そうです。あそこの住民たちは逃げ回るだけで、戦おうとしない。」
とイザベラ女王は目を吊り上げた。
魔石駆動車が門前に停車すると、粗末な鎧を装着した門番兵はおののきながらも槍を構えて、「全員、魔石駆動馬車から降りて、審査をう、う、受けろ!」
と、声を絞った様に低くて太い空元気な声を出した。
「フフフ。」と鹿島は喉を鳴らし、
「みんな降りて、審査を受けましょう。」
と言ってシートベルトを外して車から降りた。
車から次々と降りてくる女性たちを、見つめる門番兵たちは固まってしまった。
「旅の者ですが、今夜の宿を求めて来ました。」
と、鹿島が声がけするが、だが、門番兵たちみんなは鹿島を無視して、ぞろぞろと降りてくる
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サニーが「通るわよ。」と言って門番兵の前に進むと、他の女性たちも後ろからついてきた。あろうことか、門番兵は身分や用事を問うことなく、直ぐに通り道を開ける様に両脇へ並びだした。
サニーは最後尾に並んでいる門番兵に向かって、
「サービスがよくて、綺麗なホテルはどこ?」
「街一番のホテルへ案内します。」
と言って手足を左右並行した歩き方で先導しだすと、「おれが。」「おれが。」と門番兵たちが先頭争いを始めた。
鹿島は無人となった門を見ながら魔石駆動車に乗り込み、女性陣の後ろからゆっくりと付いて行った。
街中通りに差し掛かると、街を行き交う男性達はサニー達女性陣の美貌をほめたたえて歓喜の吠えを漏らし、行き交う女性達も目を丸くして大きく息を吐いていた。
それ故か、鹿島の運転する珍しいであろう魔石駆動車は無視されていた。
「ここが町一番の、グランドホテルです。」
と言って、ホテル入り口ドアを開けて左右に分かれて並んだ。
せわしなく動き回っているホテル従業員全員は、何事が起きたのだと思ったのか作業中の手を止め、女性一行に見入る様に振り返っていた。
受付まえにいた男は、入って来るサニーたちを見認めると駆け出した。
「お荷物をお預かりします。」
「荷物は後ろの車です。」
「では受付に案内します。」
「荷物は?」
「ほかの誰かに運ばせますので、まずは受付へ。」
「あなたはホテルの関係者?」
「当ホテルの、支配人をしています、ドンキー.ピエロでございます。」
と言って、受付カウンターの中に入り、
「どこかのご貴族様でしょうか?」
「身分を言わねばならないのか?」
「無粋なことを聞いて、申し訳ありませんでした。当ホテルはお客様の個人情報に関しては問いませんし、詮索もいたしません。、決して個人情報は漏らしませんので、お名前だけでもお教えください。」
「代表でいい。」
「はい結構でございます。」
「では、代表タローとサニー夫婦です。他その他でお願い。」
「畏まりました。では宿帳には、代表サニー様とご一行様と記載させていただきます。」
「最上階の部屋が、VIP室かしら?」
「そうでございます。」
「最上階の部屋すべてを貸し切るわ。」
「有り難うございます。」
「すぐに、最上階すべてを一組に繋げますので、ラウンジでお待ちください。」
と言って、見とれている受付嬢へ声がけして、
「お客様たちをテーブルに御案内しなさい。」と、指示を出した。
鹿島はホテル内を覗き込む人々の輪の外で、誰も荷物を下ろすのを手伝いに来ないことでぼやいていたが、
「車はどこへ駐車すればいいのだ!」と叫んだ。
テーブルに案内されたサニーは、ウエイターやウエイトレス一人一人が一品のジュースをばらばらと持って来る事に腹を立てた様子で、怒鳴る様に、
「外においてある荷物を中に入れるよう、ドンキー.ピエロ支配人に伝えなさい。」
と、自分に見入っているウエイターをにらみつけた。
ウエイターは駆け出して行き、支配人に報告すると、要約鹿島の元へホテルの制服を着た筋肉質のいかつい男が現れ、
「おい!馭者!荷物はどこだ!」
となぜか怒った顔で、車の横に立っている鹿島に怒鳴った。
鹿島は憮然とした顔で後部ドアを開き、荷物を指さした。
男は三人でも持てないであろう荷物を積み上げ、
「お前の荷物はどれだ?」
との問いかけで、鹿島が一つの行李箱を指さすと、男は積み上げた荷物から行李箱をのけて残りを抱え込んで立ち去ろうとしたので、
「車を置く場所はどこだ!」と怒鳴ると、
「裏の馬小屋の脇に、決まっているだろう!」
と逆に怒鳴り返された。
鹿島はホテルを覗き込んでいる群衆の脇を抜けてホテル建物の裏に回ると、馬小屋らしき屋根が見えたのでそこに向かい、馬小屋の脇に魔石駆動車を駐車した。
「おい!誰に断って変な魔道具車を置くのだ!」
と小間使い風の男が声掛けしてきた。
「俺はここのホテルで泊まるのだ。だから駐車した。」
「なら、大銀貨一枚だ。」
「金をとるのか?」
「あ、ったりまえだの、ビスケットだ。」
「なんだそれ。」
「さっさとよこせ。」
鹿島は渋々と大銀貨を取り出し、
「ぼったくり過ぎないか?」
「こんなご時世だ。恨むならタイガー軍を恨め。」
鹿島は仕方なしに首を傾けながら、大銀貨を小間使い風の男に渡した。
鹿島は行李箱を肩に担いだ状態でホテル裏口を探すが、どこにも見当たらないので仕方なしに群衆の居る入り口に戻り、人々をかき分けながら中に入ると、サニーたちは優雅にお茶していた。
「おい、俺だけが働いていて、おまけに馭者扱いされて、駐車代大銀貨まで取られたのに、皆は優雅に休んでいるなぁ~。」
と言いながら行李箱を肩から降ろしてテーブルへ乗せた。
「タロー様が自分で、荷物を持ったまま来たのですか?」
と、サニーが大声を上げて立ち上がると、お菓子類をテーブルに乗せていた支配人が驚き、
「タロー様に無礼を働いた者たちを連れてきます。」
と言って、走り去っていった。
みんなは笑いをこらえる様に、口に手を当てながら肩を揺らしていた。
支配人が筋肉質のいかつい男と、小間使い風の男を伴い現れた。
「主人様とはつゆ知らず、大変ご無礼しました。」
と二人が頭を下げると、
「この国では、不敬罪者は無礼討ちか、官史への引き渡しが合法だろう。官史か衛士兵を呼んでくれ。」
「今この街には、官史も衛士兵もいないのでございます。ご勘弁ください。」
「なら、手討ちだな。」
と言って、イザベラ女王が尾刃剣を抜くと、
「金は返しますので、手討ちだけはご勘弁ください。」
と言って、ひざまずいて両手で大銀貨を差し出した。
「タロー様は、吐いた唾は飲み込まない。故にその銀貨をタロー様は受け取らない。手討ちが嫌なら、隣街の官史か衛士兵を呼んで来い。」
「どうせ明日は、タイガー軍の支配下にある隣街へ行くのだ。俺らが連行していこう。」
支配人は真っ蒼な顔になり、
「どうか、タイガー軍の官史にだけは、渡さないでいただきたい。」
「なぜだ?」
「タイガー軍の官史は元盗賊や無法者達ばかりなので、当ホテルに対しても不当な罪をかぶせてきます。」
「ま、使用者責任は問われるだろうな。」
「間違いなく倒産させられますので、ので、タロー様サニー様、御夫婦一行様の宿代はサービスさせていただきます事で、ご内聞にお願いいただきたいのです。」
「そんなに大げさになるなら、仕方がない。が、こちら側としたら一度ぼられているので、俺たちの一泊代金は如何程だ。」
「宿泊代と食事代はサービスとさせていただきます。」
「それは困る。俺らは普通のサービスを受け、おいしい食事と飲み物が欲しい。ので宿代は支払う。如何程だ?」
「では金貨一枚では?」
「安すぎだろ~。両方が納得いく充実した結果を得る価格を提示してくれ。」
「では金貨二枚では?」
「分かった。全従業員のチップ込みで、金貨十枚で手を打とう。」
唖然としている支配人たちに、さらに追い打ちをかけたのはサニーであった。
「メインは唐揚げが所望なので、肉をこれから狩ってくる。」
と言って立ち上がった。
すると、
「私どもの処置は?」
と、膝をついていた筋肉質のいかつい男が尋ねた。
「以後、気負付けれもらえばいいや。馬小屋に行く近道を案内しろ。」
と言って鹿島は跪いている二人に交互に微笑んだ。
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