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制覇行進
151 オハラ首都攻撃
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甲冑のせわしない音でイザベラ女王が目を覚ますと、テント周りを警護している近習者女騎士達は、イザベラ女王が簡易ベッドから起き上がる気配に気づいた
イザベラ女王はまだ薄暗い中で、近習女騎士達による甲冑装着を終えると大きく翅を広げて、甲冑に翅模様を浮かべた。
ベッド横にはすでにテーブルが置かれていて、朝食の用意がなされていた。
朝食を終え司令部テントへ向かうと、すでにそこにはホルヘ公爵宰相と数人の騎士たちが控えていた。
「おはよう。」と言ってテントに入ると、ホルヘ公爵宰相達は絵図面に見入っていたが、すぐに全員イザベラ女王に向き直った。
「ゴーレムZ-0号達との打ち合わせはすでに終えています。あと三十分後には、魔導爆裂兵器で門と宮殿防壁を破壊するとの事です。」
と、ホルヘ公爵宰相は鎮守聖国から貰った腕時計に目を移しながら報告した。
ホルヘ公爵宰相はイザベラ女王を、絵図面を広げたテーブルの中央に案内し、
「北門はわれら二万の兵と、東門にはヒカリ王女聖女突撃騎馬隊隊長タワラボシ.ゲンバ率いる聖女軍一万が控えていて、西門には第一師団三万と、南門には第二騎士団三万がそれぞれ配置についています。」
「九万とは些か大げさだな。」
「絶対アクコー王を取り逃がすわけには、いかないからです。」
「ま、今回はそれが第一重要目的だからな。」
「女王様には、控えの親衛隊三万を指揮していただき、我らが万一取り逃がした場合は、よろしくお願いしたい。」
「私に攻略戦に参加するなと?」
「是非に後詰めをお願いしたい。」
本来であれば、後詰めは指揮官であるホルヘ公爵宰相の担当であるはずが、イザベラ女王はすぐにその本意を感じ取った。
「分かった。後詰は任せろ。これを連れていけ。」
と言って手のひらに現れた兵隊人形妖精を、ホルヘ公爵宰相に差し出した。
「おお~。」
「これは、、、妖精様ですか?」
と周りの唸り声と共にホルヘ公爵宰相は一歩後ろへ後ずさりした。
「私のしもべの一員だ。アクコー王をわが目で透視し探したなら、兵隊人形妖精が叔父上様に伝える。」
「それは心強い!」
と喜び、高貴なる精霊の部類に遠慮気なのか控えめに手を差し伸べると、兵隊人形妖精はふわりと浮いてホルヘ公爵宰相の手を無視して肩に停まった。
テント内の士官騎士達がそれぞれ自分の持ち場へ向かいだすと、イザベラ女王はポケットからチョコレートを取り出し、
「妖精、働け。」と言ってチョコを妖精に投げた。
各門の正面に並んだ兵たちの後方では、二メートル長さの三角円錐形を二輪の台座に乗せたレール砲が置かれていた。
東の空が幾分か明るくなりだした頃、レール砲を囲むように甲冑騎士五十人が護衛についていて、Z-005とZ-006が真っ赤な魔石砲弾をセットしている。
魔石砲弾にはこの惑星に豊富に存在する圧縮した液体窒素が、風魔法にて閉じ込められていた。
圧縮した窒素は熱を帯びているためか、真っ赤に焼けている様子である。
Z-005号は難なく焼けた魔石をつかむと、砲身元へと入れて栓をきっかりと閉じた。
Z-006号は標準を定める輪っかを動かして、砲身先を動かしだした。
Z-005号は体内時計の午前四時五十分に、発射レバーの紐を引いた。
レール砲からは空気を引き裂く音だけが周りに浸透する様に、発射した実感なく魔石は飛び出していった。
発射された魔石弾丸の爆発は門と周りの石垣もろとも天へまき散らし、城壁に大きな入り口を開放した。
爆発に伴う熱はなく、逆に朝露に濡れた草葉を凍てつかせた。
凍てつかせたのは草葉だけでなく、水分の塊である昆虫や生物をさえも凍らせた。
生物に属する守備兵士も例外なく、石像のごとく微動だにしない様である。
各門前に控えていた襲撃隊は爆発音とともに駆け出したが、すぐに反応したのは東門に詰めていた聖女突撃騎馬隊隊長タワラボシ.ゲンバであって、開放された城壁入口に誰よりも早く馬を走らせていた。
タワラボシの持つ槍先は青く輝き、目はすでに血走っていた。
既に石像と化した守備兵をも粉々に粉砕しながら、街中へと馬を進めていくと、城壁街中央辺りで連続爆発音が響きだした。
街中通りにはすでに守備隊が待ち受けていて、槍を並べていた。
守備隊の後方では魔法師たちが呪文と唱えながら風魔法に乗った火塊を投げつけると、タワラボシはそれらをすべて槍先で弾き飛ばし、並んだ槍を飛び越えて走り去りながらも魔法師たちを槍先で貫いていった。
魔法師たちはタワラボシの顔が鬼となっている面相に恐れをなし、蜘蛛の子を散らす様に戦いの場から逃げ出した。
タワラボシは逃げる魔法師を追いながら、宮殿城壁に着くとすでに城壁は崩れていて、足の踏み間もない有様であった。
逃げる魔法師達ががれきの場所でもたついている間に、タワラボシの槍先は無情にも背後から襲いかかってきた。
聖女突撃騎馬隊も何とか追いついた様子で、街中通りにいた守備隊を制圧した様子である。
宮殿守備隊五千がタワラボシ達へと向かってきた。
聖女突撃騎馬隊が宮殿守備隊と交戦中に、外壁守備隊が聖女突撃騎馬隊の後方から現れた。
聖女突撃騎馬隊は全員馬から降りて、前後の敵に対峙する陣形を組んだ。
しかしながら四方から現れる守備隊により陣形は乱れ、乱戦となりだした。
ホルヘ公爵宰相は門の爆発後、解放された入り口を確認すると騎馬隊の先頭に立ち、突進を号令した。
爆裂魔法による跡形もなく消えた門を過ぎると、凍結魔法によるのか多くの硬直した守備兵たちを不思議に思いながらもすでに死んでいると確認後、街中に入ったホルヘ公爵宰相攻撃隊も守備隊の魔法攻撃にさらされたが、何人かの犠牲者を出しながらもホルヘ公爵宰相を守る親衛隊によって、何とか街中から宮殿までに行き着いた。
南門と西門から侵入した襲撃隊師団は街中の守備隊と、城壁守備隊との乱戦状態になっている様子で、宮殿前の瓦礫までは到達することが出来ずにいた。
ホルヘ公爵宰相攻撃隊には城壁守備隊からと、宮殿守備隊からの攻撃がなく、隊列そのままで宮殿前広場に着いた。
ホルヘ公爵宰相は兵隊人形妖精の飛翔しながらの導きで、馬上そのまま宮殿へと押し入った。
イザベラ女王は精霊キクの手助けで、アクコー王のいる宮殿を透視しだした。
宮殿は広く、多くの人が集まっている波動を感じた精霊キクは、広い謁見の間へと透視念力を移した。
広い謁見の間ではアクコー王の親衛隊五百人が、各自楯を装備した完全武装で入口大扉をにらんでいた。
王座には二十代前半と思える、金ぴかの甲冑と陣羽織のアクコー王らしき人物がのけぞっていた。
イザベラ女王はまだ薄暗い中で、近習女騎士達による甲冑装着を終えると大きく翅を広げて、甲冑に翅模様を浮かべた。
ベッド横にはすでにテーブルが置かれていて、朝食の用意がなされていた。
朝食を終え司令部テントへ向かうと、すでにそこにはホルヘ公爵宰相と数人の騎士たちが控えていた。
「おはよう。」と言ってテントに入ると、ホルヘ公爵宰相達は絵図面に見入っていたが、すぐに全員イザベラ女王に向き直った。
「ゴーレムZ-0号達との打ち合わせはすでに終えています。あと三十分後には、魔導爆裂兵器で門と宮殿防壁を破壊するとの事です。」
と、ホルヘ公爵宰相は鎮守聖国から貰った腕時計に目を移しながら報告した。
ホルヘ公爵宰相はイザベラ女王を、絵図面を広げたテーブルの中央に案内し、
「北門はわれら二万の兵と、東門にはヒカリ王女聖女突撃騎馬隊隊長タワラボシ.ゲンバ率いる聖女軍一万が控えていて、西門には第一師団三万と、南門には第二騎士団三万がそれぞれ配置についています。」
「九万とは些か大げさだな。」
「絶対アクコー王を取り逃がすわけには、いかないからです。」
「ま、今回はそれが第一重要目的だからな。」
「女王様には、控えの親衛隊三万を指揮していただき、我らが万一取り逃がした場合は、よろしくお願いしたい。」
「私に攻略戦に参加するなと?」
「是非に後詰めをお願いしたい。」
本来であれば、後詰めは指揮官であるホルヘ公爵宰相の担当であるはずが、イザベラ女王はすぐにその本意を感じ取った。
「分かった。後詰は任せろ。これを連れていけ。」
と言って手のひらに現れた兵隊人形妖精を、ホルヘ公爵宰相に差し出した。
「おお~。」
「これは、、、妖精様ですか?」
と周りの唸り声と共にホルヘ公爵宰相は一歩後ろへ後ずさりした。
「私のしもべの一員だ。アクコー王をわが目で透視し探したなら、兵隊人形妖精が叔父上様に伝える。」
「それは心強い!」
と喜び、高貴なる精霊の部類に遠慮気なのか控えめに手を差し伸べると、兵隊人形妖精はふわりと浮いてホルヘ公爵宰相の手を無視して肩に停まった。
テント内の士官騎士達がそれぞれ自分の持ち場へ向かいだすと、イザベラ女王はポケットからチョコレートを取り出し、
「妖精、働け。」と言ってチョコを妖精に投げた。
各門の正面に並んだ兵たちの後方では、二メートル長さの三角円錐形を二輪の台座に乗せたレール砲が置かれていた。
東の空が幾分か明るくなりだした頃、レール砲を囲むように甲冑騎士五十人が護衛についていて、Z-005とZ-006が真っ赤な魔石砲弾をセットしている。
魔石砲弾にはこの惑星に豊富に存在する圧縮した液体窒素が、風魔法にて閉じ込められていた。
圧縮した窒素は熱を帯びているためか、真っ赤に焼けている様子である。
Z-005号は難なく焼けた魔石をつかむと、砲身元へと入れて栓をきっかりと閉じた。
Z-006号は標準を定める輪っかを動かして、砲身先を動かしだした。
Z-005号は体内時計の午前四時五十分に、発射レバーの紐を引いた。
レール砲からは空気を引き裂く音だけが周りに浸透する様に、発射した実感なく魔石は飛び出していった。
発射された魔石弾丸の爆発は門と周りの石垣もろとも天へまき散らし、城壁に大きな入り口を開放した。
爆発に伴う熱はなく、逆に朝露に濡れた草葉を凍てつかせた。
凍てつかせたのは草葉だけでなく、水分の塊である昆虫や生物をさえも凍らせた。
生物に属する守備兵士も例外なく、石像のごとく微動だにしない様である。
各門前に控えていた襲撃隊は爆発音とともに駆け出したが、すぐに反応したのは東門に詰めていた聖女突撃騎馬隊隊長タワラボシ.ゲンバであって、開放された城壁入口に誰よりも早く馬を走らせていた。
タワラボシの持つ槍先は青く輝き、目はすでに血走っていた。
既に石像と化した守備兵をも粉々に粉砕しながら、街中へと馬を進めていくと、城壁街中央辺りで連続爆発音が響きだした。
街中通りにはすでに守備隊が待ち受けていて、槍を並べていた。
守備隊の後方では魔法師たちが呪文と唱えながら風魔法に乗った火塊を投げつけると、タワラボシはそれらをすべて槍先で弾き飛ばし、並んだ槍を飛び越えて走り去りながらも魔法師たちを槍先で貫いていった。
魔法師たちはタワラボシの顔が鬼となっている面相に恐れをなし、蜘蛛の子を散らす様に戦いの場から逃げ出した。
タワラボシは逃げる魔法師を追いながら、宮殿城壁に着くとすでに城壁は崩れていて、足の踏み間もない有様であった。
逃げる魔法師達ががれきの場所でもたついている間に、タワラボシの槍先は無情にも背後から襲いかかってきた。
聖女突撃騎馬隊も何とか追いついた様子で、街中通りにいた守備隊を制圧した様子である。
宮殿守備隊五千がタワラボシ達へと向かってきた。
聖女突撃騎馬隊が宮殿守備隊と交戦中に、外壁守備隊が聖女突撃騎馬隊の後方から現れた。
聖女突撃騎馬隊は全員馬から降りて、前後の敵に対峙する陣形を組んだ。
しかしながら四方から現れる守備隊により陣形は乱れ、乱戦となりだした。
ホルヘ公爵宰相は門の爆発後、解放された入り口を確認すると騎馬隊の先頭に立ち、突進を号令した。
爆裂魔法による跡形もなく消えた門を過ぎると、凍結魔法によるのか多くの硬直した守備兵たちを不思議に思いながらもすでに死んでいると確認後、街中に入ったホルヘ公爵宰相攻撃隊も守備隊の魔法攻撃にさらされたが、何人かの犠牲者を出しながらもホルヘ公爵宰相を守る親衛隊によって、何とか街中から宮殿までに行き着いた。
南門と西門から侵入した襲撃隊師団は街中の守備隊と、城壁守備隊との乱戦状態になっている様子で、宮殿前の瓦礫までは到達することが出来ずにいた。
ホルヘ公爵宰相攻撃隊には城壁守備隊からと、宮殿守備隊からの攻撃がなく、隊列そのままで宮殿前広場に着いた。
ホルヘ公爵宰相は兵隊人形妖精の飛翔しながらの導きで、馬上そのまま宮殿へと押し入った。
イザベラ女王は精霊キクの手助けで、アクコー王のいる宮殿を透視しだした。
宮殿は広く、多くの人が集まっている波動を感じた精霊キクは、広い謁見の間へと透視念力を移した。
広い謁見の間ではアクコー王の親衛隊五百人が、各自楯を装備した完全武装で入口大扉をにらんでいた。
王座には二十代前半と思える、金ぴかの甲冑と陣羽織のアクコー王らしき人物がのけぞっていた。
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