139 / 212
制覇行進
137 忍び寄る諍い芽
しおりを挟む
イザベラ女王とホルヘ公爵宰相は、五メートル高さの防壁に囲まれたオハラ王国都を見下ろす丘に陣テントを構えていた。
「女王陛下、もはやアクコー王を打ち取るのは時間の問題です。そろそろ結婚式場である、神降臨街へ御向かいください。」
「まさかここまでくる間、全くの戦や小競合いがなかったことは、、、拍子抜けだったな。」
「三日間の行軍で、迎撃軍が一兵もいないなど、かなりオハラ王国は異常事態であったのだろう。もはや、アクコー王のもとには、、、どこからも、、、援軍さえも来ないでしょう。」
「そうですね、、、。」
と都の籠城兵十万に対し、攻撃側のビクトリー王国軍四十万は超えている自軍の陣形と攻略武器類を、イザベラ女王は満足気に再度確認した。
イザベラ女王は自軍後方から十騎馬隊が向かってくるのを確認すると、ホルヘ公爵宰相も気づいた様子で、
「あの旗は、、、たしか、、、ヒカリ王女指揮する、、、聖女軍の旗のようですが?」
「そうですね、、、、。」
とイザベラ女王は渋い表情をした。
「援軍の申出か?最悪の、、、戦後条件か、、、だろう。」
「両方とも、はねつけるわ。」
「当然でしょう。」
二人は互いに表情を暗くし、互いの意思を確認し合うように見つめ合っていた。
イザベラ女王とホルヘ公爵宰相は、丘の下で馬から降りて徒歩で丘の斜面を、たった一人で登ってくるタワラボシ.ゲンバ聖女突撃騎馬隊隊長に身構えたのは、丘のふもとに居る十人の騎士は元オハラ王の一騎当千と言われた親衛十番組隊長の正装であり、はるか後方の丘に十万を超える軍が姿を現したからである。
「イザベラ女王様、初にお目にかかれることができ、光栄です。私、聖女突撃騎馬隊隊長タワラボシ.ゲンバはヒカリ聖女様から、監視を命じられましたので、ご挨拶にお伺いしました。」
「はて?ここ、戦場陣地に監視軍を?何事でしょう従姉妹殿は、、、?」
「それにつきましては、席を設けていただきたい。」
ホルヘ公爵宰相は無言で頷きながら、始終無言のまま陣テントへタワラボシを案内した。
イザベラ女王とホルヘ公爵宰相は無表情で、真向い席のタワラボシを無言でにらんでいた。
「ま、確かに、敵か味方かをはっきりしていないので、警戒なさるのは、、、仕方がないな。」
「して!従姉妹殿は敵か味方か?」
「今の所、、、ヒカリ聖女様の意向はどちらでもありません。が、配下のわれらにしたら、女王軍がアクコーを討ち取ったのちの行動に、、、大いなる関心があります。」
「まだ、アクコー王を倒していないので、返答しかねる。ヒカリ王女様には、そのように伝えていただきたい。」
とホルヘ公爵は怒りを含んだ眼を隠すことなく、静かの声で返事した。
「捕らぬ狸の皮算用はしないと?」
「皮算用などない!」
とイザベラ女王は立ち上がって怒鳴った。
「ではそのように、皮算用などしていないと、ヒカリ聖女様と心配性の配下の者たちに、、、、お伝えします。」
と言ってタワラボシは立ち上がり満面笑顔の表情で、
「ヒカリ聖女様からは、監視だけとの命を受けたが、私も、個人的に、アクコーに恨みがあるのです。ので、わたくし個人を、ビクトリー王国軍への助太刀参加願えませんか。」
と言って、タワラボシは槍を赤く発動させた。
「貴様!尾刃槍を発動させて、何をする!であえ!」
と、ホルヘ公爵宰相はイザベラ女王をかばうように、タワラボシの前で手を広げた。
タワラボシは慌てて槍の発動を止めて、穂先を地面に刺した。
イザベラ女王はホルヘ公爵宰相を横に促し、
「タワラボシ.ゲンバ聖女突撃騎馬隊隊長殿、助太刀とは心強い言葉です。なれど、、、従姉妹殿の心情はどちらへも助力することなく、監視だけだとの考えであろう。タワラボシ.ゲンバ聖女突撃騎馬隊隊長殿は従姉妹殿の配下でございましょう。今の言葉は冗談であったと、受け取ります。何卒お静かにお引きください。」
と言って、イザベラ女王は頭を下げた。
タワラボシは口を強く結び、一礼して陣テントから出ていった。
タイザベラ女王とホルヘ公爵宰相はタワラボシを見送りながら、
「ヒカリ王女様は、統率者としては弱いのだろうか?」
「従姉妹殿は象徴としてしてなら、可能性があるでしょう。」
「交渉相手としては、かなり分があるかな?」
と二人は複雑な表情でタワラボシの背中を見つめていた。
「さて、女王陛下の手腕を期待して、見送りの準備をします。」
と言って、ホルヘ公爵宰相はデンシャ車両の方へ向かった。
タワラボシは自分の軽率さに嫌気がさしていた。
「例え、浪人であったとしても、一兵卒ではアクコーを討ち取るなど無理であったろうし、ましてや今は聖女突撃騎馬隊隊長であり、他の陣営に参加できるわけがない。例え聖女突撃騎馬隊を除隊して、ビクトリー王国軍へ参加したなら、ヒカリ聖女様とイザベラ女王の間に、余計な波を立たせてしまうところであった。」
とつぶやきながら丘を下っていった。
そしてアクコーによって辱めを受けた上に、殺された娘メルシーに聞かせるように、
「メルシー。お前の仇は、ビクトリー王国軍が代わりにかたき討ちしてくれる。その時は祝杯だ。」
と泣きそうな笑顔で天を仰いだ。
タワラボシは十番組隊長に向かって、
「アクコーの援軍が来たなら、そいつらは阻止する!」
と強く宣言した。
「女王陛下、もはやアクコー王を打ち取るのは時間の問題です。そろそろ結婚式場である、神降臨街へ御向かいください。」
「まさかここまでくる間、全くの戦や小競合いがなかったことは、、、拍子抜けだったな。」
「三日間の行軍で、迎撃軍が一兵もいないなど、かなりオハラ王国は異常事態であったのだろう。もはや、アクコー王のもとには、、、どこからも、、、援軍さえも来ないでしょう。」
「そうですね、、、。」
と都の籠城兵十万に対し、攻撃側のビクトリー王国軍四十万は超えている自軍の陣形と攻略武器類を、イザベラ女王は満足気に再度確認した。
イザベラ女王は自軍後方から十騎馬隊が向かってくるのを確認すると、ホルヘ公爵宰相も気づいた様子で、
「あの旗は、、、たしか、、、ヒカリ王女指揮する、、、聖女軍の旗のようですが?」
「そうですね、、、、。」
とイザベラ女王は渋い表情をした。
「援軍の申出か?最悪の、、、戦後条件か、、、だろう。」
「両方とも、はねつけるわ。」
「当然でしょう。」
二人は互いに表情を暗くし、互いの意思を確認し合うように見つめ合っていた。
イザベラ女王とホルヘ公爵宰相は、丘の下で馬から降りて徒歩で丘の斜面を、たった一人で登ってくるタワラボシ.ゲンバ聖女突撃騎馬隊隊長に身構えたのは、丘のふもとに居る十人の騎士は元オハラ王の一騎当千と言われた親衛十番組隊長の正装であり、はるか後方の丘に十万を超える軍が姿を現したからである。
「イザベラ女王様、初にお目にかかれることができ、光栄です。私、聖女突撃騎馬隊隊長タワラボシ.ゲンバはヒカリ聖女様から、監視を命じられましたので、ご挨拶にお伺いしました。」
「はて?ここ、戦場陣地に監視軍を?何事でしょう従姉妹殿は、、、?」
「それにつきましては、席を設けていただきたい。」
ホルヘ公爵宰相は無言で頷きながら、始終無言のまま陣テントへタワラボシを案内した。
イザベラ女王とホルヘ公爵宰相は無表情で、真向い席のタワラボシを無言でにらんでいた。
「ま、確かに、敵か味方かをはっきりしていないので、警戒なさるのは、、、仕方がないな。」
「して!従姉妹殿は敵か味方か?」
「今の所、、、ヒカリ聖女様の意向はどちらでもありません。が、配下のわれらにしたら、女王軍がアクコーを討ち取ったのちの行動に、、、大いなる関心があります。」
「まだ、アクコー王を倒していないので、返答しかねる。ヒカリ王女様には、そのように伝えていただきたい。」
とホルヘ公爵は怒りを含んだ眼を隠すことなく、静かの声で返事した。
「捕らぬ狸の皮算用はしないと?」
「皮算用などない!」
とイザベラ女王は立ち上がって怒鳴った。
「ではそのように、皮算用などしていないと、ヒカリ聖女様と心配性の配下の者たちに、、、、お伝えします。」
と言ってタワラボシは立ち上がり満面笑顔の表情で、
「ヒカリ聖女様からは、監視だけとの命を受けたが、私も、個人的に、アクコーに恨みがあるのです。ので、わたくし個人を、ビクトリー王国軍への助太刀参加願えませんか。」
と言って、タワラボシは槍を赤く発動させた。
「貴様!尾刃槍を発動させて、何をする!であえ!」
と、ホルヘ公爵宰相はイザベラ女王をかばうように、タワラボシの前で手を広げた。
タワラボシは慌てて槍の発動を止めて、穂先を地面に刺した。
イザベラ女王はホルヘ公爵宰相を横に促し、
「タワラボシ.ゲンバ聖女突撃騎馬隊隊長殿、助太刀とは心強い言葉です。なれど、、、従姉妹殿の心情はどちらへも助力することなく、監視だけだとの考えであろう。タワラボシ.ゲンバ聖女突撃騎馬隊隊長殿は従姉妹殿の配下でございましょう。今の言葉は冗談であったと、受け取ります。何卒お静かにお引きください。」
と言って、イザベラ女王は頭を下げた。
タワラボシは口を強く結び、一礼して陣テントから出ていった。
タイザベラ女王とホルヘ公爵宰相はタワラボシを見送りながら、
「ヒカリ王女様は、統率者としては弱いのだろうか?」
「従姉妹殿は象徴としてしてなら、可能性があるでしょう。」
「交渉相手としては、かなり分があるかな?」
と二人は複雑な表情でタワラボシの背中を見つめていた。
「さて、女王陛下の手腕を期待して、見送りの準備をします。」
と言って、ホルヘ公爵宰相はデンシャ車両の方へ向かった。
タワラボシは自分の軽率さに嫌気がさしていた。
「例え、浪人であったとしても、一兵卒ではアクコーを討ち取るなど無理であったろうし、ましてや今は聖女突撃騎馬隊隊長であり、他の陣営に参加できるわけがない。例え聖女突撃騎馬隊を除隊して、ビクトリー王国軍へ参加したなら、ヒカリ聖女様とイザベラ女王の間に、余計な波を立たせてしまうところであった。」
とつぶやきながら丘を下っていった。
そしてアクコーによって辱めを受けた上に、殺された娘メルシーに聞かせるように、
「メルシー。お前の仇は、ビクトリー王国軍が代わりにかたき討ちしてくれる。その時は祝杯だ。」
と泣きそうな笑顔で天を仰いだ。
タワラボシは十番組隊長に向かって、
「アクコーの援軍が来たなら、そいつらは阻止する!」
と強く宣言した。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる