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制覇行進

135 ビクトリー王国の思案

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 ビクトリー王国ホルヘ公爵宰相は平定した元侯爵ハルヒサ.アマコの領地館に、鎮守聖国から借りた反重力デンシャ車両から降り立った。

 ホルヘ公爵宰相が領地館に入ると、ビクトリー王国兵士が監禁している元侯爵ハルヒサ.アマコ一家が跪いていた。

「宰相!我は釈明を求める!」
「誤解があるとの申出書簡は受け取った。」
「なら、もう一度、この口方事情を説明する。」
「お前の言い分での、、、。」
と言ってホルヘ公爵宰相はハルヒサ.アマコの髪をつかみ、
「最優先事項である侵略軍への軍事防衛行動義務を、、、放棄した事情など理解できない!書簡だけを送り、釈明にも現れないお前など、女王様も俺も決して理解できない!今となっては、釈明など聞きたくない!」
と言って、ハルヒサ.アマコの髪をつかんだまま、顔面を思いっきりの力で床に押し付けた。

 ホルヘ公爵宰相は平伏しているアマコ一家を見回し、
「男たちは処刑し、女たちは追放だ!」
と怒鳴ると、女性たちは泣き出し、男たちは慈悲を請いだしたが、ホルヘ公爵宰相は無視するように部屋から出て行った。

 ホルヘ公爵宰相はアマコ領地平定軍の指揮官を呼び、
「ここの領地の整理は、、、鎮守聖国軍と文官に任せ、お前は配下全軍を率いて元トンズラコ領地の領都へ向かえ。」
「デンシャ車両の使用を、許可していただけますか?」
「デンシャ車両は鎮守聖国軍から譲られたのでの、優先使用はこちら側にある。なので、わが軍が必要ならば優先的に使用できる。」
「では、十二両程を使わせていただきます。」
「任務遂行を命じる。」
と言ってホルヘ公爵宰相は再び残りのデンシャ車両に乗り込み、平定し終えたほかの貴族領地へと向かった。

 元アクダイカ軍閥の治めていた領地では、タイガー聖騎士団隊長と、地方行政官に任命されたニキチ地方行政官僚がテーブルに座っていた。
「ワンべ王国とツール王国にスリーヤ王国で大規模な暴動が起きたとの理由で、ビクトリー王国軍が引き上げてしまったが、本当の理由は知っているか?」
と、ニキチ地方行政官は納得できない表情でタイガーに尋ねた。
「本国からの報告では、ビクトリー王国軍三十万は元トンズラコ領地の領都に集結していて、今日か明日にはオハラ王国に攻め込むだろう。」
「鎮守聖国は静観すると?」
「元々お館様には、、、他国の領地を接収する気などないのだから、国同士の争いに干渉したがらない。」
「鎮守聖国の閣僚達からは援軍を出すだけで、見返りを求めない指導者に対して、不満が出ないのか?」
「本国の閣僚たちにも焦りはあるだろうが、お館様の理想は『万民が平等で衣食足りて平和であるならば、多少傷付いてでも膿を出す。』との思いだから、誰もお館様に注進などしないし、それがお館様の想いなら正しいと思っている。」
「確かに、男として、指導者としては尊敬できるお方だ。」
「お館様からの命令は、『ビクトリー王国の平定に手を貸せ。』とのことなので、俺担当の元アクダイカ軍閥の治めていた領地の平定だ。」
「かなりの盗賊が出没しているようだな。」
「隣りのシャジャーイ王国から侵入し、追い詰めると再びシャジャーイ王国へ逃げ込むので、手を焼いている。」
「兄弟が盗賊を追って国境を越えたら、シャジャーイ王国との戦になるからな。」
「俺はそれを望んでいるが、お館様からの返事がない。」
「兄弟、、、まさか本気か?」
と言ってニキチはタイガーの顔を覗き込んだ。

 タイガーは静かに妄想しだしたが、急に大きく目を開いた。
開いた眼は怒りを含んでいた。
「兄弟。訳ありか?差支えないなら話せ。協力する。」

 大河は怒っていた目を曇らせてニキチの方を向いた。
「俺の出目は、シャジャーイ王国だ。俺は王族である。父は先代の第一王子で王太子であったが、先代の王が床に伏せると、父王太子は暗殺された。俺たち家族はバラバラに逃げ出た。俺が十一歳の時だ。弟は腹違いだが、一つ年下だった。名はヤスゴローだ。未だ異母と共に、行くか他知れずだ。」
と寂しげに目を伏せた。
「分かった。家族を探す事に協力しよう。」
「頼めるか?」
「して、かたき討ちは?」
「今の俺の体は、お館様のものだ。勝手な行動はできない。」
「仇は撃つべきだ。」
ニキチは怒るが、タイガーは静かに目を伏せた。
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