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制覇行進
128 夜は娼婦
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ビクトリー王国都では戦勝祝いと女王婚約発表で、都中が老いも若きも祝宴騒ぎになっていた。
祝宴騒ぎの中では、今では誰もが女性の指導者などと、不安がる者や悪口を言う者はいなくなっていた。
王都防衛戦での最大の成果は、以前沼地でのビクトリー王国軍の演習中に、ボーボアの襲撃を受けた際の当事者たちにはトラウマが残っていたが、最強のボーボア二頭でさえ指揮官からの指示が的確ならば、倒せることを身をもって体験した。
たとえ敵が最強であったとしても、各自が自分の役割を実行するなら、周りも同じように加勢してくるとの確信を得た。
もう沼での逃げ惑うだけの戦いみたいな、無残な負け方はしないと認識した。
ホルヘ公爵宰相はイザベラ女王の事でヒカリ王女から相談された事に応える為、二人を迎賓館の祝賀会から連れ出して自宅応接間にいた。
女王陛下、此れから人種、、、いや雄と雌の本能の話をする。心して聞いてくれ。」
ホルヘ公爵宰相は男女関係を、敢えて雄と雌の話に切り替えた。
この場に今は亡き元妻エリザがいないことを悔やみながら、ビクトリー王国とオハラ王国の為に、男の自分が姪御二人に話さなければならない状態になった事に強く気を引き締めた。
「生あるものは、番を選ぶ際、より優秀な相手を探す。それは雄にしろ雌にしろ同じだ。
選んだ後にさらに優秀な相手が出現したなら、犬畜生であるなら簡単に変更する。
だが、人種の場合は、理性と世論を気にする故に、変更するのにはかなりの負が生じ、時にはすべてを捨てる決断がいる。」
聞いていた二人の姪御達は叔父の夫婦関係を想像した。
「相思相愛の円満な関係でも、常にほかの優秀な人を探すと?」
「相思相愛であったとしてでも、例外はない。それは自分の種を優秀な子孫に残したいとする本能だから。」
「それは倫理に反する。」
「そうだ、争いや殺し合いを避けるために、人種だけが獲得した倫理論だ。
だが二人は頂点に立ったために、その倫理から許される権利を手に入れた。」
「多夫一妻を進めると?」
「まさか。そんなことをしたなら、統治も支配力もすぐに崩壊する。だが、鎮守聖陛下だけは権利を施行したとても、安泰だろう。」
ヒカリ王女はうなずいたが、イザベラ女王はもろに嫌な表情になった。
「だが、二人には鎮守聖陛下を、暴走させない方法はある。」
ヒカリ王女はイザベラ女王に微笑んで、すぐに乗り出すようにホルヘ公爵宰相に向き直した。
「これは、元妻エリザの母親が夫婦円満のコツとして、エリザに教えた話だ。昼は淑女で、夜は娼婦になりなさい。とだ。そのことで、俺たちは不満より満足が勝り、いつまでも中の良い関係を続けることができた。」
ヒカリ王女とイザベラ女王は互いに向き合い、互いに首を曲げた。
「淑女とは利発で情け深い女性であり、娼婦とは自分の価格を高く売る為の性行技量を磨く女性だ。これ以上は俺には説明できないので、客人から詳しく聞け。」
と、ホルヘ公爵宰相は顔を真っ赤にして手をたたいた。
室のドアが開き、パトラが入ってきた。
「あ、パトラさん!お元気でしたのですか。」
パトラも目の前にヒカリ王女が居たことで驚いたが、冷静を装い深々と頭を下げた。
「二人が知り合いなら、私からの紹介はやめよう。パトラ殿、後は二人をよろしく指導していただきたい。」
と言って、ホルヘ公爵宰相は慌てるように部屋から出ていった。
ヒカリ王女はホルヘ公爵宰相の座っていた席へパトラをいざない座らせた。
イザベラは初めて色香漂いを隠すことなく、自慢げに周りに発散している女性を眺めていた。
(こやつは、全女性の敵だ!)と本能で感じた。
「従姉妹殿、こちらの女性は、どなたかしら?」
「あ、紹介するね。神降臨街にある教会で侍女頭をしていた、パトラ殿です。」
「その侍女頭がなぜここに居るの?」
「ある日突然姿を消して、居なくなったの。」
パトラは自分がここに居る理由を説明するためには、これまでの出来事を話さなければならないと思った。
「あの節は皆さまに不義理をしてしまい、申し訳ありませんでした。」
「パトラ殿は、被害者なのに、どうして不義理などと。」
「私が誘拐犯を案内しました。」
「チンジュ女神様は自分から進んで、オハラ王国王宮へ向かったと聞いていますが?」
鎮守様がオハラ王国王宮に向かい、王都への教会設立を要請したが、すげなく断られた後、第一王子の変死事件をヒカリ王女は思い出していた。
「王宮での噂は聞いていますが、そのきっかけとなったのは私の元の夫で、元の夫をチンジュ女神様に紹介したのは私です。」
「それがなぜ、パトラ殿が引け目に思うことになるのかしら?」
「事実、死人が出ました。」
「あなたの元の夫まで巻き込んだ乱闘事件は、あなたには無関係の、行政官に嫉妬した盗賊たちの仕業だったでしょう。」
パトラは誘拐事件の事実が歪曲されていると初めて悟った。
ゆえに、チンジュ女神教会からの援助がスムーズなのは、成行きを知っている人は乱闘場にいたアチャカ行政官と、事実を知る者は誘拐されたチンジュ女神様と誘拐したタイガー殿だけだと初めて理解した。
そして自分はすべてを知っていると、心の中でチンジュ女神様に懺悔して感謝した。
「で、叔父上様がおっしゃっていた指導とは、どの様な事でしょうか?」
「説明も聞いてとも、言っていたわね。」
「ここでは、説明も指導も無理ですので、どこか寝室に案内していただきたいです。」
「は~。寝室?」
「です。」
とパトラは背を伸ばして威厳を示した。
急に色香を消し、凛とした態度に変わったパトラに二人は威圧された。
ヒカリ王女は二人を伴い、自分にあてがわれている寝室に向かった。
パトラはヒカリ王女とイザベラ女王をベッドに腰掛けさせ、傍にあった椅子を二人の前に起き着席した。
「先ずは、今の私の自己紹介をするね。私は娼婦館を経営している娼婦です。」
パトラの紹介に二人は固まった。
ヒカリ王女にすれば、まさかパトラが娼婦に身を落としたなどと思いたくなかったし、イザベラ女王からしたら、なぜ娼婦ごときがこの場にいるのかと憤慨していた。
「お二人様は、ホルヘ公爵宰相様から、夜は娼婦の様に在れと言われましたでしょう。」
ヒカリ王女はうなずいたが、イザベラ女王はまだ固まっていた。
「ヒカリ王女様は存じていますが、こちら様はどなたかしら?」
「イザベラ. ビクトリーだ。」
といって胸を張った。
「では王女様と女王様とお呼びします。」
「許す。」と固まったイザベラ女王は返事した。
パトラは腰のバッグから逸物のハリ型を取り出した。
「王女様は、これをご存知ですよね。」
ヒカリ王女は真っ赤になってうなずきながら首を垂れた。
「此れから、男を虜にする、夜だけ娼婦になれる指導をします。」
「娼婦ごときが、何を言い出す。」
「お願いします。」
二人は同時に真逆の答え方をした。
「従姉妹殿、何を言い出す。」
「叔父上様たちのように、不満より満足が勝る行為で、タロー様を虜にできるなら、是非にお願いしたい。」
「女王様、虜とは過激な言葉でしたが、私は男が床での喜ぶ事を教えるのです。」
「必要なのか?」
と言ってイザベラ女王はヒカリ王女に尋ねた。
「必要、必要が無い。そんなことではなく、私も奉仕したいのです。」
「こればっかりは経験しないと、理解が難しいでしょう。」
と言ってパトラはイザベラ女王をにらんだ。
パトラはイザベラ女王を諭すように、
「女王様、これから指導することは、殿方の為にだけでなく、自分の為でもあります。理解できなくても、覚えてほしい。」
といって二人を立たせた。
パトラは二人を直立不動させ、
「馬にまたがった状態を想像し、尻と内股に力を入れなさい。」
二人は騎乗した体制になり、馬術基本通りに尻の苦痛をなくし、馬体を挟むように内股に力を込めた。
パトラはかがんだヒカリ王女の尻と内またを、強く押して硬さを調べた、
ヒカリ王女はパトラの非礼な行為を受け入れていたが、イザベラ女王はヒカリ王女が抵抗しないことで、仕方なしにパトラの行為を受け入れた。
「いい筋肉です。そのままの力を抜かないで、背を真っ直ぐ伸ばしなさい。」
パトラはまた同じように筋肉の堅さを確認した。
「合格。」
「次は指先で立ち、同じように力を入れなさい。」
二人が指先で立つと、
「同じ筋肉を使い、尻穴と筒穴を腹の上部に押し上げなさい。」
「押し上げるなど、無理です。」
「押し上げると、思いながら努力しなさい。はい、力を込めて、いち、力を抜いて、に、続けて、いち、に。」
「これをやる必要の意味は?」
「王女様、説明してあげなさい。」
「おそらくは、私の内側肌の締め付けが、タローさまの、、、あれが、強く感じるように、なれるかと?」
「う~ん。そう~ですが、正解は、女性自身の感じが強くなり潤滑液があふれ出し、握り締め付けると殿方も快感がよくなる。さらにそれをもっと高めを欲しがり強く握れるようになると、殿方は他の女性では感じにくく、物足りなくなる。」
「なら、頑張ります。」と二人は意味を理解したのか初めて同意した。
「産後は絶対に必要になります。ですので今から練習しておきましょう。」
パトラはベッド中央に枕を重ね、ベッドに上り枕をまたいで座り込んだ。
パトラは上半身を動かさないで、前後左右に動くお尻だけのフラダンスを始めた。
「対面している場合は、決して苦しい表情をしないで、極楽気分表情を常に殿方に見せつけること。たとえその気分ではなくても、絶対に嫌な表情や苦痛表情は厳禁止です。」
「その動きは、何の為に?」
「王女様はこの体制でしたことがないと?」
「下になり、足を広げたり、足を延ばしたり、後ろからは、はらばいになったり、横向きになってします。」
「それだけだと受け身でしょう。殿方の負担を少なくするのも、相方の義務です。では、にこやかな表情で踊りの練習をしましょう。」
パトラは枕に逸物のハリ型を乗せて、
「逸物がこのように立っていると想像し、これを膣から離さないよう思い浮かべながら、外側で一番感じる所を枕に押し付け、こするように踊りなさい。」
「外側で一番感じる所とは?」
「王女様、女王様に教えなさい。」
ヒカリ王女はノリノリになっている様子で、イザベラ女王をベッドに横たえて下半身に手を伸ばした。
「な、な、何を、、何をする。」
「静かに勉強しなさい。」
イザベラ女王は「あッ。」と声を出したが顔を赤らめて静かになった。
「ここを、タロー様のお腹でこすりなさい。」
枕の上では、ヒカリ王女は体全体を揺らすだけで、とてもダンスには見えないが、イザベラ女王は最初はゆっくりと腰だけのダンスを始めだし、徐々に腰の動きが速くなりだした。
「何で従姉妹殿は上手になれたの?」
「馬をゆっくりと進めたい時の、動作だから。」
「あ、なるほどね。」
と言ってゆっくりと腰だけを動かしだすと、ダンスの要領を得たようで、腰の動きが急に速くなった。
騎乗位とはよく言ったものだと、パトラは感心した。
「次は背中を後ろにそらし、上下運動。」
この体制はぎこちない大雑把なイザベラ女王に対して、経験あるヒカリ王女に軍配が上がった。
「その体制で、後ろを向き、お尻だけの上下運動。これは自分のペースで進めきれるし、殿方に楽をさせて強い快感を与え、気分もよくさせる。その時忘れてならないのは、すべてがそうであるように、最初に練習した締め付け握りを忘れないこと。」
「あ、思い出した。座って抱かれる体制もあった。」
「その体制の時は、擦り行動と、上下運動を感じるままに組み立てなさい。」
「性行為が、こんな疲れる運動だとは、知らなかった。」
「楽しいから、疲れませんわよ。」
と、ヒカリ王女はにやけだした。
「先輩ずらしやがって。」とイザベラ女王はほほを膨らませた。
「さあ~、これからが本番。頑張りましょうね。」
と言ってフニャフニャとした棒をバッグから取り出した。
フニャフニャとした棒にも、やはり二つの玉が付いていた、
パトラは最初のハリ型とフニャフニャ棒を並べた。
「このフニャフニャとした棒を、こちらの形にするのも、女性側の担当です。」
と言って、二つを左右の手に持った。
パトラはフニャフニャとした棒を口に含み、口を大きく開いて棒を喉奥まで届いたと思われるほど棒の根元まで飲み込み、棒の先端を吐き出す行為を繰り返すと、フニャフニャ棒は最初のハリ型と同じ形の逸物になった。
「ここや、ここに、ここが、殿方が喜ぶ場所です。」
と言って指と舌を使い、その部分をいろんな方法でなめたりこすったりを繰り返した。
一通りの説明が終わり、パトラは三度バッグを開いて、布で包んだフニャフニャ棒を二人に手渡した。
ヒカリ王女とイザベラ女王はフニャフニャ棒に挑戦した。
フニャフニャ棒がなかなか硬くならないことで、二人は根を上げだした。
「無理です。」
「何でこんなことをしないといけないのだ。たかが子作りだろう。」
「女王様は、性行為は子作りだけだと、思っているのですか?どうなのでしょうか王女様。」
「目的は、子作りですが、性行為は愛の極限方法だと思います。」
「愛の極限方法?意味不明。」
「愛を確かめ合うのです。ですので、その最中に苦しい表情などしません。」
「苦しい表現になることがあるの?」
「強い刺激を我慢できないとき、苦しくなりそうになりますが、先生のおっしゃった意味を理解しましたので、今後は絶対しません。」
「頑張りましょう。」
二人はパトラの指導で何とかフニャフニャ棒を硬く出来たが、口を大きく開けて喉の奥でのイマラチオには抵抗した。
拒否反応の理由は、ゲロしたくなる嗚咽に耐えきれなかったからであった。
「苦しすぎる。」
「これは、性行為ではないわ。苦行です。」
「ですが、愛は無償の奉仕です。これは、娼婦の特別な客への切り札ですので、無理には進めません。」
「この行為は、高額の報酬があると?」
「娼婦にとっては、無償の愛など存在しないので、当然の難易度が高い技法は高額商品です。殿方は対価に見合う快感であったと、支払ってくれます。」
と言って憮然とした表情で道具をかたづけ出した。
二人は掛ける言葉を忘れた様子で唖然として、部屋から出ていくパトラを見送った。
「怒った意味がわからん。」
「何かの琴線に触れたのでしょう。」
「難易度が高い技法を、私たちが必要と思わなかったのが、原因かしら?」
と、不出来な生徒であったがために、何故か中途半端な指導だったのではと、ヒカリ王女だけが感じた。
祝宴騒ぎの中では、今では誰もが女性の指導者などと、不安がる者や悪口を言う者はいなくなっていた。
王都防衛戦での最大の成果は、以前沼地でのビクトリー王国軍の演習中に、ボーボアの襲撃を受けた際の当事者たちにはトラウマが残っていたが、最強のボーボア二頭でさえ指揮官からの指示が的確ならば、倒せることを身をもって体験した。
たとえ敵が最強であったとしても、各自が自分の役割を実行するなら、周りも同じように加勢してくるとの確信を得た。
もう沼での逃げ惑うだけの戦いみたいな、無残な負け方はしないと認識した。
ホルヘ公爵宰相はイザベラ女王の事でヒカリ王女から相談された事に応える為、二人を迎賓館の祝賀会から連れ出して自宅応接間にいた。
女王陛下、此れから人種、、、いや雄と雌の本能の話をする。心して聞いてくれ。」
ホルヘ公爵宰相は男女関係を、敢えて雄と雌の話に切り替えた。
この場に今は亡き元妻エリザがいないことを悔やみながら、ビクトリー王国とオハラ王国の為に、男の自分が姪御二人に話さなければならない状態になった事に強く気を引き締めた。
「生あるものは、番を選ぶ際、より優秀な相手を探す。それは雄にしろ雌にしろ同じだ。
選んだ後にさらに優秀な相手が出現したなら、犬畜生であるなら簡単に変更する。
だが、人種の場合は、理性と世論を気にする故に、変更するのにはかなりの負が生じ、時にはすべてを捨てる決断がいる。」
聞いていた二人の姪御達は叔父の夫婦関係を想像した。
「相思相愛の円満な関係でも、常にほかの優秀な人を探すと?」
「相思相愛であったとしてでも、例外はない。それは自分の種を優秀な子孫に残したいとする本能だから。」
「それは倫理に反する。」
「そうだ、争いや殺し合いを避けるために、人種だけが獲得した倫理論だ。
だが二人は頂点に立ったために、その倫理から許される権利を手に入れた。」
「多夫一妻を進めると?」
「まさか。そんなことをしたなら、統治も支配力もすぐに崩壊する。だが、鎮守聖陛下だけは権利を施行したとても、安泰だろう。」
ヒカリ王女はうなずいたが、イザベラ女王はもろに嫌な表情になった。
「だが、二人には鎮守聖陛下を、暴走させない方法はある。」
ヒカリ王女はイザベラ女王に微笑んで、すぐに乗り出すようにホルヘ公爵宰相に向き直した。
「これは、元妻エリザの母親が夫婦円満のコツとして、エリザに教えた話だ。昼は淑女で、夜は娼婦になりなさい。とだ。そのことで、俺たちは不満より満足が勝り、いつまでも中の良い関係を続けることができた。」
ヒカリ王女とイザベラ女王は互いに向き合い、互いに首を曲げた。
「淑女とは利発で情け深い女性であり、娼婦とは自分の価格を高く売る為の性行技量を磨く女性だ。これ以上は俺には説明できないので、客人から詳しく聞け。」
と、ホルヘ公爵宰相は顔を真っ赤にして手をたたいた。
室のドアが開き、パトラが入ってきた。
「あ、パトラさん!お元気でしたのですか。」
パトラも目の前にヒカリ王女が居たことで驚いたが、冷静を装い深々と頭を下げた。
「二人が知り合いなら、私からの紹介はやめよう。パトラ殿、後は二人をよろしく指導していただきたい。」
と言って、ホルヘ公爵宰相は慌てるように部屋から出ていった。
ヒカリ王女はホルヘ公爵宰相の座っていた席へパトラをいざない座らせた。
イザベラは初めて色香漂いを隠すことなく、自慢げに周りに発散している女性を眺めていた。
(こやつは、全女性の敵だ!)と本能で感じた。
「従姉妹殿、こちらの女性は、どなたかしら?」
「あ、紹介するね。神降臨街にある教会で侍女頭をしていた、パトラ殿です。」
「その侍女頭がなぜここに居るの?」
「ある日突然姿を消して、居なくなったの。」
パトラは自分がここに居る理由を説明するためには、これまでの出来事を話さなければならないと思った。
「あの節は皆さまに不義理をしてしまい、申し訳ありませんでした。」
「パトラ殿は、被害者なのに、どうして不義理などと。」
「私が誘拐犯を案内しました。」
「チンジュ女神様は自分から進んで、オハラ王国王宮へ向かったと聞いていますが?」
鎮守様がオハラ王国王宮に向かい、王都への教会設立を要請したが、すげなく断られた後、第一王子の変死事件をヒカリ王女は思い出していた。
「王宮での噂は聞いていますが、そのきっかけとなったのは私の元の夫で、元の夫をチンジュ女神様に紹介したのは私です。」
「それがなぜ、パトラ殿が引け目に思うことになるのかしら?」
「事実、死人が出ました。」
「あなたの元の夫まで巻き込んだ乱闘事件は、あなたには無関係の、行政官に嫉妬した盗賊たちの仕業だったでしょう。」
パトラは誘拐事件の事実が歪曲されていると初めて悟った。
ゆえに、チンジュ女神教会からの援助がスムーズなのは、成行きを知っている人は乱闘場にいたアチャカ行政官と、事実を知る者は誘拐されたチンジュ女神様と誘拐したタイガー殿だけだと初めて理解した。
そして自分はすべてを知っていると、心の中でチンジュ女神様に懺悔して感謝した。
「で、叔父上様がおっしゃっていた指導とは、どの様な事でしょうか?」
「説明も聞いてとも、言っていたわね。」
「ここでは、説明も指導も無理ですので、どこか寝室に案内していただきたいです。」
「は~。寝室?」
「です。」
とパトラは背を伸ばして威厳を示した。
急に色香を消し、凛とした態度に変わったパトラに二人は威圧された。
ヒカリ王女は二人を伴い、自分にあてがわれている寝室に向かった。
パトラはヒカリ王女とイザベラ女王をベッドに腰掛けさせ、傍にあった椅子を二人の前に起き着席した。
「先ずは、今の私の自己紹介をするね。私は娼婦館を経営している娼婦です。」
パトラの紹介に二人は固まった。
ヒカリ王女にすれば、まさかパトラが娼婦に身を落としたなどと思いたくなかったし、イザベラ女王からしたら、なぜ娼婦ごときがこの場にいるのかと憤慨していた。
「お二人様は、ホルヘ公爵宰相様から、夜は娼婦の様に在れと言われましたでしょう。」
ヒカリ王女はうなずいたが、イザベラ女王はまだ固まっていた。
「ヒカリ王女様は存じていますが、こちら様はどなたかしら?」
「イザベラ. ビクトリーだ。」
といって胸を張った。
「では王女様と女王様とお呼びします。」
「許す。」と固まったイザベラ女王は返事した。
パトラは腰のバッグから逸物のハリ型を取り出した。
「王女様は、これをご存知ですよね。」
ヒカリ王女は真っ赤になってうなずきながら首を垂れた。
「此れから、男を虜にする、夜だけ娼婦になれる指導をします。」
「娼婦ごときが、何を言い出す。」
「お願いします。」
二人は同時に真逆の答え方をした。
「従姉妹殿、何を言い出す。」
「叔父上様たちのように、不満より満足が勝る行為で、タロー様を虜にできるなら、是非にお願いしたい。」
「女王様、虜とは過激な言葉でしたが、私は男が床での喜ぶ事を教えるのです。」
「必要なのか?」
と言ってイザベラ女王はヒカリ王女に尋ねた。
「必要、必要が無い。そんなことではなく、私も奉仕したいのです。」
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パトラはイザベラ女王を諭すように、
「女王様、これから指導することは、殿方の為にだけでなく、自分の為でもあります。理解できなくても、覚えてほしい。」
といって二人を立たせた。
パトラは二人を直立不動させ、
「馬にまたがった状態を想像し、尻と内股に力を入れなさい。」
二人は騎乗した体制になり、馬術基本通りに尻の苦痛をなくし、馬体を挟むように内股に力を込めた。
パトラはかがんだヒカリ王女の尻と内またを、強く押して硬さを調べた、
ヒカリ王女はパトラの非礼な行為を受け入れていたが、イザベラ女王はヒカリ王女が抵抗しないことで、仕方なしにパトラの行為を受け入れた。
「いい筋肉です。そのままの力を抜かないで、背を真っ直ぐ伸ばしなさい。」
パトラはまた同じように筋肉の堅さを確認した。
「合格。」
「次は指先で立ち、同じように力を入れなさい。」
二人が指先で立つと、
「同じ筋肉を使い、尻穴と筒穴を腹の上部に押し上げなさい。」
「押し上げるなど、無理です。」
「押し上げると、思いながら努力しなさい。はい、力を込めて、いち、力を抜いて、に、続けて、いち、に。」
「これをやる必要の意味は?」
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「なら、頑張ります。」と二人は意味を理解したのか初めて同意した。
「産後は絶対に必要になります。ですので今から練習しておきましょう。」
パトラはベッド中央に枕を重ね、ベッドに上り枕をまたいで座り込んだ。
パトラは上半身を動かさないで、前後左右に動くお尻だけのフラダンスを始めた。
「対面している場合は、決して苦しい表情をしないで、極楽気分表情を常に殿方に見せつけること。たとえその気分ではなくても、絶対に嫌な表情や苦痛表情は厳禁止です。」
「その動きは、何の為に?」
「王女様はこの体制でしたことがないと?」
「下になり、足を広げたり、足を延ばしたり、後ろからは、はらばいになったり、横向きになってします。」
「それだけだと受け身でしょう。殿方の負担を少なくするのも、相方の義務です。では、にこやかな表情で踊りの練習をしましょう。」
パトラは枕に逸物のハリ型を乗せて、
「逸物がこのように立っていると想像し、これを膣から離さないよう思い浮かべながら、外側で一番感じる所を枕に押し付け、こするように踊りなさい。」
「外側で一番感じる所とは?」
「王女様、女王様に教えなさい。」
ヒカリ王女はノリノリになっている様子で、イザベラ女王をベッドに横たえて下半身に手を伸ばした。
「な、な、何を、、何をする。」
「静かに勉強しなさい。」
イザベラ女王は「あッ。」と声を出したが顔を赤らめて静かになった。
「ここを、タロー様のお腹でこすりなさい。」
枕の上では、ヒカリ王女は体全体を揺らすだけで、とてもダンスには見えないが、イザベラ女王は最初はゆっくりと腰だけのダンスを始めだし、徐々に腰の動きが速くなりだした。
「何で従姉妹殿は上手になれたの?」
「馬をゆっくりと進めたい時の、動作だから。」
「あ、なるほどね。」
と言ってゆっくりと腰だけを動かしだすと、ダンスの要領を得たようで、腰の動きが急に速くなった。
騎乗位とはよく言ったものだと、パトラは感心した。
「次は背中を後ろにそらし、上下運動。」
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「その体制で、後ろを向き、お尻だけの上下運動。これは自分のペースで進めきれるし、殿方に楽をさせて強い快感を与え、気分もよくさせる。その時忘れてならないのは、すべてがそうであるように、最初に練習した締め付け握りを忘れないこと。」
「あ、思い出した。座って抱かれる体制もあった。」
「その体制の時は、擦り行動と、上下運動を感じるままに組み立てなさい。」
「性行為が、こんな疲れる運動だとは、知らなかった。」
「楽しいから、疲れませんわよ。」
と、ヒカリ王女はにやけだした。
「先輩ずらしやがって。」とイザベラ女王はほほを膨らませた。
「さあ~、これからが本番。頑張りましょうね。」
と言ってフニャフニャとした棒をバッグから取り出した。
フニャフニャとした棒にも、やはり二つの玉が付いていた、
パトラは最初のハリ型とフニャフニャ棒を並べた。
「このフニャフニャとした棒を、こちらの形にするのも、女性側の担当です。」
と言って、二つを左右の手に持った。
パトラはフニャフニャとした棒を口に含み、口を大きく開いて棒を喉奥まで届いたと思われるほど棒の根元まで飲み込み、棒の先端を吐き出す行為を繰り返すと、フニャフニャ棒は最初のハリ型と同じ形の逸物になった。
「ここや、ここに、ここが、殿方が喜ぶ場所です。」
と言って指と舌を使い、その部分をいろんな方法でなめたりこすったりを繰り返した。
一通りの説明が終わり、パトラは三度バッグを開いて、布で包んだフニャフニャ棒を二人に手渡した。
ヒカリ王女とイザベラ女王はフニャフニャ棒に挑戦した。
フニャフニャ棒がなかなか硬くならないことで、二人は根を上げだした。
「無理です。」
「何でこんなことをしないといけないのだ。たかが子作りだろう。」
「女王様は、性行為は子作りだけだと、思っているのですか?どうなのでしょうか王女様。」
「目的は、子作りですが、性行為は愛の極限方法だと思います。」
「愛の極限方法?意味不明。」
「愛を確かめ合うのです。ですので、その最中に苦しい表情などしません。」
「苦しい表現になることがあるの?」
「強い刺激を我慢できないとき、苦しくなりそうになりますが、先生のおっしゃった意味を理解しましたので、今後は絶対しません。」
「頑張りましょう。」
二人はパトラの指導で何とかフニャフニャ棒を硬く出来たが、口を大きく開けて喉の奥でのイマラチオには抵抗した。
拒否反応の理由は、ゲロしたくなる嗚咽に耐えきれなかったからであった。
「苦しすぎる。」
「これは、性行為ではないわ。苦行です。」
「ですが、愛は無償の奉仕です。これは、娼婦の特別な客への切り札ですので、無理には進めません。」
「この行為は、高額の報酬があると?」
「娼婦にとっては、無償の愛など存在しないので、当然の難易度が高い技法は高額商品です。殿方は対価に見合う快感であったと、支払ってくれます。」
と言って憮然とした表情で道具をかたづけ出した。
二人は掛ける言葉を忘れた様子で唖然として、部屋から出ていくパトラを見送った。
「怒った意味がわからん。」
「何かの琴線に触れたのでしょう。」
「難易度が高い技法を、私たちが必要と思わなかったのが、原因かしら?」
と、不出来な生徒であったがために、何故か中途半端な指導だったのではと、ヒカリ王女だけが感じた。
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微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
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