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制覇行進
127 騎馬隊のボーボア戦
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イザベラの黒い鱗甲冑には、さらに黒く輝く翅模様が浮かんでいた。
天上の太陽がやや傾いた日中ではあるが、イザベラ女王は開けた丘の上から王都防壁周りの惨状を眺めていた。
東門側では三つの大きな刃竜巻が起きていて、西門と南門ではやや小さめの刃渦巻く竜巻が無数に動き回っていた。
反乱軍は防壁上から放される矢の雨と、背後の刃竜巻に挟まれた状態で逃げ回っていた。
どの刃竜巻も反乱軍勢を防壁側に追い込むかのように、防壁と横平行に動いていた。
悲惨なのは北門であった。
二頭のボーボアは互いに連携し合っていて、反乱軍が一塊になるよう防壁に追い込んでいた。
ボーボアが追い詰めた塊の中ほどに、ノロノア元王子と護衛騎士団二千もいた。
ボーボアの好みは頭部のようで、頭を食いちぎられた多くの鎧姿だけがボーボアの周りに散乱していた。
武器を放り投げた反乱兵たちは何とかボーボアから逃れようと、ボーボアの頭部と逆方向に走り逃げるが、そこには白く光る尾刃が待っていた。
尾刃にて次々と落ちる首を、ボーボアは長い舌で巻き取って飲み込んでいた。
北門側には万余の首なしが散乱していたが、それでもまだボーボアの食欲は尽きることなく続いていた。
護衛に支えられたノロノア元王子は、ボーボアからは一般兵士同様の扱いだったようで、横に薙ぎ払った尾刃によって一般兵士共々にその首が飛んだ。
ボーボアの食欲は飽きることがない様子で、北門にいた二万の軍勢は既に殆どが横倒しとなっていて、逃げまどう兵たちは二千ほどになっていた。
一頭のボーボアの鱗が膨れだすと、蛇の脱皮と同じように鱗のない皮だけが風に吹かれ、胴回りが二倍となり、長さも二倍となったボーボアが現れた。
脱皮したボーボアはそこら辺一帯にある首無し胴体を丸ごと飲み込み出していたが、脱皮してない片方はまだ生き残って逃げ回る兵たちの首を無慈悲にも尾刃で切り落とし続け、落ちた首だけをただ順番に飲み込んでいた。
王都防壁外側ではもはや戦う意思などない兵たちはこの惨状から逃れようと、防壁に背を向けて逃げ場を探していた。
防壁上にいる衛士兵達はすでに勝敗が決まっていることで、逃げ場を探している敵軍を哀れに思っていた。
とはいえ、救済したいなどとは思わない様子でただ眺めているだけであった。
防壁上にいる衛士兵の中には反乱兵に個人的な恨みでもあったのか、逃げおおせそうな敵兵の背中にコンパウンドボウの矢を放した。
北門上では脱皮したボーボアが急に二倍になったことで、傍観していた守備衛士兵達は防壁を越え切れる大きさとなった事で慌てだした。
「全員ボーボアの尾刃に注意し!コンパウンドボウ部隊も槍部隊もボーボアの目と口を、攻撃する準備をしろ!」
守備隊長は急ぎ二倍に成長したボーボアの攻撃に備えるよう指示を出した。
絶望になりかけた北門守備隊長は、脱皮したばかりのボーボアの尾に攻撃している黒い飛翔体に気づいた。
あまりにも速い動きをする黒い飛翔体が何なのかを確認できないが、三本の尾刃に挑んでいるのは確かである。
三本あった尾刃は二本しか確認できなくなったことで、黒い飛翔体が尾刃を切り落としたと確認すると、土埃の中から急に現れた多くの鱗甲冑騎馬隊が二頭のボーボアに襲い掛かった。
イザベラ女王は丘の上方反乱軍の混乱をただ対岸の火事だとの思いで傍観していたが、反乱軍は反撃などしないでただ逃げ惑い、ボーボアの一方的な攻撃に対して歯がゆくなった。
イザベラ女王は騎馬隊を残してただ一騎だけで駆けだした。
イザベラ女王が戦場に駆け付けると、丘の上から眺めていた状態と違い、周りは土埃だらけで視界不良状態であった。
ボーボアは遠望していた時よりもでかいと感じたが、尾の部分に灰色の脱皮がまだ残っていることで、脱皮して大きく成長したのだと悟った。
イザベラ女王は尾刃槍を腰に固定し、首のない遺体を飲み込むボーボアの首に突進した。
ボーボアの首から赤い血が噴き出した事で、「やわらかい?」と感じた。
尾刃がイザベラ女王に向かってくると、馬上から飛翔して尾刃を避けて槍を尾の根元へ投げた。
「刺さった!」
やはり固いはずの鱗を槍穂先が見えなくなるぐらいに貫き、深々と肉に食い込んでいた。
イザベラ女王は尾刃剣を抜き、青く発動させた。
三本の尾刃が向かってきたが、以前戦った大型ボーボアの動きほどはなく、難なく三本の尾刃を弾き飛ばすと、
「なに?このボーボアの攻撃?、、、軽い。」と、つい感想を口に出した。
尾刃を弾き飛ばしたイザベラ女王は尾刃根元へ切りかかった。
以前戦った時の鱗は固かったが、発動した尾刃剣であれば、二枚重ねまでなら切り落とせたとの思いで渾身の力で斬りこんだ。
青く発動した尾刃剣は鱗や肉だけでなく骨をも切り裂いた。
「ハ、ハ、ハ。なに?この弱いボーボア君。ノロノアの馬鹿がパニくらないで、きちんと指揮して攻撃したなら、勝てただろうに。」
と弟ノロノアを呪った。
イザベラ女王が突然駆け出したことで慌てて追いかけてきた騎馬隊は一斉に、イザベラ女王と戦っているボーボアに槍を固定して胴体を貫いた。
イザベラ女王は周りにひしめく味方の騎馬隊を邪魔とは思いつつ、彼らをかばいながら残りの尾刃根元を攻撃しだした。
騎馬隊は馬を降りてボーボアに挑むが、大半はボーボアの首や尾刃によって跳ね飛んでいた。
そんな彼らは鱗甲冑に守られてケガなどしていないのか、起き上がっては再度攻撃しだしていた。
イザベラ女王はそんな彼らを邪魔扱いすることなく、
「キール―!尾刃が来るぞ!」
と叫ぶと、キール―と呼ばれた騎士と周りの騎士たちは向かって来る尾刃を、赤や青色に発動させた尾刃剣で受け止めた。
イザベラ女王は動きの止まった尾刃根元に切りかかった。
それを見ていた騎馬隊武者たちも一斉に、残りの尾刃根元へ切りかかった。
脱皮したばかりのボーボアの尾刃はなくなり、口から吐き出る吹雪には凍らせる力はなく、多くの尾刃槍にて胴体は無残にも肉がはぎとられた痕には、白い骨がむき出しになっていた。
だが、傷だらけになった二頭の抵抗は激しくなり、尾刃がなくなった脱皮したばかりのボーボアが振り回す頭部で、多くの騎馬隊は跳ね飛んでいた。
ボーボアの周りから跳ね飛んだ騎馬隊の居た場所には、再び他の騎馬隊武者が現れた。
騎馬隊は人海戦術にてボーボアに挑んでいた。
脱皮し終えたボーボアの頭と胴体には多くの槍が刺さっていて、針鼠ではなく針蛇状態になっていた。
イザベラ女王は脱皮したボーボアの尾刃がすべて切り落ちたことを確認すると、再び黒い飛翔体と成って脱皮していないボーボアの尾刃に切りかかりだした。
素早く動き回るボーボアの尾刃を、黒い飛翔体は追い掛けて根元に切りかかると、黒い飛翔体から逃げる様にさらに激しく周りにいる騎馬隊を跳ね飛ばそうとするが、馬から降りた騎馬隊の一人が踏ん張ってその尾刃を受け止めると、すでに馬から降りて周りで挑んでいた騎馬隊は蟻のごとく尾刃にたかりだし、尾刃の動きを抑え止めた。
まだ脱皮していない小型ボーボアも針蛇状態になり、騎馬武者の突き刺した槍により動きを封じられたためか、反抗がままならない状態になっていた。
イザベラ女王は、小型ボーボアの成敗は騎馬武者任せにして、倒れて起き上がらない騎馬武者の介護に向かった。
倒れた騎馬武者には鱗甲冑の力で外傷傷はないが、内臓と骨の異常が確認できた。
サニーが憑依したイザベラ女王は損傷場所を特定し、
「治療回復。」と言って次々と治療しだした。
そんな中、勝どきの雄叫びが二カ所から上がった。
針蛇となった頭が胴体から切り落とされ、息絶えたのを確認した雄叫びであった。
粗方の反乱軍の生き残りはすでに逃走してしまった様子で、鹿島は竜巻魔法を止めると、七人の精霊たちと共にイザベラ女王達の元へ駆け付けた。
鹿島は七人の精霊たちに負傷者の治療を頼みイザベラ女王の元へ向かうと、すぐにサニーはイザベラ女王から飛び出してきた。
「イザベラちゃんが一人で二頭のボーボアに挑んだので、心配して来てくれたの?」
「小型ボーボアだったので、心配はしなかったが、このボーボア、いつの間に大きくなったのだ?」
「一回の脱皮で、倍になったようよ。」
「へッ、急に大きくなるなど、怖いッ。」
「でも脱皮後だったので、鱗はかなり柔らかかったわ。」
と、イザベラ女王は言葉を吐いたが、はにかみながら鹿島と目を合わすのを避ける様に、下を向いてもじもじしだしていた。
内臓と骨に異常があった騎馬武者隊は一桁台だけだったようで、七人の精霊達はすぐに鹿島の元へ駆けて来た。
サニーはフローレン精霊が現れると、突然頭に鉄拳を浴びせた。
「タローへの治療は、舌でなく!手のひらでしなさい!」
と怒鳴った。
「ち、りょう~。」とフローレン精霊はかがみこんで両手を自分の頭に乗せ、手のひらで鉄拳を浴びた場所をこすりだした。
鹿島はC-003号機の格納庫で狼から受けた負傷したほほを、フローレン精霊の舌でなめられた事を、親しき中での普通の治療行為だったと思い出していた。
「普通じゃないから!」
と、鹿島の頭にもサニーの鉄拳が襲ってきた。
天上の太陽がやや傾いた日中ではあるが、イザベラ女王は開けた丘の上から王都防壁周りの惨状を眺めていた。
東門側では三つの大きな刃竜巻が起きていて、西門と南門ではやや小さめの刃渦巻く竜巻が無数に動き回っていた。
反乱軍は防壁上から放される矢の雨と、背後の刃竜巻に挟まれた状態で逃げ回っていた。
どの刃竜巻も反乱軍勢を防壁側に追い込むかのように、防壁と横平行に動いていた。
悲惨なのは北門であった。
二頭のボーボアは互いに連携し合っていて、反乱軍が一塊になるよう防壁に追い込んでいた。
ボーボアが追い詰めた塊の中ほどに、ノロノア元王子と護衛騎士団二千もいた。
ボーボアの好みは頭部のようで、頭を食いちぎられた多くの鎧姿だけがボーボアの周りに散乱していた。
武器を放り投げた反乱兵たちは何とかボーボアから逃れようと、ボーボアの頭部と逆方向に走り逃げるが、そこには白く光る尾刃が待っていた。
尾刃にて次々と落ちる首を、ボーボアは長い舌で巻き取って飲み込んでいた。
北門側には万余の首なしが散乱していたが、それでもまだボーボアの食欲は尽きることなく続いていた。
護衛に支えられたノロノア元王子は、ボーボアからは一般兵士同様の扱いだったようで、横に薙ぎ払った尾刃によって一般兵士共々にその首が飛んだ。
ボーボアの食欲は飽きることがない様子で、北門にいた二万の軍勢は既に殆どが横倒しとなっていて、逃げまどう兵たちは二千ほどになっていた。
一頭のボーボアの鱗が膨れだすと、蛇の脱皮と同じように鱗のない皮だけが風に吹かれ、胴回りが二倍となり、長さも二倍となったボーボアが現れた。
脱皮したボーボアはそこら辺一帯にある首無し胴体を丸ごと飲み込み出していたが、脱皮してない片方はまだ生き残って逃げ回る兵たちの首を無慈悲にも尾刃で切り落とし続け、落ちた首だけをただ順番に飲み込んでいた。
王都防壁外側ではもはや戦う意思などない兵たちはこの惨状から逃れようと、防壁に背を向けて逃げ場を探していた。
防壁上にいる衛士兵達はすでに勝敗が決まっていることで、逃げ場を探している敵軍を哀れに思っていた。
とはいえ、救済したいなどとは思わない様子でただ眺めているだけであった。
防壁上にいる衛士兵の中には反乱兵に個人的な恨みでもあったのか、逃げおおせそうな敵兵の背中にコンパウンドボウの矢を放した。
北門上では脱皮したボーボアが急に二倍になったことで、傍観していた守備衛士兵達は防壁を越え切れる大きさとなった事で慌てだした。
「全員ボーボアの尾刃に注意し!コンパウンドボウ部隊も槍部隊もボーボアの目と口を、攻撃する準備をしろ!」
守備隊長は急ぎ二倍に成長したボーボアの攻撃に備えるよう指示を出した。
絶望になりかけた北門守備隊長は、脱皮したばかりのボーボアの尾に攻撃している黒い飛翔体に気づいた。
あまりにも速い動きをする黒い飛翔体が何なのかを確認できないが、三本の尾刃に挑んでいるのは確かである。
三本あった尾刃は二本しか確認できなくなったことで、黒い飛翔体が尾刃を切り落としたと確認すると、土埃の中から急に現れた多くの鱗甲冑騎馬隊が二頭のボーボアに襲い掛かった。
イザベラ女王は丘の上方反乱軍の混乱をただ対岸の火事だとの思いで傍観していたが、反乱軍は反撃などしないでただ逃げ惑い、ボーボアの一方的な攻撃に対して歯がゆくなった。
イザベラ女王は騎馬隊を残してただ一騎だけで駆けだした。
イザベラ女王が戦場に駆け付けると、丘の上から眺めていた状態と違い、周りは土埃だらけで視界不良状態であった。
ボーボアは遠望していた時よりもでかいと感じたが、尾の部分に灰色の脱皮がまだ残っていることで、脱皮して大きく成長したのだと悟った。
イザベラ女王は尾刃槍を腰に固定し、首のない遺体を飲み込むボーボアの首に突進した。
ボーボアの首から赤い血が噴き出した事で、「やわらかい?」と感じた。
尾刃がイザベラ女王に向かってくると、馬上から飛翔して尾刃を避けて槍を尾の根元へ投げた。
「刺さった!」
やはり固いはずの鱗を槍穂先が見えなくなるぐらいに貫き、深々と肉に食い込んでいた。
イザベラ女王は尾刃剣を抜き、青く発動させた。
三本の尾刃が向かってきたが、以前戦った大型ボーボアの動きほどはなく、難なく三本の尾刃を弾き飛ばすと、
「なに?このボーボアの攻撃?、、、軽い。」と、つい感想を口に出した。
尾刃を弾き飛ばしたイザベラ女王は尾刃根元へ切りかかった。
以前戦った時の鱗は固かったが、発動した尾刃剣であれば、二枚重ねまでなら切り落とせたとの思いで渾身の力で斬りこんだ。
青く発動した尾刃剣は鱗や肉だけでなく骨をも切り裂いた。
「ハ、ハ、ハ。なに?この弱いボーボア君。ノロノアの馬鹿がパニくらないで、きちんと指揮して攻撃したなら、勝てただろうに。」
と弟ノロノアを呪った。
イザベラ女王が突然駆け出したことで慌てて追いかけてきた騎馬隊は一斉に、イザベラ女王と戦っているボーボアに槍を固定して胴体を貫いた。
イザベラ女王は周りにひしめく味方の騎馬隊を邪魔とは思いつつ、彼らをかばいながら残りの尾刃根元を攻撃しだした。
騎馬隊は馬を降りてボーボアに挑むが、大半はボーボアの首や尾刃によって跳ね飛んでいた。
そんな彼らは鱗甲冑に守られてケガなどしていないのか、起き上がっては再度攻撃しだしていた。
イザベラ女王はそんな彼らを邪魔扱いすることなく、
「キール―!尾刃が来るぞ!」
と叫ぶと、キール―と呼ばれた騎士と周りの騎士たちは向かって来る尾刃を、赤や青色に発動させた尾刃剣で受け止めた。
イザベラ女王は動きの止まった尾刃根元に切りかかった。
それを見ていた騎馬隊武者たちも一斉に、残りの尾刃根元へ切りかかった。
脱皮したばかりのボーボアの尾刃はなくなり、口から吐き出る吹雪には凍らせる力はなく、多くの尾刃槍にて胴体は無残にも肉がはぎとられた痕には、白い骨がむき出しになっていた。
だが、傷だらけになった二頭の抵抗は激しくなり、尾刃がなくなった脱皮したばかりのボーボアが振り回す頭部で、多くの騎馬隊は跳ね飛んでいた。
ボーボアの周りから跳ね飛んだ騎馬隊の居た場所には、再び他の騎馬隊武者が現れた。
騎馬隊は人海戦術にてボーボアに挑んでいた。
脱皮し終えたボーボアの頭と胴体には多くの槍が刺さっていて、針鼠ではなく針蛇状態になっていた。
イザベラ女王は脱皮したボーボアの尾刃がすべて切り落ちたことを確認すると、再び黒い飛翔体と成って脱皮していないボーボアの尾刃に切りかかりだした。
素早く動き回るボーボアの尾刃を、黒い飛翔体は追い掛けて根元に切りかかると、黒い飛翔体から逃げる様にさらに激しく周りにいる騎馬隊を跳ね飛ばそうとするが、馬から降りた騎馬隊の一人が踏ん張ってその尾刃を受け止めると、すでに馬から降りて周りで挑んでいた騎馬隊は蟻のごとく尾刃にたかりだし、尾刃の動きを抑え止めた。
まだ脱皮していない小型ボーボアも針蛇状態になり、騎馬武者の突き刺した槍により動きを封じられたためか、反抗がままならない状態になっていた。
イザベラ女王は、小型ボーボアの成敗は騎馬武者任せにして、倒れて起き上がらない騎馬武者の介護に向かった。
倒れた騎馬武者には鱗甲冑の力で外傷傷はないが、内臓と骨の異常が確認できた。
サニーが憑依したイザベラ女王は損傷場所を特定し、
「治療回復。」と言って次々と治療しだした。
そんな中、勝どきの雄叫びが二カ所から上がった。
針蛇となった頭が胴体から切り落とされ、息絶えたのを確認した雄叫びであった。
粗方の反乱軍の生き残りはすでに逃走してしまった様子で、鹿島は竜巻魔法を止めると、七人の精霊たちと共にイザベラ女王達の元へ駆け付けた。
鹿島は七人の精霊たちに負傷者の治療を頼みイザベラ女王の元へ向かうと、すぐにサニーはイザベラ女王から飛び出してきた。
「イザベラちゃんが一人で二頭のボーボアに挑んだので、心配して来てくれたの?」
「小型ボーボアだったので、心配はしなかったが、このボーボア、いつの間に大きくなったのだ?」
「一回の脱皮で、倍になったようよ。」
「へッ、急に大きくなるなど、怖いッ。」
「でも脱皮後だったので、鱗はかなり柔らかかったわ。」
と、イザベラ女王は言葉を吐いたが、はにかみながら鹿島と目を合わすのを避ける様に、下を向いてもじもじしだしていた。
内臓と骨に異常があった騎馬武者隊は一桁台だけだったようで、七人の精霊達はすぐに鹿島の元へ駆けて来た。
サニーはフローレン精霊が現れると、突然頭に鉄拳を浴びせた。
「タローへの治療は、舌でなく!手のひらでしなさい!」
と怒鳴った。
「ち、りょう~。」とフローレン精霊はかがみこんで両手を自分の頭に乗せ、手のひらで鉄拳を浴びた場所をこすりだした。
鹿島はC-003号機の格納庫で狼から受けた負傷したほほを、フローレン精霊の舌でなめられた事を、親しき中での普通の治療行為だったと思い出していた。
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