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制覇行進

106 慌ただしくも充実した朝

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「おはようございます。」
鹿島は薄化粧したメイド姿のヒカリ王女の声で起こされた。
メイド姿のヒカリ王女は透き通るぐらいの白い肌艶顔をしていて、色香漂う満面の笑顔は鹿島の故郷のどの外国人美人女優さえも超えていた。

 鹿島は色香漂う満面の笑顔を引き寄せて接吻をした。
「もう朝、、、。」
と接吻中の鹿島はサニーの声で、急いでヒカリ王女の透き通るぐらいの白い肌艶顔を離した。

 驚いた鹿島が白い肌艶顔を離した理由は、初めてサニーの寝起き声を聞いたからであった。
「サニー。まさか寝入っていたと?」
「何故か心地よかったので、つい眠ってしまったようね。」
と言って上半身を起こすと、幼児体型の胸はヒカリ王女と同じくらいに発育していて、顔年齢はヒカリ王女と同じぐらいの少女になっていた。

 年齢相応の顔はハーフ美人イラスト画像をも超えた、美の女神だと鹿島は感じた。
「フフフ、これから私のことは、ヴィーナスと呼びなさい。」
とサニーは鹿島に唇を合わせてきた。
鹿島はまた読まれたと思ったが、悪い気がしないだけでなく、意思疎通が簡単に伝わる事の方がたまらなく嬉しくなった。
「ヴィーナスと呼ぶのはいいが、消滅した大精霊様から頂いた名前を、変更してもいいのか?」
「あ、それは嫌だ。では、私と意思疎通する場合だけ、ヴィーナスと呼びなさい。」
「え、二人の合い言葉ですか?」
「そうね、そうよ。二人だけの合い言葉にしましょう。」
と抱き着いてきた香りは、何故かヒカリ王女と同じ花の香りがした事で夜の営み合体を思い出した。
白雪姫との合体は二度あり、その間に控えめなヒカリ王女単独で合体したが、鹿島的には反応激しい白雪姫との行為の方が充実感を受けていた。

 鹿島の部屋では、鹿島とサニーにメイド姿ヒカリ王女三人分の朝食が準備された。
侍女たちは次々と食い物を通路まで運んでくるが、鹿島の部屋へは入ってこられないのか、ドアから内側の給仕はなぜかやはりメイド姿のマリーだけであった。
マリーは時々鼻歌しながら始終微笑んでいて、ご機嫌良く楽し気に動き回っていた。

 マリーの給仕での食事中に、侍女が現れて何事かの伝言を知らせていた。
「今、食事中だと伝えなさい!」
と怒鳴って伝令侍女を追い払った。

さらに、タブレットパソコンから通信画面と共にC-003号機からの通信声が聞こえると、
「今ご主人様たちは、食事中です。食事が終わってから再度連絡しなさい。」
と、マリーはC-003号機からの画面を固めてしまった。
鹿島も記念すべき朝食を邪魔されたくないとの思いもあり、C-003号が黙り込んだことで緊急性はないと判断してそのまま捨て置いて食事を楽しんだ。

 向かい合った席のサニーとヒカリ王女は互に目が合うと、意味不明な微笑みを交わし合っているのが、鹿島には互いに微笑み合う仕草が理解出来ないようでその度に首をかしげている。

 ドアが荒々しく開くと、
「王女様。冒険者傭兵ギルド長が、怒鳴り込んできました!」
聖女近衛兵隊長リルドラが慌てたように怒鳴った。
「兄様、王女様は今食事中です。今椅子をお持ちしますから、食事が終わるまでお待ちください。」
と機嫌よく対応しているが、顔の表情は眉をひそめた。

 メイド姿のマリーが椅子を運んでくると、
「何だか、姫の顔が迷惑顔に見えるのは、俺の錯覚か?」
と、リルドラは妹マリーを責めるようににらんだ。
「たかが、冒険者傭兵ギルド長が怒鳴り込んできたぐらいで、皆さんの楽しい食事の時間を壊されたくないだけです。」
「それは確かに、済まなかった。」
と言って、ヒカリ王女やマリーにではなく、空の皿を盛り上げて食事に夢中のサニーに申し訳ない様に頭を下げた。

 鹿島は、冒険者傭兵ギルド長が怒鳴り込んで来たのは、傭兵の報酬絡みなのかと心配になり、
「報酬を値切ったのですか?」
「最初私達も、報酬がらみの苦情かと思ったのですが、ギルド長はみんな満足しているとの報告をした後に、冒険者や傭兵をゴッソリ聖女突撃騎馬隊へ、編入してしまったらしいのです。」
「あららら、どうしましょう。」
とヒカリ王女は食事をやめて周りを見回した。

 鹿島もどうしたものかと思案しだすと、サニーはきちんと口を拭いて、
「ギルド長に兵の斡旋をしてもらい、報酬を出しなさいよ。」
途端にリルドラは何かを悟った様子で立ち上がり、
「そうか。その手があったか!」
と言って、挨拶なしに部屋を飛び出した。
「あ、あれは、もしかして、、、冒険者や傭兵をゴッソリ、聖女突撃騎馬隊へ持っていかれた、リルドラ殿からの苦情だったのか?」
鹿島は、ギルド長の苦情を幸いと、リルドラは聖女突撃騎馬隊への苦情を報告に来たが、慌てて飛び出した様子は先に抜け駆けされたことを含んだ苦情と感じた。
「突撃騎馬隊と近衛兵隊が別個での二十万の募集は、ゴールドル伯爵領地内だけでは無理でしょうから、お互いに二十万の兵をそろえるのは大変でしょう。ヒカリちゃんの調整能力が問われるわよ。」
「ええええ~。そんなのは無理です。」
「これは母親としての、最初の試練です。」
「はい。やります。」
と、ヒカリ王女は立ち上がってこぶしを握り締め、サニーに応じないで鹿島に向けてうなずいた。
「母親?もう確定ですか?」
「何慌てているの。言葉のあやよ。」
とサニーは鹿島を向くことなく再び食事を始めた。

 食事を終えた鹿島は、保留にしていたC-003号へ連絡した。

 普段であれば鹿島はサニーが満足するまで食事席を離れることはないが、今はヒカリ王女とマリーが相手をしていることで、気がかりなC-003号への連絡を優先した。

「オハラ貴族領主軍は個別にビクトリー王国境を越え、トンズラコ領都への進撃を始めました。全軍明日には到着すると思います。
アクコー王国軍もビクトリー王国境へ向かっていましたが、なぜか進軍をやめてしまっています。原因は大河向側に新しく興国したジンギハーン帝国軍千隻が、大河港町ハカタへ次々と現れたのが原因かと思います。」
「ジンギハーン帝国軍の目的は?」
「あ、それ私がわかります。」
と、ヒカリ王女が叫んだ。

 鹿島が怪訝な顔をしたのは、全く政治的なことには無頓着のヒカリ王女からの発言であったからであった。
「で、ジンギハーン帝国軍の目的を、知っていると?」
「一年前、大王オウイカ時代に、ジンギハーン帝国から、貢物とお父様大王オウイカに臣下の挨拶に来いとの勅使が来ましたが、お父様はすべてを拒否して、特使として来日した元ウソハキ国大臣の首を落とし、拒否しました。」
「元、ウソハキ国とは?」
「ジンギハーン帝国と戦う事無く、既に臣下となった国です。ウソハキ国は約束を守らないし、こちらから貿易に赴いた商人たちに、すぐに言いがかりをつけては賠償を求める国でした。そんな国の人が特使として現れたのですから、全く信用出来なかったのです。」
「で、来た目的は、成敗か?賠償だと?」
「両方でしょう。」

 鹿島は故郷の歴史で教わった蒙古来襲をイメージした。
「ジンギハーン帝国とは、まさか騎馬民族か?」
「よくご存じですね。もとは草原民族なので、そうだと思います。」

 鹿島達の会話中また激しくノック音と共にドアが荒々しく開き、
「王女様。ナントン領主から特使がきやがって、王女様に対してアクコー大王からの勅使だと抜かしています!」
聖女近衛兵隊長リルドラは怒った顔で怒鳴った。

 ヒカリ王女が唇をかみしめると、みんなは緊張した顔を向けた。
全員はヒカリ王女に顔を向けた理由は、みんなは勅使内容を同じ様に推測した様子である。
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