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国興し
43 魔石の山
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鹿島達が製鉄所から出ると、C-002号は二台の駆動車を待機させていた。
C-002号は無人操縦駆動車の運転席側に座り、各工場に案内しながら兎耳種族の加工技術への会話に導いていた。
前方を走る駆動車にはC-002号と頭領が前席に並び、後ろには三人の長老が乗り込んだ。
鹿島達の乗る駆動車では、サニーが憑依魔法を質問詰めにしている長老の手を引き後部席に乗り込むと、自然と前席に鹿島と他の長老が乗り込んだ。
駆動車が工場建物の脇を通り過ぎると、山と積んだ色んな鉱物が並んでいる。
対向車線からは、鉱物を積んだ無人トラックが通り過ぎていった。
後ろの座席にいるサニーは、
「無機物には溶け込む様にイメージして、有機物には相手から呼んで貰う。そのイメージね。」
「大精霊様は、翅をどうして擬態させないのですか?」
「翅を擬態?」
「憑依も翅の擬態も、同じイメージだと思います。」
「つまり、、、翅を服の模様にしろと?」
「翅を服に憑依させるのと、何かに憑依する魔法は同じ魔力でしょう。」
「え、え、え~。翅を服の模様に憑依させきれると、憑依魔法が使えると?」
「使えると思いますよ。」
「だから、チンジュサマは翅を服の模様にできるから、難無くゴーレムに憑依しているのか?いや逆かな、憑依がたやすくできるから、翅を服の模様にできるのだ。」
「翅を服に密着させる。翅を服に密着させる。翅を服に密着させる。」
と、サニーは念仏を唱えだした。
化合弓コンパウンドボウとアーチェリー.ベアボウに大型石弓バリスタ等の製造工場に着いたが、サニは駆動車から降りても念仏を唱えていた。
鹿島も仕方なしにサニーに付き合うことにした。
サニーは何度も翅をバタつかせながらもなかなか難しい様子であったが、大型トラックが巻き上げたホコリに驚いたのか大声を上げた。
「魔石だ!」
と言って飛翔しだすと、トラックを追いかけていった。
「でかい水晶だな。」
鹿島は、トラックに積んであるあまりにも大きな水晶の塊に感心した様子で驚いた。
工場から出てきた頭領は滑車を譲り受けたのか、何個かの滑車を抱いていた。
「滑車を組み合わせるだけで、何倍もの力になるなんて、、、不思議だ?」
「ここは、伝説の里、、、真理の里ではないのか?」
「おそらくそうかもしれないし、違っていても、それに近い里だ。」
「余りにも、目新しい技術ばかりだし。」
「俺は、神降臨街よりも、ここに来たい。」
「子供らの将来は、ここなら安泰だ。」
「食料と安全に自由。ここは譲れないぞ。」
「それに酒だ。」
「あそこの樹海が妖精の森なら、薬も酒もあるだろう。」
「だな。妖精の必要なものを作り、薬と酒を貰おう。」」
と六人は意気投合し合った。
鹿島にすれば、「捕らない狸の皮算用?あ、そうか、、、多産のネズミ算ならず、多産の兎算?」とつぶやいた。
サニーが結晶化された水晶を、飛翔しながら一抱えして運んできた。
「タロー!タロー!間違いなく魔石だ!」
サニーはかなり興奮していた。
サニーが水晶を鹿島の前に置くと、鹿島は水晶が少しゼリー状態であるかのようにプルンと揺れたように感じた。
鹿島はプルンと揺れた感じを確認するために水晶の結晶に触った。
「あれ?水晶じゃない。羊羹かゼリーの感じだ?」
「そうよ、そうよ。鉱物だけど柔らかいので、物理切断はできないし破壊もできないの。」
「だけど、このスライムに魔力を流すと、容易く破壊できる。
魔力の結晶となったスライムは、一度に溜まった魔力を放出するので、かなりの破壊力となる。」
と、いつの間にか脇に居た頭領が補足した。
鹿島はC-002号を呼び、
「このスライム鉱物は、何処で採集したのだ?」
「いろんな鉱山で時々掘り進むと、柔らかいの何故か分離砕くことのできない不思議な鉱物なのです。特に銀鉱山に多いです。」
「して、利用価値は?」
「最初は、水晶であるなら、研磨や切削に使えると思って集めて調べると、分子構成は水晶とは同じ配列ですが、配列の並ぶは真逆でした。研磨や切削には不向きと思い、そのゼラチン性質ならば、ゴムの代用品になると思って、全てを集めています。しかしながら、切断や分離ができないので、未だに倉庫の肥やしです。」
「魔力を少しずつ送ると、いろんな加工ができます。」
と、長老格がつぶやいた。
「真球に近い程、魔力の蓄えも多くできます。」
「元からこんな大きさだから、真球を追求しなくても、大量の魔力は溜まるわ。」
「全く、小指ほどの魔石しかないと思っていたが、こんな化け物スライム魔石があったとわ。長生きするものだな。」
C-002号は何かを思いついた様子で、全員に移動を告げた。
二台の駆動車は倉庫建物と思える広い入り口前に停車した。
「すごい数の魔石だ!」
「入口付近の魔石は大きいが、段々と奥にあるほど、小さくなってない。」
と、兎種族が互いに頷き合っている。
「元々は大きかったのですが、ひと月後には二つに分裂するのです。」
とC-002号は無表情で、報告するかのように答えた。
サニーは倉庫の奥に進みだすと、一番小さくなっている結晶魔石を握り込み、
「水魔力。水魔力。水魔力。」と唱えながら両手のひらで押さえ込んで転がしだした。
「出来た。」と言って手を開くと、そこには青い球があった。
サニーは外に出ると青い球を天に掲げて、
「雨!」と叫んだ。
青い球から真っ白い綱線が伸びた先では、青空に白い雲が現れ徐々に暗くなりだし、暗雲が漂い豪雨となった。
「雨雲吸収!」
豪雨の中、暗雲がサニーを取り囲むと、再び青空が広がった。
サニーの行動に兎種族達が唖然としていると、
「凄い!」鹿島は思わず叫んだ。
サニーは鹿島に近づくと、鹿島の手を引いて奥の小さな魔石のある所へ連れて行った。
「何か入れるものを、持ってない?」
鹿島は貨幣の入った巾着を取り出してサニーに渡した。
サニーは巾着に目一杯魔石を詰め込むと、さらに鹿島のポケットに魔石を押し込み始めた。
「ちょっと待て、魔石をどうする気だ?」
「一杯、魔力を蓄えるのよ。」
「他の妖精たちに頼む方が良いだろう。」
「魔力を蓄えた魔石は、押し込んだ人の魔力にしか、反応しないの!だから、ここの魔石すべては、私とタローの管理下に置かなければならないの。」
「分かった。安全上必要だと理解した。」
と言って鹿島はC-002号を呼び、
「魔石の持ち出しは、鎮守様と俺に、サニーだけにしろ。」
「了解しました。」
兎種族達は何かを言いたげであったが、鹿島とC-002号のやり取りを聞いていた様子で、何も言わずに魔石の山を見つめていた。
鹿島は兎種族達と、同伴したがるC-002号を爆撃機に乗せて神降臨街へ向かった。
「C-002号はチンジュサマの分身?」
「どうしてそう思う?」
「思考が全く同じだもの。」
「確かに分身だろう。」
と、鹿島も鎮守様の意向で作成したプログラムだと感じ出した。
C-002号は無人操縦駆動車の運転席側に座り、各工場に案内しながら兎耳種族の加工技術への会話に導いていた。
前方を走る駆動車にはC-002号と頭領が前席に並び、後ろには三人の長老が乗り込んだ。
鹿島達の乗る駆動車では、サニーが憑依魔法を質問詰めにしている長老の手を引き後部席に乗り込むと、自然と前席に鹿島と他の長老が乗り込んだ。
駆動車が工場建物の脇を通り過ぎると、山と積んだ色んな鉱物が並んでいる。
対向車線からは、鉱物を積んだ無人トラックが通り過ぎていった。
後ろの座席にいるサニーは、
「無機物には溶け込む様にイメージして、有機物には相手から呼んで貰う。そのイメージね。」
「大精霊様は、翅をどうして擬態させないのですか?」
「翅を擬態?」
「憑依も翅の擬態も、同じイメージだと思います。」
「つまり、、、翅を服の模様にしろと?」
「翅を服に憑依させるのと、何かに憑依する魔法は同じ魔力でしょう。」
「え、え、え~。翅を服の模様に憑依させきれると、憑依魔法が使えると?」
「使えると思いますよ。」
「だから、チンジュサマは翅を服の模様にできるから、難無くゴーレムに憑依しているのか?いや逆かな、憑依がたやすくできるから、翅を服の模様にできるのだ。」
「翅を服に密着させる。翅を服に密着させる。翅を服に密着させる。」
と、サニーは念仏を唱えだした。
化合弓コンパウンドボウとアーチェリー.ベアボウに大型石弓バリスタ等の製造工場に着いたが、サニは駆動車から降りても念仏を唱えていた。
鹿島も仕方なしにサニーに付き合うことにした。
サニーは何度も翅をバタつかせながらもなかなか難しい様子であったが、大型トラックが巻き上げたホコリに驚いたのか大声を上げた。
「魔石だ!」
と言って飛翔しだすと、トラックを追いかけていった。
「でかい水晶だな。」
鹿島は、トラックに積んであるあまりにも大きな水晶の塊に感心した様子で驚いた。
工場から出てきた頭領は滑車を譲り受けたのか、何個かの滑車を抱いていた。
「滑車を組み合わせるだけで、何倍もの力になるなんて、、、不思議だ?」
「ここは、伝説の里、、、真理の里ではないのか?」
「おそらくそうかもしれないし、違っていても、それに近い里だ。」
「余りにも、目新しい技術ばかりだし。」
「俺は、神降臨街よりも、ここに来たい。」
「子供らの将来は、ここなら安泰だ。」
「食料と安全に自由。ここは譲れないぞ。」
「それに酒だ。」
「あそこの樹海が妖精の森なら、薬も酒もあるだろう。」
「だな。妖精の必要なものを作り、薬と酒を貰おう。」」
と六人は意気投合し合った。
鹿島にすれば、「捕らない狸の皮算用?あ、そうか、、、多産のネズミ算ならず、多産の兎算?」とつぶやいた。
サニーが結晶化された水晶を、飛翔しながら一抱えして運んできた。
「タロー!タロー!間違いなく魔石だ!」
サニーはかなり興奮していた。
サニーが水晶を鹿島の前に置くと、鹿島は水晶が少しゼリー状態であるかのようにプルンと揺れたように感じた。
鹿島はプルンと揺れた感じを確認するために水晶の結晶に触った。
「あれ?水晶じゃない。羊羹かゼリーの感じだ?」
「そうよ、そうよ。鉱物だけど柔らかいので、物理切断はできないし破壊もできないの。」
「だけど、このスライムに魔力を流すと、容易く破壊できる。
魔力の結晶となったスライムは、一度に溜まった魔力を放出するので、かなりの破壊力となる。」
と、いつの間にか脇に居た頭領が補足した。
鹿島はC-002号を呼び、
「このスライム鉱物は、何処で採集したのだ?」
「いろんな鉱山で時々掘り進むと、柔らかいの何故か分離砕くことのできない不思議な鉱物なのです。特に銀鉱山に多いです。」
「して、利用価値は?」
「最初は、水晶であるなら、研磨や切削に使えると思って集めて調べると、分子構成は水晶とは同じ配列ですが、配列の並ぶは真逆でした。研磨や切削には不向きと思い、そのゼラチン性質ならば、ゴムの代用品になると思って、全てを集めています。しかしながら、切断や分離ができないので、未だに倉庫の肥やしです。」
「魔力を少しずつ送ると、いろんな加工ができます。」
と、長老格がつぶやいた。
「真球に近い程、魔力の蓄えも多くできます。」
「元からこんな大きさだから、真球を追求しなくても、大量の魔力は溜まるわ。」
「全く、小指ほどの魔石しかないと思っていたが、こんな化け物スライム魔石があったとわ。長生きするものだな。」
C-002号は何かを思いついた様子で、全員に移動を告げた。
二台の駆動車は倉庫建物と思える広い入り口前に停車した。
「すごい数の魔石だ!」
「入口付近の魔石は大きいが、段々と奥にあるほど、小さくなってない。」
と、兎種族が互いに頷き合っている。
「元々は大きかったのですが、ひと月後には二つに分裂するのです。」
とC-002号は無表情で、報告するかのように答えた。
サニーは倉庫の奥に進みだすと、一番小さくなっている結晶魔石を握り込み、
「水魔力。水魔力。水魔力。」と唱えながら両手のひらで押さえ込んで転がしだした。
「出来た。」と言って手を開くと、そこには青い球があった。
サニーは外に出ると青い球を天に掲げて、
「雨!」と叫んだ。
青い球から真っ白い綱線が伸びた先では、青空に白い雲が現れ徐々に暗くなりだし、暗雲が漂い豪雨となった。
「雨雲吸収!」
豪雨の中、暗雲がサニーを取り囲むと、再び青空が広がった。
サニーの行動に兎種族達が唖然としていると、
「凄い!」鹿島は思わず叫んだ。
サニーは鹿島に近づくと、鹿島の手を引いて奥の小さな魔石のある所へ連れて行った。
「何か入れるものを、持ってない?」
鹿島は貨幣の入った巾着を取り出してサニーに渡した。
サニーは巾着に目一杯魔石を詰め込むと、さらに鹿島のポケットに魔石を押し込み始めた。
「ちょっと待て、魔石をどうする気だ?」
「一杯、魔力を蓄えるのよ。」
「他の妖精たちに頼む方が良いだろう。」
「魔力を蓄えた魔石は、押し込んだ人の魔力にしか、反応しないの!だから、ここの魔石すべては、私とタローの管理下に置かなければならないの。」
「分かった。安全上必要だと理解した。」
と言って鹿島はC-002号を呼び、
「魔石の持ち出しは、鎮守様と俺に、サニーだけにしろ。」
「了解しました。」
兎種族達は何かを言いたげであったが、鹿島とC-002号のやり取りを聞いていた様子で、何も言わずに魔石の山を見つめていた。
鹿島は兎種族達と、同伴したがるC-002号を爆撃機に乗せて神降臨街へ向かった。
「C-002号はチンジュサマの分身?」
「どうしてそう思う?」
「思考が全く同じだもの。」
「確かに分身だろう。」
と、鹿島も鎮守様の意向で作成したプログラムだと感じ出した。
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