上 下
7 / 26

第3段階 part3

しおりを挟む
 ……こんにちは。ユナです。皆さん、少しの間お静かに!ただいま雲隠れ中なんです!見つかるとヤバいから!っと言うのも、昨日クール王子に嘘とかその他もろもろ勘づかれまして……

「面白そう。」
「また明日。」

なんて言われたもので、非常に危険を感じております。朝、学院に登校してから今の今までなんとか交わして来たんだけど……
 なんというか……ちょうしつこい!!
ずーっと探し回るんだから!いい加減あきらめてよ。隠れても隠れても、いつの間にか近くに迫ってきてるの!気配もないから冷や汗だらだらで……

 そんなわけで『クール王子撃退作戦』実行中なんです!
 まず、私に興味をなくしてもらわないと。そう考えてはいるんだけど……アイデアが浮かばない。誤魔化したところであの勘のよさと、魔力感知の手前通じなさそう……
さて、どうしたものか……

「ユーーナ。」
ん?げっ……
「クール王子……何か?」
「探したよーー!なんか逃げてたみたいだけど。ね?」
おうおう……なんか笑顔が怖いぞ。
「それにさぁ。そのクール王子って何?僕にはアレンっていう名前があるんだけど。ところで……クールってどういう意味?」

ここにはそういう言葉ないんだっけ?

「アハハハ……別に?特に意味はないよ……ねぇ。」
「で?」
「…………なんか素っ気なくて、つんとしてるって意味です……」
「ふぅん。僕、君にはそんなじゃないと思うけど?」
いやいや、素っ気ないのはあたりだろ?つんとはしてなくても!
 それに、乙女ゲームでのあんたはそうだったんだよ!…いっそそっちのままの方がやりやすかった。どうして?裏設定ばっかり……計画が進まないじゃん!!
「とにかく。クール王子とかじゃなくて。アレンって呼んでよね。……あと、絶対逃がさないから。もう、あきらめたら?」

……は?今なんていった?
「絶対、逃がさない」
そういったの?まさか、まさか?自分のお気に入りオモチャは逃がさない。ゲームキャラ設定あるある展開的な?そうなのか?

 いやぁ……乙女ゲームのプレイヤーなら盛り上がるとこだけど。ここまでくるといっそ恐怖だわ……私、今はそんな展開望んでないんです!!全然いらないんです!!ほっといてくれればいいんです!!

「じゃあ、ユナ行こっか。次、屋外授業でしょ?いつまでもそうしてないでさ。あきらめも肝心だよ。ね?」
……私は思った。コイツが私から興味をなくすことはないんじゃないか……と。でも、いや……嫌!!
「もう嫌ぁーー。放してぇーーー!」
「あははは。だめだめ。放したら逃げるでしょ?あきらめなって」
「嫌ぁーー!」

 訂正しよう。コイツはクール王子じゃない。腹黒王子である。とんでもないやつに見つかってしまった。私の『スローライフ計画』には絶対いらないやつだ。いては危険なやつだ。

………どうやって抜け出そう……

 それから、くる日もくる日もつけ回され。今はもう……なんか……疲れた。コイツを撃退することは変わらないが。とりあえずそれは後に回そう。今、行動してみたところで効果はなさそうだし。……今は……いいや。……疲れた。
 私は、もうすぐ始まる次のストーリーに向けて対策を練らないといけないのだ。腹黒王子ことアレンに構っている暇はない。
 次のストーリー『学院創立記念パーティー』。なんと、この学院。今年で創立100年という、なんともあるあるな展開になっているのだ。ゲーム会社さまさまである。

「ねぇ。ユナ聞いてる?創立記念パーティーのこと話してるんだけど。」
 今日もアレン様にとっつかれ中である。
「ねぇってば。ユナはどうするの?パーティーのペア。」
……そう。当日のパーティーはダンスがあるため。男女ペアで参加がルールで。乙女ゲームでユナはもちろん、婚約者のクリストとペアを組んだ。けど、今回はその前に婚約破棄してクリストにみじんも感情を抱いていないためそれはない。実際、誘われはしたものの丁寧にお断りした。婚約破棄した相手と踊るなんてごめんである。
 だから、当日は最初に顔を少し出したら、さっさと帰ろうと思っていた。出席は自由だが、お父様の目もある。顔だけでも出せば欠席扱いにはならないだろう……と。

………その矢先がこれだ。どこから聞きつけてきたんだか。アレンはクリストとの婚約破棄を知っていて。プラス私にペアがいないことを把握済み。……っとに恐ろしい。
「……だからね。ユナ。僕とペア組もう?」
……果たしてこの誘いを断れるのだろうか。
「ねぇ?もしかして誰かもういるの?……いないって聞いてたんだけどなぁ。ねぇ、誰?」

無理だ。コイツの私への執着心を甘く見てはいけない。すでに異常だから。断ったらどうなることやら分かったもんじゃない。クリストに犠牲になってもらってもいいけど……あんまりかな。諦めが肝心……か。
「ねぇ。どうなの?」
「……いないよ。誰も」
「じゃあ、僕と組んでくれる?」
諦めが肝心…はぁ。
「……分かった。いいよ、アレン。」
「よかった!…………いたら絞めちゃおうかと思ったよ。」

…………やっぱりかーー。聞こえてる!聞こえてるって!殺人とかやめてよね!?

 私、いったいどうなるの?


 私の『スローライフ計画』第3段階達成ならず……なんだかヤバい方向に進んでいる気が……これはもう……しょうがない。

『スローライフ計画』第4段階、第3段階と同時進行で開幕である!こうなりゃあ、もうやっちゃえっ


あぁ……なんだか大変なことに…どうしよう
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

もう彼女でいいじゃないですか

キムラましゅろう
恋愛
ある日わたしは婚約者に婚約解消を申し出た。 常にわたし以外の女を腕に絡ませている事に耐えられなくなったからだ。 幼い頃からわたしを溺愛する婚約者は婚約解消を絶対に認めないが、わたしの心は限界だった。 だからわたしは行動する。 わたしから婚約者を自由にするために。 わたしが自由を手にするために。 残酷な表現はありませんが、 性的なワードが幾つが出てきます。 苦手な方は回れ右をお願いします。 小説家になろうさんの方では ifストーリーを投稿しております。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」 結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は…… 短いお話です。 新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。 4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

処理中です...