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2章 幼女な神様と2人旅
19.隣街に来たんだが
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3日間の旅を経て、オレ達は目的の街であるタルメットに到着した。
魔物に遭遇する事もなく平和な旅だった。
そろそろ夕方になるので、街に入ったら宿を探すべきだろう。
「そこの2人、止まれ!」
街の入り口を通ろうとした時、屈強そうな門番に引き止められた。
オレが連れているのが幼女だと分かると、更に怪しむ視線を強める。
「お前たちが、何の目的で街に来たか教えてくれ」
「旅をしてるんだ」
オレが端的に説明すると、スヴィエートに視線を移す。
「こんな幼女を連れてだと?怪しいな……。人攫いではないのか?」
「安心しろ、この幼女に攫うほどの価値はない」
オレは何の証明にもなっていない事を言った。
スヴィエートは当然、憤慨してあれこれ言ってくる。
このやり取りを意図的に、門番の目の前で繰り広げた。
門番にオレ達のやり取りを見せて、人攫いでは無さそうだと思わせるためだ。
そしてオレの予想通り、門番は警戒を緩めた。
「確かに人攫いには見えんな。だが、もうひとつ聞かせてくれ」
門番はスヴィエートの方に視線を向けた。
「そっちの女の子が頭に乗せてるのは魔物か?」
ナイトを見ながら、その正体を尋ねてくる。
それにはスヴィエートが答えた。
「うむ、ウルフの子供なのだ」
「人にそこまで懐くのは珍しいな……触ってもいいか?」
スヴィエートの頭の上でくつろいでいるナイトに、門番は興味を示す。
「我は構わないが、ナイトが許すかは分からないのだ。触れてみようとすれば分かると思うぞ」
「ナイトってのは、このウルフのことだよな?」
門番はそう確認すると、そっとナイトの頭に手を伸ばす。
ナイトは手が近づいてくると、目を開けたが拒むことなく撫でるのを許した。
「おぉ、ふかふかで気持ちいいな」
「そうだろう!」
「でも気を付けろよ。魔物を街に入れるのは大丈夫だが、街の中で暴れでもしたら犯罪だからな」
「ナイトは賢いから心配ないのだ!」
門番はオレに意味ありげに視線を送ってきた。
「目を離すなよ」と言いたいのだろう。
まあ実際のところ、読心術を使えるスヴィエートの方が、ナイトの面倒を見るのには向いているのだが、一応頷いておく。
「泊まる場所を探すつもりなんだが、良い宿屋は知ってるか?」
オレは、これから宿屋を探すことになるのを思い出して、門番にそう聞いてみた。
「ウルフを連れてくなら『安らぎ荘』って宿屋が良いと思うぞ。この街では唯一、魔物を部屋に入れても良い所だったはずだ。安いし料理もそこそこ美味いって聞いたぞ」
門番の言葉で、宿屋がナイトを受け入れてくれない可能性に気づく。
もし、聞いていなければ『安らぎ荘』を見つけるまで歩き回る羽目になっていた所だ。
オレは門番に『安らぎ荘』の場所を聞く。
「そうか、そこに行ってみる。助かった」
オレは情報提供に礼を行って門番と別れた。
魔物に遭遇する事もなく平和な旅だった。
そろそろ夕方になるので、街に入ったら宿を探すべきだろう。
「そこの2人、止まれ!」
街の入り口を通ろうとした時、屈強そうな門番に引き止められた。
オレが連れているのが幼女だと分かると、更に怪しむ視線を強める。
「お前たちが、何の目的で街に来たか教えてくれ」
「旅をしてるんだ」
オレが端的に説明すると、スヴィエートに視線を移す。
「こんな幼女を連れてだと?怪しいな……。人攫いではないのか?」
「安心しろ、この幼女に攫うほどの価値はない」
オレは何の証明にもなっていない事を言った。
スヴィエートは当然、憤慨してあれこれ言ってくる。
このやり取りを意図的に、門番の目の前で繰り広げた。
門番にオレ達のやり取りを見せて、人攫いでは無さそうだと思わせるためだ。
そしてオレの予想通り、門番は警戒を緩めた。
「確かに人攫いには見えんな。だが、もうひとつ聞かせてくれ」
門番はスヴィエートの方に視線を向けた。
「そっちの女の子が頭に乗せてるのは魔物か?」
ナイトを見ながら、その正体を尋ねてくる。
それにはスヴィエートが答えた。
「うむ、ウルフの子供なのだ」
「人にそこまで懐くのは珍しいな……触ってもいいか?」
スヴィエートの頭の上でくつろいでいるナイトに、門番は興味を示す。
「我は構わないが、ナイトが許すかは分からないのだ。触れてみようとすれば分かると思うぞ」
「ナイトってのは、このウルフのことだよな?」
門番はそう確認すると、そっとナイトの頭に手を伸ばす。
ナイトは手が近づいてくると、目を開けたが拒むことなく撫でるのを許した。
「おぉ、ふかふかで気持ちいいな」
「そうだろう!」
「でも気を付けろよ。魔物を街に入れるのは大丈夫だが、街の中で暴れでもしたら犯罪だからな」
「ナイトは賢いから心配ないのだ!」
門番はオレに意味ありげに視線を送ってきた。
「目を離すなよ」と言いたいのだろう。
まあ実際のところ、読心術を使えるスヴィエートの方が、ナイトの面倒を見るのには向いているのだが、一応頷いておく。
「泊まる場所を探すつもりなんだが、良い宿屋は知ってるか?」
オレは、これから宿屋を探すことになるのを思い出して、門番にそう聞いてみた。
「ウルフを連れてくなら『安らぎ荘』って宿屋が良いと思うぞ。この街では唯一、魔物を部屋に入れても良い所だったはずだ。安いし料理もそこそこ美味いって聞いたぞ」
門番の言葉で、宿屋がナイトを受け入れてくれない可能性に気づく。
もし、聞いていなければ『安らぎ荘』を見つけるまで歩き回る羽目になっていた所だ。
オレは門番に『安らぎ荘』の場所を聞く。
「そうか、そこに行ってみる。助かった」
オレは情報提供に礼を行って門番と別れた。
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