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2章 幼女な神様と2人旅

14.旅の準備なんだが

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「こんなに貰ってもいいのか?」


オレとスヴィエートは、事務室のような場所に案内され、そこでカイデンから報酬を受け取ろうとしていた。
カイデンがオレ達に提示したのは35万リル。
オレが想像していた額の何倍も高い、破格の額だった。


「貰ってくれ。気持ちとしては、もっとあげたいが、この工房はそこまで大きくないからこれが限界だ。すまない……」


「いや、十分だぞ。むしろ多過ぎるんじゃないか?」


「適切な報酬だと思うよ。数人がかりで、何日かに分けて運ぶような量をひとりで運んだんだからね」


アリアがそう補足する。
そうだとしても多い気もするが、貰っても損はないのでありがたく受け取ることにした。


「これからもここで働いて欲しいくらいだ」


カイデンは冗談半分で笑いながら言うが、本気でそう思っているのが分かった。
オレが頷けばすぐに、契約書にサインさせられそうな雰囲気がある。


「旅に出るんでそれは無理だな。多分、もうここに来ることはない」


「そうか……」


カイデンもアリアも残念そうにする。


「でも旅から戻ったら、いつでも来てね!」


「そうだな。帰ってくることがあれば、そうする」


「うん!スヴィエートちゃんもだからね!」


「うむ、その時は我も鉱石を運べるようになっておくのだ」


「そうだねッ!」


アリアは「待ってるからね」と念を押した。

そうして別れの言葉を交わすと、オレ達は工房を後にした。







オレはスヴィエートと共に買い出しに来た。
買うのは、旅をするのに必要な道具と食料だ。

目的地である隣街までは、歩いて3日ほどの距離。
旅の最中は野営をする事になるので、テントや寝袋は必須だ。
それから水、食料、調味料を3食2人分も用意していかないとならない。

その量はかなりの物になるので、それらを運べるだけの道具も欲しい。

道具屋の店内を回りながら目当てのものを探す。


「テントはこれくらいのサイズが良いか……」


オレは、丁度ふたりが横になっても、窮屈ではないくらいのスペースが取れるテントを手に取る。

テントは出来れば2つ欲しいが、持てる量には限界があるので、今回はひとつでどうにかするしかないのだ。
スヴィエートと同じテントで寝るのは、非常に不本意だが、しょうがない。

そんな事を考えていると、スヴィエートがオレの裾を引っ張って呼んだ。


「我はこっちが良いのだ!」


「あ?……って、それ6人用じゃねぇか!んなもん買うわけないだろ!」


「むぅ……」


スヴィエートが持ってきたのは、大勢でキャンプをするようなテントで、とても長旅で使うサイズではなかった。
オレが買わないと言うと、渋々テントを元あった場所に戻しに行った。

スヴィエートが余計な口出しをしてくる前に、寝袋も選んでおいた。
テントと寝袋だけでも、合計で8万リルもしたのは少し驚いた。

もし工房でお金を得ていなければ、もう既にほとんどの金が尽きていただろう。

それからオレ達は食料と調味料、そして最後に水を買った。

意外にもスヴィエートは好き嫌いはないらしく、食材は比較的、自由に決められたのは助かった。
調味料も食材に合いそうなものを選んで買った。

オレ達が買い物を終える頃には、日は傾いて夜を迎えようとしていた。
これから出発するのは難しそうだ。


「また宿屋に戻るか……」


「うむ!お腹も空いたし、早くするのだ!」


宿屋の食事が気に入ったらしいスヴィエートは、先に歩いて行ってしまった。
馬鹿な奴だ。道も覚えてないくせに。

思った通り、スヴィエートは十字路でどっちか分からず立ち止まっていた。

オレはスヴィエートの横を悠々と追い抜くのだった。
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