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5章 冒険者らしい活動もしようよ!!
94.次から次へと
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「じゃあ何があったか教えてくれる?」
俺は倒れ込む男を尻目に振り返って尋ねる。
突然の俺の登場に困惑しているのか、2人は口を閉ざして目を泳がせている。
「安心して、俺は冒険者のラウト。たまたま2人が追いかけられているのを目撃して助けに入ったんだ」
「オ、オレはジェイク」
「ミルです・・・」
おずおずと2人は名前を教えてくれた。
俺は頷いて視線を返す。
「どうしてアイツに追われてたの?」
「通りで歩いてたらぶつかったんだ。それでお酒の瓶が割れて・・・謝ったんだけど聞いてくれなくて」
男の子が話すと女の子も隣で頷いた。
嘘を言っている様子もないので真実だろう。
だとしたら、止めて正解だった。
歩いててぶつかるのはお互いの不注意のはずだ。
どちらか一方が悪いという事はない。
むしろ酔っていた男の不注意だったかも知れない。
「それは災難だったね。それとジェイク。ミルを守ろうとしたのはカッコ良かったよ」
俺はそう言って2人の頭を撫でた。
その後すぐに大通りに戻った。
王都には両親がいて、宿はすぐ近くだと言うので、ここでお別れだ。
ちなみに酔った男にはブルーシートをかけておいた。
ふう、ひと仕事終えた気分だ。
ケモ耳も触らせてもらったし、大満足だ。
え?いつ触ったかって?
頭を撫でた時にふかふかの耳を堪能しました。
本当に動物みたいな感触だった。
暎斗が飼ってた猫を撫でた時を思い出した。
思ったよりも早く目的を達成したので、時間が余った。
丁度、小腹も空いたので屋台をまわってみよう。
日本で言うお祭りのように色んな屋台が並んでいる。
肉を焼く匂いや、砂糖のような甘い香りが漂ってくる。
俺は串肉をひとつ購入した。
食べてみると、外側はパリッとしていてタレの味がする。
噛むと内側から溢れてくる肉汁がタレと口の中で絶妙に混ざり合って、美味しさが跳ね上がる。
「これはご飯が欲しくなるな」
どんどん手が進んで、あっという間に食べきってしまった。
少し食べ足りなさを感じる。
他には何かないかと探していると、珍しい物を売っている店があった。
看板には砂蜥蜴のスープとある。
この世界では魔物も食用になるとは知っていたが、実際に見るのは初めてだ。
人気なのかその店には人が何人か並んでいた。
俺もその列に並んで順番を待った。
店内にはテーブルがあり、そこでスープとパンを注文するらしい。
早速、砂蜥蜴のスープと硬めなパンを注文する。
注文するとすぐにスープとパンが運ばれてきた。
周りの人を見ていると、パンをスープに浸けて食べるのが基本みたいだが、まずはスープだけで飲んでみる。
「へぇ、鶏ガラやコンソメに近いかな」
魔物の肉なので、もっと独特な味がするのかと想像していたが、思ったより飲みやすい。
そして美味しい。
スープの具はいくつかの野菜と肉だ。
肉の見た目は鶏肉と大差ないけど、これが砂蜥蜴の肉をみたいだ。
ひとつフォークで口に運ぶ。
「あ、コリっとしてる。味は鶏肉よりあっさりしてるな」
肉自体の味は薄めなのに野菜の出汁を吸って深い味わいがある。
さらにパンを手に取ってスープに浸けて食べてみる。
こちらは予想通りで、コンソメスープにパンを浸した時と似た味がした。
こちらのパンの方が食感があって俺は好きだ。
パンを全て消費する頃にはスープも残りわずかになって量のバランスも丁度良かった。
飽きる事なく食べ終れた。
俺は代金を払って店を出る。
思ったより美味しかったし、お腹も満たされて大満足だ。
まだ行っていない屋台もたくさんあるが、もうすぐルルと合流する時間だ。
また今度来たときにでも行ってみよう。
☆
ルルと合流し、王都から転移でケルビラに帰ってきた。
屋敷に帰ると穂花に出迎えられた。
そしてこんな事を言われる。
「おかえり、派手にやったね。話題になってるよ」
「話題?」
俺は穂花の言葉の意味を測りきれず問い返す。
「あれ?知らない?200匹くらいの魔物を同時に倒した討伐記録がギルドで噂になってるんだよ」
「・・・そうだった」
レッドビーを倒した時のことだ。
目撃者以外から情報が漏れる事はないと思っていた。
ギルドカードに討伐記録が残るのは完全に盲点だった。
「どうするの?」
「どうしようかな。まあひとまず様子見かな」
ギルドから何か言われなければ放置で良いだろう。
もし何か言われたら、それから考えよう。
どちらにせよ、こちらからどうにかする事はない。
やれやれ、自分で撒いた種とはいえ本当に忙しいな。
暇を持て余していたダンジョンにいた頃が懐かしい。
もう戻る気はないけどね。
俺は倒れ込む男を尻目に振り返って尋ねる。
突然の俺の登場に困惑しているのか、2人は口を閉ざして目を泳がせている。
「安心して、俺は冒険者のラウト。たまたま2人が追いかけられているのを目撃して助けに入ったんだ」
「オ、オレはジェイク」
「ミルです・・・」
おずおずと2人は名前を教えてくれた。
俺は頷いて視線を返す。
「どうしてアイツに追われてたの?」
「通りで歩いてたらぶつかったんだ。それでお酒の瓶が割れて・・・謝ったんだけど聞いてくれなくて」
男の子が話すと女の子も隣で頷いた。
嘘を言っている様子もないので真実だろう。
だとしたら、止めて正解だった。
歩いててぶつかるのはお互いの不注意のはずだ。
どちらか一方が悪いという事はない。
むしろ酔っていた男の不注意だったかも知れない。
「それは災難だったね。それとジェイク。ミルを守ろうとしたのはカッコ良かったよ」
俺はそう言って2人の頭を撫でた。
その後すぐに大通りに戻った。
王都には両親がいて、宿はすぐ近くだと言うので、ここでお別れだ。
ちなみに酔った男にはブルーシートをかけておいた。
ふう、ひと仕事終えた気分だ。
ケモ耳も触らせてもらったし、大満足だ。
え?いつ触ったかって?
頭を撫でた時にふかふかの耳を堪能しました。
本当に動物みたいな感触だった。
暎斗が飼ってた猫を撫でた時を思い出した。
思ったよりも早く目的を達成したので、時間が余った。
丁度、小腹も空いたので屋台をまわってみよう。
日本で言うお祭りのように色んな屋台が並んでいる。
肉を焼く匂いや、砂糖のような甘い香りが漂ってくる。
俺は串肉をひとつ購入した。
食べてみると、外側はパリッとしていてタレの味がする。
噛むと内側から溢れてくる肉汁がタレと口の中で絶妙に混ざり合って、美味しさが跳ね上がる。
「これはご飯が欲しくなるな」
どんどん手が進んで、あっという間に食べきってしまった。
少し食べ足りなさを感じる。
他には何かないかと探していると、珍しい物を売っている店があった。
看板には砂蜥蜴のスープとある。
この世界では魔物も食用になるとは知っていたが、実際に見るのは初めてだ。
人気なのかその店には人が何人か並んでいた。
俺もその列に並んで順番を待った。
店内にはテーブルがあり、そこでスープとパンを注文するらしい。
早速、砂蜥蜴のスープと硬めなパンを注文する。
注文するとすぐにスープとパンが運ばれてきた。
周りの人を見ていると、パンをスープに浸けて食べるのが基本みたいだが、まずはスープだけで飲んでみる。
「へぇ、鶏ガラやコンソメに近いかな」
魔物の肉なので、もっと独特な味がするのかと想像していたが、思ったより飲みやすい。
そして美味しい。
スープの具はいくつかの野菜と肉だ。
肉の見た目は鶏肉と大差ないけど、これが砂蜥蜴の肉をみたいだ。
ひとつフォークで口に運ぶ。
「あ、コリっとしてる。味は鶏肉よりあっさりしてるな」
肉自体の味は薄めなのに野菜の出汁を吸って深い味わいがある。
さらにパンを手に取ってスープに浸けて食べてみる。
こちらは予想通りで、コンソメスープにパンを浸した時と似た味がした。
こちらのパンの方が食感があって俺は好きだ。
パンを全て消費する頃にはスープも残りわずかになって量のバランスも丁度良かった。
飽きる事なく食べ終れた。
俺は代金を払って店を出る。
思ったより美味しかったし、お腹も満たされて大満足だ。
まだ行っていない屋台もたくさんあるが、もうすぐルルと合流する時間だ。
また今度来たときにでも行ってみよう。
☆
ルルと合流し、王都から転移でケルビラに帰ってきた。
屋敷に帰ると穂花に出迎えられた。
そしてこんな事を言われる。
「おかえり、派手にやったね。話題になってるよ」
「話題?」
俺は穂花の言葉の意味を測りきれず問い返す。
「あれ?知らない?200匹くらいの魔物を同時に倒した討伐記録がギルドで噂になってるんだよ」
「・・・そうだった」
レッドビーを倒した時のことだ。
目撃者以外から情報が漏れる事はないと思っていた。
ギルドカードに討伐記録が残るのは完全に盲点だった。
「どうするの?」
「どうしようかな。まあひとまず様子見かな」
ギルドから何か言われなければ放置で良いだろう。
もし何か言われたら、それから考えよう。
どちらにせよ、こちらからどうにかする事はない。
やれやれ、自分で撒いた種とはいえ本当に忙しいな。
暇を持て余していたダンジョンにいた頃が懐かしい。
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