57 / 117
3章 ルルの故郷と恋〜主人公無双が止まらない〜
56.復興
しおりを挟む
俺とルルがこの村に来てから、早くも一週間が経った。
村興しは順調に進み、この一週間で村のあちこちから忙しなく動く村民の声が聞こえてくるほどになった。
一番の問題であった食料問題は、街への道が開いたことでほぼほぼ解決した。
近くの小川に設置した罠も多少なりとも食料調達に貢献していた。
さらに、最初に作った道とは反対の方角に位置する街への道も開拓して、街と街を繋いだことで、村が街を行き来する人達の中継地となったため、人の出入りや宿の利用客が増えて収益が出るようになった。
それが村の復興に一役買うことになった。
「村に活気が戻るなんて夢のようだな。本当にありがとう」
「私からもお礼をしたいです。ありがとうございます」
俺が村人がガヤガヤと騒いだりしている光景を眺めているとダンさんとルルが話しかけてきた。
「前も言った通り、ルルの故郷を助けるのは当たり前です。それに実際に復興させたのは村民の働きのおかげです」
そう、実はこの一週間で俺が手を出したのは道づくりと罠の設置場所の手引きだけだ。
それ以外は、どうしても村人達だけでは対処できない事しか手を貸していない。
俺が全部やって俺がいなくなったら元に戻ってしまっては意味がない。
そんな事もあり、ほとんどが村人達の働きが復興させたと言っても過言ではない。
「いや、村民が働けるようになったのはラウトくんのおかげだ。本当に皆が君に感謝している」
「そうですよ!モンスターの撃退も村人だけでは、どうしようもなかったんですから。村の復興はラウトさんのおかげです」
2人からそう言われ、頬をかきながら苦笑いすることになった。
「お礼は受け取りますよ。それでダンさん、俺はそろそろ帰らないといけません。仲間を待たせているので」
「そうか、これくらいで恩が返せるとは思っていないが、この村に来てくれればいつでも宿と食事を提供することを約束しよう」
「ありがとうございます」
「ラウトさん、今日には出発ですか?」
ルルが顔を俯かせてそう尋ねてきた。
村やダンさんと別れるのが寂しいのかもしれない。
「明日の朝でも良いよ」
「本当ですか!?またラウトさんと一緒に寝られますね!2人っきりをもう少し楽しみたかったんです」
俺の心配など杞憂で、ストレートに好意を向けてくるルルに少し心が痛かった。
ルルの気持ちに応えることも、拒否することも出来ない今の状況に心苦しさを覚えるのだった。
翌朝、俺とルルは村を出た。
出入り門でダンさんや大勢の村人に見えなくなるまで手を振られながら。
モンスター退治に見送られた時とは大違いな光景に俺はルルと共にケルビラに向けて転移をしたのだった。
村興しは順調に進み、この一週間で村のあちこちから忙しなく動く村民の声が聞こえてくるほどになった。
一番の問題であった食料問題は、街への道が開いたことでほぼほぼ解決した。
近くの小川に設置した罠も多少なりとも食料調達に貢献していた。
さらに、最初に作った道とは反対の方角に位置する街への道も開拓して、街と街を繋いだことで、村が街を行き来する人達の中継地となったため、人の出入りや宿の利用客が増えて収益が出るようになった。
それが村の復興に一役買うことになった。
「村に活気が戻るなんて夢のようだな。本当にありがとう」
「私からもお礼をしたいです。ありがとうございます」
俺が村人がガヤガヤと騒いだりしている光景を眺めているとダンさんとルルが話しかけてきた。
「前も言った通り、ルルの故郷を助けるのは当たり前です。それに実際に復興させたのは村民の働きのおかげです」
そう、実はこの一週間で俺が手を出したのは道づくりと罠の設置場所の手引きだけだ。
それ以外は、どうしても村人達だけでは対処できない事しか手を貸していない。
俺が全部やって俺がいなくなったら元に戻ってしまっては意味がない。
そんな事もあり、ほとんどが村人達の働きが復興させたと言っても過言ではない。
「いや、村民が働けるようになったのはラウトくんのおかげだ。本当に皆が君に感謝している」
「そうですよ!モンスターの撃退も村人だけでは、どうしようもなかったんですから。村の復興はラウトさんのおかげです」
2人からそう言われ、頬をかきながら苦笑いすることになった。
「お礼は受け取りますよ。それでダンさん、俺はそろそろ帰らないといけません。仲間を待たせているので」
「そうか、これくらいで恩が返せるとは思っていないが、この村に来てくれればいつでも宿と食事を提供することを約束しよう」
「ありがとうございます」
「ラウトさん、今日には出発ですか?」
ルルが顔を俯かせてそう尋ねてきた。
村やダンさんと別れるのが寂しいのかもしれない。
「明日の朝でも良いよ」
「本当ですか!?またラウトさんと一緒に寝られますね!2人っきりをもう少し楽しみたかったんです」
俺の心配など杞憂で、ストレートに好意を向けてくるルルに少し心が痛かった。
ルルの気持ちに応えることも、拒否することも出来ない今の状況に心苦しさを覚えるのだった。
翌朝、俺とルルは村を出た。
出入り門でダンさんや大勢の村人に見えなくなるまで手を振られながら。
モンスター退治に見送られた時とは大違いな光景に俺はルルと共にケルビラに向けて転移をしたのだった。
0
お気に入りに追加
1,028
あなたにおすすめの小説
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる