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3章 ルルの故郷と恋〜主人公無双が止まらない〜

42.もう二度と後悔はしたくない

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残った魔物は雑魚ばかりだ。
適当に相手していれば、いつか終わる。

俺はそんな風に考えながら雑魚を相手取っていた。


「ラウトさん、魔物ってあと、どれ位いますか?」


「ん?あー、多分百もいないよ」


「わかりました」


俺はワイバーンを倒してしまった事の原因が気になって、ルルの問いにも何となく答えてしまった。


(別に魔力が上がった訳でもないし、加減を間違えたとは考えにくい・・・)


俺はそんなことを考えていて、最初に感知していたもう一つの厄介な魔物の存在を完全に忘れていた。

だから、探知魔法の魔物が近づいている反応に気づかなかった。


「だいぶ魔物の数が減って来ましたね」


「そうだね」


「あれ?なんか地面がゆれてません?」


「ッ!!!」


そのルルの言葉で意識を切り替えた俺は、ようやく魔物の接近に気付いた。


「ルル、危ないっ!!!」


俺は瞬時に転移魔法を発動し、ルルを抱えてその場を脱した。


その直後、ルルが立っていた地面が裂け、大きな魔物の頭が現れ、鋭い歯を携えた口を勢いよく閉じた。


現れたのはアサシンスネークという大型の蛇の魔物だ。
この魔物は普段から土の中で生活し、この様にいきなり地上に顔を出して捕食する。
これを逃れる術は、直前の地面の揺れを感じた瞬間に飛び退くしかない。
初見ではまず避けられない。
その狩りの方法からアサシンの名がつけられた。

その名のイメージ通り全身が黒く、目はギョロリと恐ろしい。
見た目で分かるかもしれないが、体内に強力な毒を持ち、捕食されたら最後、例え消化されなくても命はない。

流石のバリアも攻撃ではない毒の効果までは弾いてくれない。

あの時、捕食されていたらと考えるとゾッとする。

ルルも生命の危機だった事に気づいたのか固まっていた。

俺はルルを地面に下ろすと、魔剣を作り出して、地面に顔を出したアサシンスネークの頭を一刀の下に切り捨てた。

アサシンスネークは飛び出て来るのとは対照的に地面に戻るのはかなり遅い。

まるで浜辺のアザラシを捕食するシャチのようだ、と普段なら思うのだろうが、この時はルルの命を危険に晒してしまった事に責任を感じ、それどころではなかった。



ああ、何やってんだよ俺は。

こんなんじゃ前と変わらない。


人の何かを代償に自分の力を隠すのは、後悔する方法だったと地球で嫌というほど感じて来たのに、どうして忘れていたのだろう。


もう二度とあんな想いはしたくない。

この時俺は決意した。
自分の力を隠すのはもう止めようと。


俺はもう手加減も自重もしない。

俺に牙を剥くなら、こちらも容赦はしてやらない。


俺の性格は隠すのには向いてない。


だから世界最強だけど我が道を行く!!
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