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3章 ルルの故郷と恋〜主人公無双が止まらない〜
38.信用は力づくで奪い取るものだ!!
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「魔物は村の農業を行う土地に向かっている。ここから少し離れているが、遅かれ早かれここも狙われるだろう。魔物の群れの数は見た者曰く千を超える大群だと聞いている」
ルルのお父さんはそう説明してくれた。
その情報は申し訳ないが、探知魔法で正確に把握している。
しかし、聞きたいこともあった。
「魔物の大群を見つけた人はどうやって気づいたのですか?」
これは少し疑問だった。
ここは山に囲まれているので、遠くを見通せる場所はあまりない。
なので、気づくためにはそれなりに遠出する必要がある。
「実はウチの村に釣り好きな奴がいてな。そいつは結構腕が立つから、周辺をあちこち回って釣りをしてるから、そういう情報を集められる」
なるほど、それならば納得もいく。
それにしても、釣り好きとは気が合うかもしれない。
この騒動を片付けたらぜひ会ってみたいものだ。
ただ、今はその話は置いといて、魔物の対処について思考を働かせる。
その際に一つ確認しておきたい事があった。
「ルルのお父さんは戦闘経験はありますか?」
「ダンでいいぞ。それで、戦えることには戦えるが、村長という立場である以上、最前線に出る事は難しいな」
俺はダンさんの言葉に納得する。
確かに、長を失っては例え村が助かっても失うものは計り知れない。
なるほど、手助けはなしという事だ。
これは逆に俺にとってはありがたい。
何故なら、人の目を気にして手加減をしなくて済むからだ。
流石に辺りの生態系に影響を及ぼすような、危険な魔法は使えないが、一般的に知られていない便利な魔法を使えるのは、大きなメリットになる。
「分かりました、では基本的に魔物は俺とルルで対応します。ダンさんは村に残ってください」
「それはありがたいが、大丈夫なのか?」
ダンさんは心配そうに聞いてくる。
2人では心許ないのだろう。
娘を危険に晒すのを、親として見過ごせないのは当たり前だ。
それならば、実力を示さなければならないだろう。
娘を送り出すに足る信用を得るために。
しかし、どうすれば実力を理解してもらえるだろうか。
俺は考えた末にある妙案を思いついた。
「ダンさん、少し外で見せたいものがあります。ちょっとだけ時間をもらえませんか?」
俺はダンさんにそう頼んだ。
「構わないが、何をするんだ?」
「見てもらった方が早いので、外で説明します」
そう言って、俺はダンさんを外に出るように促した。
外に出て少し広さのある場所まで来た。
「じゃあ、始めるので見ていてください」
俺はそう宣言すると、両手を前に突き出し、魔力を集めた。
その様子をルルとダンさんは「何が起こるのだろう」と興味深そうに見つめた。
俺は魔力が十分に集まったのを確認して、呪文を唱えた。
「『マジックフィールド』!!」
俺が唱えるとそこに半透明なドーム状の壁のようなものが現れ、徐々に大きくなった。
そして、最終的には俺を囲むように半球のドームになる。
「これは?」
それを見ていたダンさんが尋ねた。
「簡単に言うとバリアです。この半透明な壁は敵の攻撃を無効化します。ちょっと試しに攻撃してみてよ」
言葉で説明しても分かりにくいと思い、ルルに攻撃するように頼んだ。
「この壁をパンチすれば良いんですね。せいっ!!」
ルルは掛け声と共に得意の猫パンチを放った。
ご存知の通り、この猫パンチには大型の魔物すら吹き飛ばす威力がある。
しかし、ルルの拳は壁に当たって止まっていた。
バリアの中にいる俺には、猫パンチによる風圧すら届いていない。
この魔法は込める魔力によってバリアの強度は変わる。
魔力量が多い俺にはピッタリの魔法だ。
規模と質は違えど、これは誰にでも使える魔法なので、問題ない。
「ルルの攻撃力はダンさんも知っていますよね?俺はこのバリアを村全体に張る事が出来ます。もちろん、戦闘中はルルにもバリアを張ります。ここらの魔物にルルより攻撃力がある魔物はまずいないので、安心してもらって大丈夫です」
俺は結論づけるようにダンさんに告げた。
「これはすごい。これならルルを送り出すのを躊躇う理由はない。ラウトくん、この村を救ってくれ」
どうやら、信用を勝ち取れたようだ。
俺はダンさんの頼みに「任せてください」と大きく頷いて返した。
「もうこの村はダメだと思ってたが、少し希望が見えたようだよ。これは本格的にルルを嫁に出さないといけなくなるかもな」
俺の返答を見たダンさんは、そう言いながら笑った。
「お礼は要りませんよ。困ったときはお互い様です。もし俺が困ったときは助けてください。それで充分です」
俺はやんわりと断って、こちらも笑みを返した。
何はともあれ、なんとか話は纏まったので、後は魔物を始末するだけでいい。
楽なお仕事だ。
こうして、世界最強の冒険者の無双は幕を開ける。
ルルのお父さんはそう説明してくれた。
その情報は申し訳ないが、探知魔法で正確に把握している。
しかし、聞きたいこともあった。
「魔物の大群を見つけた人はどうやって気づいたのですか?」
これは少し疑問だった。
ここは山に囲まれているので、遠くを見通せる場所はあまりない。
なので、気づくためにはそれなりに遠出する必要がある。
「実はウチの村に釣り好きな奴がいてな。そいつは結構腕が立つから、周辺をあちこち回って釣りをしてるから、そういう情報を集められる」
なるほど、それならば納得もいく。
それにしても、釣り好きとは気が合うかもしれない。
この騒動を片付けたらぜひ会ってみたいものだ。
ただ、今はその話は置いといて、魔物の対処について思考を働かせる。
その際に一つ確認しておきたい事があった。
「ルルのお父さんは戦闘経験はありますか?」
「ダンでいいぞ。それで、戦えることには戦えるが、村長という立場である以上、最前線に出る事は難しいな」
俺はダンさんの言葉に納得する。
確かに、長を失っては例え村が助かっても失うものは計り知れない。
なるほど、手助けはなしという事だ。
これは逆に俺にとってはありがたい。
何故なら、人の目を気にして手加減をしなくて済むからだ。
流石に辺りの生態系に影響を及ぼすような、危険な魔法は使えないが、一般的に知られていない便利な魔法を使えるのは、大きなメリットになる。
「分かりました、では基本的に魔物は俺とルルで対応します。ダンさんは村に残ってください」
「それはありがたいが、大丈夫なのか?」
ダンさんは心配そうに聞いてくる。
2人では心許ないのだろう。
娘を危険に晒すのを、親として見過ごせないのは当たり前だ。
それならば、実力を示さなければならないだろう。
娘を送り出すに足る信用を得るために。
しかし、どうすれば実力を理解してもらえるだろうか。
俺は考えた末にある妙案を思いついた。
「ダンさん、少し外で見せたいものがあります。ちょっとだけ時間をもらえませんか?」
俺はダンさんにそう頼んだ。
「構わないが、何をするんだ?」
「見てもらった方が早いので、外で説明します」
そう言って、俺はダンさんを外に出るように促した。
外に出て少し広さのある場所まで来た。
「じゃあ、始めるので見ていてください」
俺はそう宣言すると、両手を前に突き出し、魔力を集めた。
その様子をルルとダンさんは「何が起こるのだろう」と興味深そうに見つめた。
俺は魔力が十分に集まったのを確認して、呪文を唱えた。
「『マジックフィールド』!!」
俺が唱えるとそこに半透明なドーム状の壁のようなものが現れ、徐々に大きくなった。
そして、最終的には俺を囲むように半球のドームになる。
「これは?」
それを見ていたダンさんが尋ねた。
「簡単に言うとバリアです。この半透明な壁は敵の攻撃を無効化します。ちょっと試しに攻撃してみてよ」
言葉で説明しても分かりにくいと思い、ルルに攻撃するように頼んだ。
「この壁をパンチすれば良いんですね。せいっ!!」
ルルは掛け声と共に得意の猫パンチを放った。
ご存知の通り、この猫パンチには大型の魔物すら吹き飛ばす威力がある。
しかし、ルルの拳は壁に当たって止まっていた。
バリアの中にいる俺には、猫パンチによる風圧すら届いていない。
この魔法は込める魔力によってバリアの強度は変わる。
魔力量が多い俺にはピッタリの魔法だ。
規模と質は違えど、これは誰にでも使える魔法なので、問題ない。
「ルルの攻撃力はダンさんも知っていますよね?俺はこのバリアを村全体に張る事が出来ます。もちろん、戦闘中はルルにもバリアを張ります。ここらの魔物にルルより攻撃力がある魔物はまずいないので、安心してもらって大丈夫です」
俺は結論づけるようにダンさんに告げた。
「これはすごい。これならルルを送り出すのを躊躇う理由はない。ラウトくん、この村を救ってくれ」
どうやら、信用を勝ち取れたようだ。
俺はダンさんの頼みに「任せてください」と大きく頷いて返した。
「もうこの村はダメだと思ってたが、少し希望が見えたようだよ。これは本格的にルルを嫁に出さないといけなくなるかもな」
俺の返答を見たダンさんは、そう言いながら笑った。
「お礼は要りませんよ。困ったときはお互い様です。もし俺が困ったときは助けてください。それで充分です」
俺はやんわりと断って、こちらも笑みを返した。
何はともあれ、なんとか話は纏まったので、後は魔物を始末するだけでいい。
楽なお仕事だ。
こうして、世界最強の冒険者の無双は幕を開ける。
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