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「十六夜の夜」の終焉
しおりを挟むリンダは立ち上がるとギンジが言った通りの奥の扉へ向かった。そしてガチャとドアを開けて見ればそこは簡素な部屋であり、1台のベッドがポツンと置いてあった。
その上で1人の美しい女性が眠っていた。頬はピンクに染まり、小さな唇はさくらんぼの様だ。目を閉じているのでその瞳の色は分からないが、顔の造りから目が大きいだろうと想像がついた。
女性は睡眠が覚めかかっているのか、モゾモゾと体が動き始めている。リンダはベッドへ近寄ると、その女性の体をポンポンと優しく叩き覚醒を促した。
女性はパッチリ目を開けると「ここは?」と傍にいるリンダに尋ねた。
「ここは十六夜の夜と言う屋敷です。私の名前はリンダ。貴女を助けに来た者です。どうですか?起き上がれそうですか?」と聞いてみた。
その女性は「・・・・そう、貴女が」と言いながら一生懸命に起き上がろうとしたが、長い時間そこで眠らされていたようで、手足が弱っているのか起き上がれなかった。
「・・・・すいません、無理みたいです。」と大きな瞳でリンダを見上げると、申し訳なさげに答えた。
「ふふっ、大丈夫ですよ。身体強化!!」と自分に術を掛けるとその女性、ハンナを抱き上げた。そして「私に捕まってて下さいね。少し揺れますので。」と伝えると部屋からゆっくりと歩き始めた。
部屋を出た所で精神集中すると「「フランツ様、女性の保護に成功しました。名前はハンナさんと言うらしいです。」」と伝えた。
「「ハンナ、そうか女性はハンナと言うんだね。分かった。今、我々は交戦中だ。相手はこちらの組織のNO.2らしいが今はルーカスが頑張っている。こちらの位置情報を送る。」」そう話すとリンダの頭に位置が流れ込んできた。
(ここからは結構近い。・・・・よし。)
「「分かりました。私たちはこれからそちらへ合流します。」」そう話すとハンナを抱え直しルーカスたちの方へ向かった。
◇◆◇
リンダがハンナを抱えルーカス達の所へ辿り着くと、フランツが雑魚を相手にしつつ、ルーカスがまだ年端も行かない、若い男を相手にしていた。たぶん私たちと同じぐらいの歳じゃ無いかしら?ただ、そこまでは強く無さそう?
リンダがゆっくりとハンナを壁際へ下ろすと、「少し待ってて下さるかしら?ちょっと助けてくるわね?」と微笑んだ。
だが、そんなリンダ達に気が付い雑魚達が襲い掛かった。
「ハアッ!!」と気合を込めると脇差しを取り出し奴らを一気に葬った。
「・・・・凄い、リンダさん。」とハンナも感心している。
「済まないリンダ嬢。助っ人感謝する。」気が付いたフランツが小走りにリンダの側までやって来た。
「いえいえ、構いませんわ。それよりこちらがハンナ様です。」と脇差しを仕舞いながら、座ったままのハンナを紹介した。
「君がハンナさんかい?お兄さんに良く似ている。」と話し、腰を屈めハンナの顔を見ながら、優しい笑顔でフランツが話した。
「フランツ様、話は後ですよ。私は結構強そうなオジ様をやってしまったので、今、ルーカス様と闘っている相手は生捕りの方が宜しくて?」と提言した。
「あぁ、ルーカスにもそう言って送り出した。あっ、もうカタがつきそうだな。」そうフランツが話した次の瞬間には、張り手で相手を吹っ飛ばして、気絶させたルーカスの姿が有った。
「おいノア、もうそっちは終わったか?」と剣の血を振り払いつつナユタが近くにいる筈のノアに話しかけた。
ノアは「はっ!」と掛け声を発すると、最後の残党に踵落としをお見舞いした。
「あぁ、今終わった所。そっちも終わった?」
「まぁ、こんな所だろう?それよりリンダ嬢から連絡は?」
「いや、僕の所には入ってない。ただ位置情報だけが20分ほど前に入っただけだ。」
「まぁ、彼女の事は心配要らないさ。それよりルーカス達の方はどうなんだろう?さっきから応答が無いんだ。」とノアがブローチを片手にナユタに話しかけた。
「リンダ嬢にも話しかけてるが応答が無い。」そう話したきりノアは黙り込んでしまった。
「とりあえず、リンダ嬢の位置情報を頼りにそこへ行ってみよう。ここは騎士団の奴らも来たしな。」とナユタが答えると、数名の騎士が駆けつけ牢屋の女性から達を解放し始めていた。
ナユタが外を眺めると接客から解放された女性達が集められ、騎士団に事情を聞かれているのが見えた。
ここへ招待され遊びに来ていた男性達の姿も見える。
ははっ、バツが悪そうだな。男達は少し頭を冷やすと良いよ。そんな事を考えていた時に、ルーカスから全て終わったと通話が入った。
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