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2人のその後【完結】
しおりを挟む「ぱっぱ、ぱっぱ。だぁっこおー!!」と可愛い娘のカーリーがよちよち歩きでランスロットの方へ歩いて行く。
ランスロットはゆるりと笑うと手を広げカーリーを抱き上げた。
「カーリー、お母様は?」と話しかけると
「まんまっ、まんまっ、ごはん。ごはん。」と言葉を繋ぐ。
お母様とご飯が一つになってしまった所が可愛い。本人は必死で「お母様はご飯を食べている。」と言いたいのだろう。
サラは今は2人目を妊娠中で、悪阻のため食べられそうな時に食べるようにして居るのだ。
「そうか、カーリーは偉いね。ちゃんと言えたね。」と褒めてしまう親バカぶり。
サラのお腹の中にいるのは恐らく男の子だ。
「カーリーの時とは全然違うのよ。」と言っていたからだ。それを間に受けて良いのかどうかは別だけど。
あれから、ハリストンの方は兄弟仲良く国を治めている。主に政治は兄の方が、根回しは弟が、分担してやる方法が本人達に合っていたようだ。たまにノイマンが視察を兼ねてハリストンへ訪れている。
マージ公爵家夫妻は3人の子供を得た。最初が男の子だったので次は女の子が欲しかったみたいだが、次も男の子だった。そしてまた次も。
「もう、男の子しか出来る気がしないからこれで辞めるわ。」と笑いつつギルバートが降参とばかりに両手を上げて話していたのがつい昨日のようだ。
まぁ、産まれてくるのが男の子ばかりなので、出産後のお手伝いで古城から出て来ていたシンディも古城へ帰りそびれてしまっていた。
そんな事を考えていたらいつの間にかサラが側に来ていた。サラはニコッと笑うと「薔薇園に行ってきますね。」と言いながら薔薇園の方へ歩いて行った。この王宮にも彼女のリクエストで薔薇園を作ったのだ。
彼女は本当に薔薇が好きだ。特に紫の薔薇が。彼女の言葉を借りると紫の薔薇は「運命共同体」らしい。でもそれって私の事なのではないのか?カーリーを抱っこしながらランスロットはそう思っていた。
「お母様、そこから見てますか?」とむせかえる様に咲き誇る薔薇園の中でサラは独り言を呟く。
「私は今とても幸せ。」そう言いながら自分のお腹をさすった。
「たくさんの人が私を助けてくれたの。」と言いながら花殻を摘んだ。手に持っていたゴミ袋に入れた。
「でもランスロット様が最後まで私を待っていてくれたのよ。」虫食いの葉っぱをちぎった。
「彼は何度も私を待っていてくれた。」次の木へ移った。そして手入れを続ける。
「私も彼を愛してしまったの。初めて見た時から恋に堕ちたのよ。とても美しい人だったから。」
そう話すと薔薇園に落ちている花びらを拾い始めた。
「お母様、天国でお父様と一緒に私がそこへ行くまで見守っててね。」と空を見上げて微笑むとゴミを捨てて足元に気を付けながらゆっくりとランスロットとカーリーの所へ戻って行った。
◇
この2人の話はここで終わりです。読んでくださった方々ありがとうございました。また次の話でお会いしましょう。
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