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5、リカルドからの誘い。剣技を極める

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パン、パン、パン!!とここで大きな拍手が起こった。

「坊主、先ほどの失礼な発言を訂正してお詫びする。私はこの警ら隊の隊長を務めているマッキンリーだ。入隊心より歓迎するよ。見たところたいして武術の経験がないのにハビエルを負かすなんて大した物だ。まぁ、ハビエルも最近たるんでたから、ちょうど良いお灸になっただろう。」と言って笑った。

(げっ、そう言えばここは騎士団を募集している最中だった!!)

「すいません。僕、入隊するつもりはなかったんです。ただ、あの試験内容に少し物が言いたかっただけなので。」そう話すとカルスは嬉しそうに手を振って笑っているアラジンに声をかけ試験会場をあとにした。



「しっかし、まさかカルスが勝つとはなぁ。」とモゴモゴ咀嚼しながら話すのはアラジン。

約束の串焼きを食べに来ている。この店は値段が安いのに肉質がよく、何よりタレが絶品なのだ。焼けてる匂いだけでご飯3杯は食べられる。

「ーーーーうっめぇ。うっめえよアラジン。」と串焼きにむしゃぶりつくカルス。

「おい、おっさん!あと2本追加ね??」と勝手にオーダーを入れるカルス。

「っておい、勝手に注文するなよー!!俺の小遣いが!!」

「っひゃーうめぇ!!」とガツガツくらいつくカルス。

「ストップ、ストップ。次行くぞ?ったく、だいぶん串焼きで使っちまったから、デザートはアイスな?」

「何だよアラジン。俺がケーキ好きって知ってるくせに!」

「馬鹿言え。それで今日は勘弁しろ。」そう話す2人の後ろから声がかかった。




「よし、オモロイもん見せてもらったからおっさんが奢ってやるよ。」思わず振り返るとさっきの試験会場にいたおっさんだった。

「よぉ坊主。さっきはよくやったな。お前相手のガードが空いたのちゃんと見えてただろ?目が良いんだな」

「うるせぇ、お前のせいで余計な試合やったんだ。奢ってくれるなら早く奢れ。」

「ハハっ、本当に元気のいい坊主だな。よし!そこのご友人も一緒にこの先のクレープ屋にでも行こう。」と言って先を歩き出した。しばらく歩くと可愛らしい露店が建っていた。見てみると女性が一人せっせとクレープを焼いている。


「あら?リカルドじゃない。今日は1人じゃないのね?またこれは可愛いご友人と一緒ね?」とクレープを焼く30歳ぐらいの女性が声をかけた。よく見るとこの前カルスが助けた女性だった。

「この前は助けてくれてありがとう。お礼に何でも好きなクレープ奢ってあげる。そちらのご友人も良かったらどうぞ。」そう話すとメニュー表をカルスに渡した。




「じゃあシフォン、俺はオレンジクリームのクレープでいいよ。」

「何言ってんのよ。リカルドは自腹よ?当たり前じゃない。」

「ええ~。そんな寂しいこと言うなよ~。」

「すいません。僕はバターシュガーのクレープで。」とここでカルスが言った。

「えっ、そんな安くていいの?じゃあこちらで勝手に作るわね。もう一つうちのおすすめは苺クリームよ?私の育てたいちごで作ったの。一緒に食べてみて?」

「すいません、僕はハムとレタスのクレープでお願いします。」とここでアラジンも注文した。

「分かったわ。君にも苺のクレープつけてあげるわ。」とシフォンがタネを伸ばしながらにっこり笑った。



「おっ、美味いなここのクレープ。」とカルスが呟いた。

「当たり前だろ。シフォンのクレープはこの街一番だ。世界中を回った事のある俺が保証するよ。」とリカルドがお気に入りのカスタードのたっぷり入ったクレープを頬張りながら声を上げた。

「へぇ~。リカルドさんって世界中を回った事があるんですか?」とアラジンが話を向けると「あぁ。まぁ俺は傭兵みたいなもんだからな。」と残りのクレープを一気に口に入れた。

「君たち、リカルドはあんなこと言ってるけど彼は強いのよ?あんまり大きな声で言えないけど剣聖だからね!!」

「おい、シフォン言うなって!!」

「すごい!!俺たちすごい人と知り合いになったな!カルス」アラジンが興奮してカルスに話しかけた。

「ごめん、剣聖って何だ?」

「って剣聖も知らないのかよ!いいか剣聖ってのはな・・・・」

「・・・・お前も知らないのかよ。」「・・・・ごめん」

「ははっ、面白い子たちだ。剣聖っていうのかいわゆる剣の道を極めた者のことを言うんだ。もちろん人として第一人者であると言うことも含めて・・・・だ。」と言ってリカルドが笑った。

「この男はある流派の師範代の男でね。でももうその流派はこの世に存在しないのよ。世界でただ1人この男だけが正式な後継者ってわけ。」シフォンさんがプレートを掃除しながら説明してくれた。

「そこでだ。おい小僧!!お前俺の流派を継がないか?」とリカルドがカルスを見つめて話した。今までのふざけた表情と違い真剣な眼差しでカルスは少し戸惑ってしまった。

「俺の流派を勉強すれば少しはお前の悩みが解消すると思うぞ?」とリカルドがカルスを見てそう呟いた。

「ーーーーっ、少し考えさせてくれ」カルスは俯いて返事した。


(やっぱり俺の体は見る人が見れば分かるのか・・・・)


「じゃあこうしよう。今度の土曜日の1時にここで待ち合わせよう。もし気が乗らなかったりやる気にならなければ来なければいい話だ。」

「あぁ分かったよ。それまで考えさせてくれ。おい、アラジン帰るぞ。」そう話すとリカルドとシフォンに背を向けて足早に歩きだした。

「おい、待ってくれよカルス~~。」アラジンが慌ててその後ろを追っていった。


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