上 下
42 / 67

41、出発、エミリアさんの所へ

しおりを挟む


「そのアトランティス側のギフト能力研究者ってどんな方なんですか?」とタチアナが聞いている。

「私もオスカー殿から聞いただけだから詳しく分からない。ただ40代女性としか聞いてない。」と思案顔だ。

「とりあえず同行は許可されたんですか?」と聞くと「ああ、オスカー団長からのたっての頼みだからな。」
無視するわけにもいくまい。と言いたげだ。

「明日の朝、こちらを全員9時過ぎに出るつもりだ。そこから港へ移動しそこでその研究者と合流予定にしてある。まあ警備対象者が増える訳だが2人とも注意して欲しい。」

タチアナと目を合わせアルフォンスに向かって「分かりました。」と答えた。


次の日の朝は朝食からカノンちゃんたちと一緒だった。「カノンちゃん、お母様、おはようございます。」

「アニエスお姉ちゃん、タチアナお姉ちゃん
おはようございますっ!」とちゃんとご挨拶できてます。可愛い~カノンちゃん。今回で治るといいなあ。もし治らなくても、せめて何か手がかりが欲しい。

「カノンちゃん体の調子はいかがですか?」と聞くと「うん、いつもよりもご飯が美味しいの。」とカノンちゃんが言ったときに「カノン~お母さんのご飯が美味しくないって~??」と笑いながら突っ込んでました。


「そんなことないよ、美味しいよ?」とお母さんの顔色見るのね。そういう所はさすが女の子って所?

和やかな雰囲気で朝食が済み、いよいよ出発する事になった。
アルフォンスがまとめてチェックアウトを済ませ、いよいよ港に向かって歩き出す。

カノンちゃんを見ると今の所は大丈夫そう。
もしいよいよカノンちゃん歩けなくなったらアルフォンスの奴におんぶさせよう。うん、そうしよう。


5分ほど歩くと港に着いた。
アルフォンスが港のカウンターで乗船手続きをしているとオスカー団長が例の女性を連れてやって来た。

それまでおとなしかったカノンちゃんが「あっ、ミリアン先生だ!」と言い始めた。

オスカー団長は近くまで来ると「おはよう諸君、昨晩は良く休めたかい?」と笑いながら挨拶している。

すかさずタチアナが「はい、おかげさまで。」と挨拶を返している。
そのタイミングでアルフォンスが戻って来た。

アルフォンスはオスカーに挨拶しながら会釈した。

そしてオスカー団長は
「皆さんに紹介しておこう。こちらがアトランティスのギフト研究者のミリアン・バークレー殿だ。」

「皆さんこんにちは。今紹介していただいたミリアンよ。道中はよろしくお願いしますね。」と言うと優雅に一礼をした。一言で言うととても艶やかな女性だ。長い髪をひとつに束ねスクエアタイプの眼鏡がそれに知的さを添えていた。

「レンブラント騎士団、団長のアルフォンスだ。こちらこそよろしく頼む。」と握手を交わしていた。

「まあ、こちらの団長様も男前ね。うちの団長さんはどちらかというと美形だけど。」と笑ってました。

まあ、うちのギフト研究者の事はあまり知らないけれど、ギフト避けのエミリアさんとは対照的ね。

「それよりオスカー、筋肉強化のギフト能力者を紹介して。」

「まあまあ、焦るな。こちらがタチアナ殿、こちらがアニエス殿だ。」

「タチアナです。」とミリアン先生に握手をした。それに続いて「アニエスです。よろしくお願いします。」とアニエスも握手した。

「エミリア先生、アニエス殿がそうだ。」とアニエスが能力者だと明かすと、「まあ、あなたがそうなの?いろいろお聞きしたいわ。後で時間取ってくださる?」と熱心な様子だ。
「はい、良いですよ。わかりました。」と答えた。


全員が揃ったところでいざ乗船となったが、さも当然とばかりに、なぜかオスカー団長が一緒に来るのだ。開いた口が塞がらないレンブラント騎士団一行。

もう誰も突っ込む気力が無かった。と言うか慣れた。

タチアナの目が死んでいる。そして船に乗り込んだオスカー団長が真っ先にアニエスの隣へ向かったのだが、タッチの差でミリアン先生に取られていた。

オスカー団長にニヤリと笑うミリアン先生。「ぐぬぬ~。」とほんの小さくだがオスカー団長の口から声が漏れていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます

葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。 しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。 お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。 二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。 「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」 アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。 「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」 「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」 「どんな約束でも守るわ」 「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」 これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。 ※タイトル通りのご都合主義なお話です。 ※他サイトにも投稿しています。

【完結】高嶺の花がいなくなった日。

恋愛
侯爵令嬢ルノア=ダリッジは誰もが認める高嶺の花。 清く、正しく、美しくーーそんな彼女がある日忽然と姿を消した。 婚約者である王太子、友人の子爵令嬢、教師や使用人たちは彼女の失踪を機に大きく人生が変わることとなった。 ※ざまぁ展開多め、後半に恋愛要素あり。

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

公爵令嬢ディアセーラの旦那様

cyaru
恋愛
パッと見は冴えないブロスカキ公爵家の令嬢ディアセーラ。 そんなディアセーラの事が本当は病むほどに好きな王太子のベネディクトだが、ディアセーラの気をひきたいがために執務を丸投げし「今月の恋人」と呼ばれる令嬢を月替わりで隣に侍らせる。 色事と怠慢の度が過ぎるベネディクトとディアセーラが言い争うのは日常茶飯事だった。 出来の悪い王太子に王宮で働く者達も辟易していたある日、ベネディクトはディアセーラを突き飛ばし婚約破棄を告げてしまった。 「しかと承りました」と応えたディアセーラ。 婚約破棄を告げる場面で突き飛ばされたディアセーラを受け止める形で一緒に転がってしまったペルセス。偶然居合わせ、とばっちりで巻き込まれただけのリーフ子爵家のペルセスだが婚約破棄の上、下賜するとも取れる発言をこれ幸いとブロスカキ公爵からディアセーラとの婚姻を打診されてしまう。 中央ではなく自然豊かな地方で開拓から始めたい夢を持っていたディアセーラ。当初は困惑するがペルセスもそれまで「氷の令嬢」と呼ばれ次期王妃と言われていたディアセーラの知らなかった一面に段々と惹かれていく。 一方ベネディクトは本当に登城しなくなったディアセーラに会うため公爵家に行くが門前払いされ、手紙すら受け取って貰えなくなった。焦り始めたベネディクトはペルセスを罪人として投獄してしまうが…。 シリアスっぽく見える気がしますが、コメディに近いです。 痛い記述があるのでR指定しました。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。

全部、支払っていただきますわ

あくの
恋愛
第三王子エルネストに婚約破棄を宣言された伯爵令嬢リタ。王家から衆人環視の中での婚約破棄宣言や一方的な断罪に対して相応の慰謝料が払われた。  一息ついたリタは第三王子と共に自分を断罪した男爵令嬢ロミーにも慰謝料を請求する… ※設定ゆるふわです。雰囲気です。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

処理中です...