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20、ギフト能力者

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次の日もアニエス改めリリーは元気に接客していた。

昼近くになった時、女将さんに「リリーちゃん、近くに住むアンの家まで配達頼めるかしら?アンの所の子供さんが熱出しちゃってアンが困っているらしいのよ。お昼ご飯配達してあげて頂戴。」と頼まれた。

「ええ、いいですよ。ついでに何か困っていないか聞いてみますね。」

「ありがとうリリーちゃん、じゃあこれを持って行ってあげて。」とお昼のランチと女将からの心つくしのお見舞なのだろう、真っ赤なリンゴが2つ添えられていた。

「わかりました。このトレーですね。じゃあ行ってきます。」とカラン、と店のドアを開け元気に表通りに出た。

道行く人々は活気があって、とても誘拐が多発している地域とは思えない。
そうだ、帰りについでにアルフォンスやケリーも覗いてやろう。アルフォンスは。。。
確か、港の守衛だったな。ケリーはそうそう近くのパン屋さんだった。

しばらく歩きアンの家についた。可愛らしく白くペイントされた目の前のドアをノックした。

「こんにちわ。きりん亭です。ランチの配達に来ました。」とドア越しに声をかける。

「はい~。」とアンの声がしてガチャリと少しドアが開かれた。

ドアの隙間からリリーを確認するとすぐにドアを大きく開き「ありがとう~助かった。」とトレーを受け取りながらほっとしたのか、安心した様子を見せてくれた。

「女将さんより困っている事はないか聞いてきてと言われています。何か困ったことはないですか?」と話すと「今のところは大丈夫。夫のマリンももうすぐ帰ってくると思う。」と答えていた。


「それなら。。。お子さんどうかお大事に。」と一礼してアンの家を失礼した。

ケリーのパン屋さんは。。と見えてきた、見えてきた。一生懸命にパンを陳列している。
さすがに最初から厨房はないか。。。

店のガラス越しにケリーと目が合った。「ニヤリ」と笑うとそっぽ向かれてしまった。そうですよね。ええわかります。

更に今度は港に向かって歩き出した。
ちょっと距離があるが何とか港まで着いた。
天気がいいせいか潮風が気持ちいい。

深呼吸してから伸びをする。湾岸警備室から丁度アルフォンスが出てきていた。次の警備員と引継ぎらしい。

向こうは気が付いたようだったが、アルフォンスの方は向かないように心がけていた。

さあ、そろそろ帰らないとまずいか?と来た道を引き返そうとした時、女の子が話しかけてきた。

「お姉ちゃん、この辺に公園ってあるの?」と言いながらアニエスの手を握ったその時、ギフト除けの指輪が一瞬熱を持った。

・・・・ここか。と悟ったアニエス。

頭がふわふわする。でも気力で振り払う。
「お姉ちゃんこっちへ行こ?」と手を引かれる。アニエスは抵抗せず女の子に引かれるままに歩き出した。

視野の隅っこにアルフォンスが見える。
あっ、良かったアルフォンスが気が付いている。このまま敵のアジトに潜入するから、後を宜しく。

女の子はそのまましばらく歩き、大きな船の前にきた。船の中からガラの悪い男が出てきてその女の子に話しかけた。

「よくやったなマリィ。さあ直ぐにその女を例の部屋へ入れるんだ。」と急かした。

ふう~ん。こうやってたんだ。しばらく泳がすか。マリィと呼ばれる少女に付いて歩く。階段を何段も降り薄暗い部屋へと連れて行かれた。その部屋は牢屋になっていて鉄格子の隙間から見ると
中には女性が5人、子供が8人ほど入れられていた。

牢屋のそばには男が椅子に座っており、「また連れて来たのか。上出来だ。」とマリィを褒めていた。

「ねぇ、おじちゃんこれで良い?これでお母さんに合わせてくれるの?」と男に聞いていた。
「ああ、ああ、合わせてやるよ。あと1人ぐらい連れて来れたらな。」とマリィに話した。

ガチャンと鉄格子を開けアニエスを放り込むと「悪く思うなよ姉ちゃん。おとなしくしてたらいい目見せてやるからな。」と絶対にろくでもない、いい目?を約束してきた。

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