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2、女性騎士団募集

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そんなアニエスも当たり前だが、きちんと学校に行っている。

勉強の方も元々負けず嫌いな事もあって、トップクラスにいた。

仲の良い友達も数名いたし結構充実していたのではないか?と思う。やはり転生してからは「アニエス、何かあった?悩み事があるなら相談してね。」と変に気遣われたり、また「人が変わった?」と友人に指摘された。

まぁ、嫌われて無かったようでそこの所は安心した。

クラスメートに「何かさっぱりした性格になったね~」と言われる事が増えた。

そんなある日の事、何となく気分転換がしたくて友人達に「ちょっと図書室へ行ってきます。」と告げ1人で教室を出て図書室へ行く途中、廊下の掲示板に貼って有った用紙に引き寄せられた。


アニエスはその紙を何度となく読み返した。
 
その紙は掲示板の中央に貼り付けて有った。


【女性騎士団創設】

・募集要項 

16歳以上の健康な女子である事
両親の承諾が得られて居る事

・面接の日時
・応募者多数の場合は選抜試験
・腕にある程度覚えがある者
・募集人数は少数
・報酬は男性に準ずる
・正式な入団者は2年間の寮生活(訓練が1年間ある為)

と記されてあった。


担当者は。。。。
げっ、あいつだ。アルフォンスだ。


ーーーーふうん、でもこれはいいかも。

お父様、許してくださるかしら?
まぁ悩んでいるよりはいいわ。帰ったら相談してみよう。



◇◇◇



学校を終え自宅へ帰り、執事にお父様の所在を確かめる。今なら自室に居るとの事。

ノックを2回

「誰だ?」
「アニエスです。お父様。入っても?」
「あぁ入りなさい。」

「今日はどうしたんだい?」と微笑みながら問いかけてきた。

「実はお父様にお願いが有って参りました。」
「はははっ、いったいどうしたんだい?急に改まって?」

お父様の目を見ながら「我が国初の女性騎士団の募集の事はご存じですか?」と聞いてみた。


「あぁ聞いたことはある。女性の高位貴族の警らや子供などの保護を中心に活動する女性を募集して居るらしいね。」と理解はしてくれている様だ。

「はい、こう言っては何ですが、王族や高位貴族の男性は自分の伴侶の警備は、ある程度の貴族の女性に警備に付いて欲しいと言う要望は前からあったみたいですね。」

・・・・平民とか貴族とか差別するのは良くないんですがね。と前置きをしながら

「私、挑戦してみたいと思っているのです。お父様宜しいですか?」と思い切って聞いてみた。

お父様はしばらく考えた後、
「恐らくお前は私が反対しても行くのだろう。今は反対はしないが、私が危険だと判断した場合は、直ちに退団させるからそのつもりで。」と厳しい目線で釘を刺された。

おずおずと「あと、もう一つお願いがあるのですが。」

「ん?何だい?言ってみなさい。」 

「我が家に伝わるあの剣。あれを私に譲って欲しいのです。」

「・・・・あの剣か。確かに剣としたら細身で扱いやすい。とは言っても女性用には作られて無いから、体に負荷はどうしてもかかるぞ。?」

そう言われるとは思ってた。「構いません。元より覚悟の上です。」

「わかった。これから取りに行こう。アニエス、着いておいで。」と思っていた以上の好感触だ。

さっとお父様がイスから立ち上げると、一緒に部屋を出て、薄暗い地下室へと足を運んだ。

ある部屋の古びたドアを開け、1番奥の壁に大切に飾られている剣をすっと外し、アニエスに「家宝の剣だ。大切に使ってくれよ。」と笑いながら渡してくれた。そしてアニエスの頭を撫でると「少しは奴の事を忘れられたのか?」と聞いて来た。

「・・・・はっきり言ってあれで良かったと今になっては思っています。彼の浅はかな所がどうしても許せそうに有りませんでしたので。」とお父様に話すと言うより、この言葉は自分自身に言った気がする。

貰った剣をじっと見て、一振りしてみた。
やはり他の剣より軽いし使いやすい。
お父様に頼んでみてよかった。

試験はちょうど1週間後だ。
確か申し込み期限は明日までだったはず。

執事に頼んで馬車を出して貰い、急いで王宮の詰所まで行き、申し込み用紙を貰い、その場で書いて提出した。

その夜の家族が揃った夕食の時に

「お姉様、騎士団に入られるのですか?」と弟のロビンが聞いていた。

ロビンは16歳のアニエスの可愛い弟だ。どちらかといえばお父様に似て金髪の青眼だ。

「ふふふっ、まだよロビン。テストを受けるだけでまだ入るとは決まってないわ。」とロビンを見ながら答えた。

「お姉様ならきっと受かると思います。頑張って下さい。」と応援してもらった。

憂い奴よのうロビン。

ロビンを見て微笑んでいたらお母様に
「アニエス、お願いだからどうか危険な真似だけはしないでね。」と心配されてしまった。 

「わかりました。大丈夫です。気をつけますのでお母様、心配しないで下さいね。」と言っておいた。
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