私、魔法使いになりたいって言ったよね？ハッピーな記憶を届ける魔法使いに。

13、寮での語らい。

　長かった休みもバタバタと終わり、休みも残り2日になった。ブルックリンは家族が揃っている休日の昼下がりに、家族を庭へ呼び出して、学校の授業で習った土の魔法を披露した。

　両親には大変感動され、弟や妹には大変感激された。少し照れ臭かったが家族に喜ばれた事で、ブルックリン自身も何だか嬉しくなった。

　そして次の日には家族に見送られながら、カーティス魔法学園へ戻って行った。

　戻っていく最中でも、これから新学期が始まると言うのに、そんな気分は何処へやら、テスタメンターとしてのガブリエラの仕事ぶりが、繰り返し頭の中に思い出され、中々離れなかった。

　私も頑張ればなれるかしら？そんな気持ちが胸の中を渦巻く。車窓からの街の賑やかな景色を見ても、頭からその考えが離れなかった。

　寮へ戻ると早速ブルックリンの部屋にフェアリーとケイトが揃ってやって来た。手にはそれぞれブルックリンへのお土産を下げている。それを見たブルックリンも、思い出したかのように荷物の中から2人への手土産を引っ張り出した。

「きゃー！ブルックリン～～。久しぶり！！」とフェアリーが抱きついて来た。ん？以前よりフワッとした感触が手に伝わって来た。フェアリーちょっとふっくらした？

「････フェアリー少し太ったんじゃ無い？」とブルックリンも抱きしめ返しながらそう話すと、側にいたケイトに「ケイト、久しぶりね！！お休み中は何処かへ出掛けたりはしたの？」などと話しかけていた。

「ひっどーい、ブルックリン。」とちょっとお冠なフェアリーは置いといて、ブルックリンはケイトにテスタメンターに出会った話を聞かせた。

「――！っすごいじゃない。」とケイトは大きく頷くと、キラキラ目を輝かせている。

「うん。実際に側にいて、隣でじっくりと見ていたら、凄く感動した。」とブルックリンも2人に向かって熱意を持って話した。

「でもなりたくても、どうやってなれるのか分からないわ。ただ、ガブリエラに聞いた時に、学力の事と卒業間近に行われる対抗戦（勝ち抜き戦？）で優勝した事を言われた。」としょんぼりしながら2人に言った。

「大丈夫じゃ無いの？ブルックリン。テストの成績はあなた良いじゃ無い？」と2人が口を揃えて問いかけて来た。

「でも勝ち抜き戦なんて自信無いわ。」と考え込むブルックリンに、フェアリーがあっけらかんと「何言ってるのブルックリン？そんな事はその時が来たら考えるのよ？今から考えて悩んでどうするの？」と言った。

「――――！！そうだよね。うん、全くそうだよね。ありがとうフェアリー。」とフェアリーに向かってにっこりと笑った。（太ったなんて言ってごめん！）

　その後はお互いの手土産を披露しながら、それぞれの帰省の話を聞いた。特にケイトの実家は、寄付として、春には近くの教会の大掃除を手伝う習わしがあって、それにはケイトも駆り出されて手伝わされた。と愚痴っていた。

　そうこうしているうちに、気が付くと就寝時間になっていた。「ブルックリン、じゃあ私たちもう部屋へ戻るね。お休み～。」と2人とも自室へ戻って行った。

　ブルックリンは机に向かうと、「今年は土属性の攻撃方法も習う。勉強する事は増えるが奴には負けない。」と言いつつ新しい教科書を手に取り、明日からの予習を始めたのだった。