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最終章 カップルYouTuber、決意の……
第63話 林間学校のやり直し
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オレたちは今、星梨おばさんのレンタカーでキャンプ場を目指している。先導するのは、小春さんら森本家ご一行。関西YouTuber、『タコ足配線』の面々だ。
「アタシ、タコ足配線の人と生でしゃべるの初めて。いつもリモートだし」
「関西ローカルの買い物番組を教えてもらったのも、リモートだったよね」
モミジが、夢希と話しながら興奮している。
「ファンだったのか?」
「ずっとたこ焼き食べたくてさ」
「絶品だったからな。食べる機会があったら、ぜひ食ってみてくれ」
多分だが鉄板か、たこ焼き器なども用意しているはずだ。
「子どもたちも、夏休みの自由研究で屋台を作ったらしいぞ」
「見た見た! 動画で見せてもらった。案外本格的でさ、でも大五郎台車をベースに作っちゃったから、体育館に入らねえって怒られたんだよね」
オレは夢希とモミジの三人で、ゲラゲラと笑い合う。
「どうしたの、快斗? しんみりしちゃって」
夢希が心配してくれた。
「そうだよ。こんな雑談がしたかったんだよ、オレたちは。なあ夢希」
「うん、だよね」
二人で、当時を思い起こす。
「どしたん、ふたりとも?」
「いやさ、実はオレたち、林間学校でロクな思い出がないんだよ」
オレと夢希は、同じ中学である。
当時、オレたちは林間学校でキャンプをする……はずだった。
しかし、当時はゲリラ豪雨に見舞われてしまう。山の天気は変わりやすい。だが学校側は、油断していたのである。
おかげでキャンプは中止に。コテージでおとなしくすることを余儀なくされた。弾丸宿泊だったので、他の客と混ざってしまったのである。
自分たちで作るはずだったカレーも、宿泊施設のものをいただいた。
教員は責任をなすりつけ合い、あまりいい思い出がない。
学校から支給されたメスティンも、色褪せて見えたのを覚えている。
だからオレと夢希は、ずっとやり直したいと思っていた。キャンプを、つまらない思い出にしたくない。
今日こそ、リベンジを果たしたかった。
「ああ、あるよね。そういうときってさ。不運は重なるんよ。アタシは、修学旅行とか言っていないけど」
「お前は、休学していたんだよな」
モミジは、もっと思い出がないんだ。
「だからさ、今日はユノともムギとも遊ぶから。楽しみなんだよね」
「おっ。存分に楽しもう」
「夜はテントで、女子トークしようよ」
夢希と、モミジがお菓子をシェアし合いながら盛り上がる。
「あ、そうそう。最終日にはちゃんと返すから。ムギのこと」
「ん?」
「なんでもなーい」
なぜか、モミジは夢希とニヤニヤし始めた。
「サービスエリアによりますよー」
運転をベニマル先生と交代するため、星梨さんがサービスエリアに車を入れる。
「アタシ、タコ足配線の人と生でしゃべるの初めて。いつもリモートだし」
「関西ローカルの買い物番組を教えてもらったのも、リモートだったよね」
モミジが、夢希と話しながら興奮している。
「ファンだったのか?」
「ずっとたこ焼き食べたくてさ」
「絶品だったからな。食べる機会があったら、ぜひ食ってみてくれ」
多分だが鉄板か、たこ焼き器なども用意しているはずだ。
「子どもたちも、夏休みの自由研究で屋台を作ったらしいぞ」
「見た見た! 動画で見せてもらった。案外本格的でさ、でも大五郎台車をベースに作っちゃったから、体育館に入らねえって怒られたんだよね」
オレは夢希とモミジの三人で、ゲラゲラと笑い合う。
「どうしたの、快斗? しんみりしちゃって」
夢希が心配してくれた。
「そうだよ。こんな雑談がしたかったんだよ、オレたちは。なあ夢希」
「うん、だよね」
二人で、当時を思い起こす。
「どしたん、ふたりとも?」
「いやさ、実はオレたち、林間学校でロクな思い出がないんだよ」
オレと夢希は、同じ中学である。
当時、オレたちは林間学校でキャンプをする……はずだった。
しかし、当時はゲリラ豪雨に見舞われてしまう。山の天気は変わりやすい。だが学校側は、油断していたのである。
おかげでキャンプは中止に。コテージでおとなしくすることを余儀なくされた。弾丸宿泊だったので、他の客と混ざってしまったのである。
自分たちで作るはずだったカレーも、宿泊施設のものをいただいた。
教員は責任をなすりつけ合い、あまりいい思い出がない。
学校から支給されたメスティンも、色褪せて見えたのを覚えている。
だからオレと夢希は、ずっとやり直したいと思っていた。キャンプを、つまらない思い出にしたくない。
今日こそ、リベンジを果たしたかった。
「ああ、あるよね。そういうときってさ。不運は重なるんよ。アタシは、修学旅行とか言っていないけど」
「お前は、休学していたんだよな」
モミジは、もっと思い出がないんだ。
「だからさ、今日はユノともムギとも遊ぶから。楽しみなんだよね」
「おっ。存分に楽しもう」
「夜はテントで、女子トークしようよ」
夢希と、モミジがお菓子をシェアし合いながら盛り上がる。
「あ、そうそう。最終日にはちゃんと返すから。ムギのこと」
「ん?」
「なんでもなーい」
なぜか、モミジは夢希とニヤニヤし始めた。
「サービスエリアによりますよー」
運転をベニマル先生と交代するため、星梨さんがサービスエリアに車を入れる。
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