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第六章 コラボ相手は関西人
第33話 夢希《ムギ》のライバル?
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「癒乃。あんたらも。お客さんやで。ちゃんとあいさつしなさい」
「はーい。森本 癒乃です」
癒乃さんと名乗ったショートヘアの女性が、頭を下げた。
「あんたら、先に風呂入り。お姉ちゃん、ちょっとこの人らと話があるから」
弟たち二人が、「はーい」と手を挙げる。大二郎さんの腕を引っ張って、風呂場へと消えていった。
子どもたちが入浴をしている間、夕飯の支度に。
献立は、小春さん手作りのコロッケだ。
「アイスもらうな」と、癒乃さんは三人分の棒アイスを冷凍庫から出す。夢希には普通に渡して、オレには恐る恐るで。
「この方、どなた?」
「わたしの恋人」
「うそやん! あんたカレシできたん!?」
夢希は中学時代、テニスを通じて癒乃さんと知り合いになったらしい。
「斎藤 快斗です」
「ほえええ。あ、ウチは……ええか。さっき言うたもんな。タメ語でええわ」
癒乃さんは呆けたまま、黙々とアイスを頬張る。
「ウチと夢希は、総合体育大会でしか、会ったことないねん。せやけどライバル同士でな」
「そうだったのか」
中学時代はラケットを持って登校していたので、夢希がテニスをやっていたことは知っていた。しかし、こんな友達がいたとは。
「なんの用事で来たん? ウチに会いに来たとかとはちゃうよね? 家教えてへんし」
夢希は、事情を説明する。
「ああ、お父ちゃんとお母ちゃんに用事やったん? 動画関係なんかぁ。そういうつながりがあったなんてなあ」
「わたしも、まさか癒乃ちゃんのご両親がタコ足配線の二人だなんて知らなかったよ」
「動画出てへんもんな。一〇歳からテニス始めて、身体つきがエロくなってきてやあ。人に見せたくないんよ」
そういう事情があったのか。
癒乃さんは夢希とは対照的に、スレンダーだ。そこが逆に、引き締まったように見える。健康的な色気というか。その露出がイヤで、癒乃さんは女性とばかりつるむようになったそうだ。
「出たでー。癒乃ー」
「はいはい。あんたらも、ゴハンよばれていってな」
風呂に向かった癒乃さんが、オレたちに声をかけてくる。
「え、よばれ?」
一瞬、言葉の意味がわからなかった。
「よばれろ」とは関西弁で、「食べていけ」という意味らしい。
息子二人の風呂を終えてから、大二郎さんがキャベツを千切りにしていく。太い腕からは想像もつかないほどの、丁寧な仕事だ。これが、割烹で鍛えた腕前か。
森本家の長男次男は、コロッケのタネを丸めて、コロッケの形にしていく。子どもたちは手伝いたがりらしく、夫婦は好きなようにさせていた。
「おやつがタコ焼きやったから、もうええかなって」
大小様々なコロッケが、揚がっていく。
丸形のたこ焼き型コロッケは女性陣が、野球ボール大のコロッケは、オレたちが食べることに。
「はーい。森本 癒乃です」
癒乃さんと名乗ったショートヘアの女性が、頭を下げた。
「あんたら、先に風呂入り。お姉ちゃん、ちょっとこの人らと話があるから」
弟たち二人が、「はーい」と手を挙げる。大二郎さんの腕を引っ張って、風呂場へと消えていった。
子どもたちが入浴をしている間、夕飯の支度に。
献立は、小春さん手作りのコロッケだ。
「アイスもらうな」と、癒乃さんは三人分の棒アイスを冷凍庫から出す。夢希には普通に渡して、オレには恐る恐るで。
「この方、どなた?」
「わたしの恋人」
「うそやん! あんたカレシできたん!?」
夢希は中学時代、テニスを通じて癒乃さんと知り合いになったらしい。
「斎藤 快斗です」
「ほえええ。あ、ウチは……ええか。さっき言うたもんな。タメ語でええわ」
癒乃さんは呆けたまま、黙々とアイスを頬張る。
「ウチと夢希は、総合体育大会でしか、会ったことないねん。せやけどライバル同士でな」
「そうだったのか」
中学時代はラケットを持って登校していたので、夢希がテニスをやっていたことは知っていた。しかし、こんな友達がいたとは。
「なんの用事で来たん? ウチに会いに来たとかとはちゃうよね? 家教えてへんし」
夢希は、事情を説明する。
「ああ、お父ちゃんとお母ちゃんに用事やったん? 動画関係なんかぁ。そういうつながりがあったなんてなあ」
「わたしも、まさか癒乃ちゃんのご両親がタコ足配線の二人だなんて知らなかったよ」
「動画出てへんもんな。一〇歳からテニス始めて、身体つきがエロくなってきてやあ。人に見せたくないんよ」
そういう事情があったのか。
癒乃さんは夢希とは対照的に、スレンダーだ。そこが逆に、引き締まったように見える。健康的な色気というか。その露出がイヤで、癒乃さんは女性とばかりつるむようになったそうだ。
「出たでー。癒乃ー」
「はいはい。あんたらも、ゴハンよばれていってな」
風呂に向かった癒乃さんが、オレたちに声をかけてくる。
「え、よばれ?」
一瞬、言葉の意味がわからなかった。
「よばれろ」とは関西弁で、「食べていけ」という意味らしい。
息子二人の風呂を終えてから、大二郎さんがキャベツを千切りにしていく。太い腕からは想像もつかないほどの、丁寧な仕事だ。これが、割烹で鍛えた腕前か。
森本家の長男次男は、コロッケのタネを丸めて、コロッケの形にしていく。子どもたちは手伝いたがりらしく、夫婦は好きなようにさせていた。
「おやつがタコ焼きやったから、もうええかなって」
大小様々なコロッケが、揚がっていく。
丸形のたこ焼き型コロッケは女性陣が、野球ボール大のコロッケは、オレたちが食べることに。
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