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第一章 おひとりさま男子、カップル配信始めました。
第4話 カップルYouTuber
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配信って、動画投稿サイトで?
「カップルYouTuberって、今じゃかなりの人気なのよ。それをおやんなさい」
オレたちがいい感じだったのを理由に、カップルYouTuberをやってみてはと、叔母の星梨は提案する。ちゃんと、洗い物までしてくれながら。食洗機にブチ込んだだけだが。
「待ってくれ待ってくれ。カップルってことは、ちゃんとカップル同士で配信するんだよな。そもそも、オレたちはカップルではない」
「じゃあ快斗は、白浜ちゃんが好きじゃないの?」
「それは……」
別に、嫌いというわけじゃない。現に、また会う約束を取り付けている。
「ほらほらどうなの? 食洗機、済んじゃったじゃん」
星梨おばさんが皿を拭き、棚へ直していく。
白浜さんに、オレは顔を向けた。
困り顔で、白浜さんはオレから視線をそらす。ずっと頬に手を当てていた。
変な間が、できてしまっている。
「ほらあ。お互い、まんざらでもないじゃん」
満足気に、星梨おばさんは笑う。冷蔵庫から缶のジンソーダを出して、ソファに座ってあおった。
「謝礼は出すわ。一応、会社経営者なので」
「経営者なんですか?」
「あたしの会社は、一〇八件まであるぞ」
あまりのぶっ飛び発言に、白浜さんは困惑する。
「星梨おばさんはビジネスオーナーでもあり、資産家なんだよ」
オレは、白浜さんに種明かしをする。
「デイトレーダー的な?」
「違うんだなー。フリーターから初めて、二〇代から全世界系インデックスファンドにブチ込んできたの」
インデックスファンドとは、ロボットが選んだ銘柄の詰め合わせパックにちょっとずつ投資するファンドのことだ。人の手が入るアクティブファンドと違い、色々とお得らしい。
「日本、海外、一〇八もの全世界の優良企業に投資できるインデックスファンドに、毎月バイト代の半分、一〇万前後を全世界の企業つぎ込んでいったのよ」
それを二〇代の頃から初めて、雪だるま式に資産が増えていったのである。
「同じように投資してきた仲間の奴らは、デカく稼ごうとして、仮想通貨やFXに手を出して、みんな溶けたわよ」
「ああ、FXって有名ですよね」
「そういう怖いことをする奴らがいっぱいいたから、彼らを反面教師にして投資の勉強を続けたの。だから、予算は安心なさい」
資産を元手に、星梨おばさんは複数の事業を始めたらしい。配信業も、その一つだという。ただあくまでも、余剰資金での配信だとか。
「YouTuberって駆け出しはまったくお金が発生しないって聞くけどな」
「完全に、娯楽でやるから、バズとか気にしてない。撮れ高は気にするけど」
こちらが不快になるような企画は、避けてくれるという。
「わたし、バイトが」
「続けてもいいし、やめてもいい」
バイト代より高めの賃金を渡すと、星梨おばさんは約束した。
「じゃあ、やめてきます」
「いいの?」
「撮影する時間などを考慮すると、やめたほうがいいかなって」
「わかった。家もここを提供するから」
謝礼どころか、家にまで住んでいいというからな。
「一緒に住むんですか? 斎藤くんと?」
「そういうことになるわね。タマワンは手放していいわよ」
「手放せって、わたしの一存で決めても?」
「ご両親の承諾済みよ」
オレたちが話している間に、メールで決めてきたという。
星梨おばさんって、白浜さんの両親と、知り合いだったのか?
「でも、わたしには婚約者が」
そうだ。それが一番の懸念材料じゃねえか。
カップルなんて、フリでもいい。
しかし、白浜さんには本物の婚約者がいる。
だから白浜さんは、学生の間だけ自由を謳歌しているのに。
「ああ、それなら、眼の前にいるわよ?」
「眼の前って?」
「すぐとなり」
白浜さんが、オレの方を向く。再び星梨おばさんに向き直った。
星梨おばさんが、小さくうなずく。
「えーっ」
「えええええ!」
オレが白浜さんの、婚約者だって!?
「カップルYouTuberって、今じゃかなりの人気なのよ。それをおやんなさい」
オレたちがいい感じだったのを理由に、カップルYouTuberをやってみてはと、叔母の星梨は提案する。ちゃんと、洗い物までしてくれながら。食洗機にブチ込んだだけだが。
「待ってくれ待ってくれ。カップルってことは、ちゃんとカップル同士で配信するんだよな。そもそも、オレたちはカップルではない」
「じゃあ快斗は、白浜ちゃんが好きじゃないの?」
「それは……」
別に、嫌いというわけじゃない。現に、また会う約束を取り付けている。
「ほらほらどうなの? 食洗機、済んじゃったじゃん」
星梨おばさんが皿を拭き、棚へ直していく。
白浜さんに、オレは顔を向けた。
困り顔で、白浜さんはオレから視線をそらす。ずっと頬に手を当てていた。
変な間が、できてしまっている。
「ほらあ。お互い、まんざらでもないじゃん」
満足気に、星梨おばさんは笑う。冷蔵庫から缶のジンソーダを出して、ソファに座ってあおった。
「謝礼は出すわ。一応、会社経営者なので」
「経営者なんですか?」
「あたしの会社は、一〇八件まであるぞ」
あまりのぶっ飛び発言に、白浜さんは困惑する。
「星梨おばさんはビジネスオーナーでもあり、資産家なんだよ」
オレは、白浜さんに種明かしをする。
「デイトレーダー的な?」
「違うんだなー。フリーターから初めて、二〇代から全世界系インデックスファンドにブチ込んできたの」
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「日本、海外、一〇八もの全世界の優良企業に投資できるインデックスファンドに、毎月バイト代の半分、一〇万前後を全世界の企業つぎ込んでいったのよ」
それを二〇代の頃から初めて、雪だるま式に資産が増えていったのである。
「同じように投資してきた仲間の奴らは、デカく稼ごうとして、仮想通貨やFXに手を出して、みんな溶けたわよ」
「ああ、FXって有名ですよね」
「そういう怖いことをする奴らがいっぱいいたから、彼らを反面教師にして投資の勉強を続けたの。だから、予算は安心なさい」
資産を元手に、星梨おばさんは複数の事業を始めたらしい。配信業も、その一つだという。ただあくまでも、余剰資金での配信だとか。
「YouTuberって駆け出しはまったくお金が発生しないって聞くけどな」
「完全に、娯楽でやるから、バズとか気にしてない。撮れ高は気にするけど」
こちらが不快になるような企画は、避けてくれるという。
「わたし、バイトが」
「続けてもいいし、やめてもいい」
バイト代より高めの賃金を渡すと、星梨おばさんは約束した。
「じゃあ、やめてきます」
「いいの?」
「撮影する時間などを考慮すると、やめたほうがいいかなって」
「わかった。家もここを提供するから」
謝礼どころか、家にまで住んでいいというからな。
「一緒に住むんですか? 斎藤くんと?」
「そういうことになるわね。タマワンは手放していいわよ」
「手放せって、わたしの一存で決めても?」
「ご両親の承諾済みよ」
オレたちが話している間に、メールで決めてきたという。
星梨おばさんって、白浜さんの両親と、知り合いだったのか?
「でも、わたしには婚約者が」
そうだ。それが一番の懸念材料じゃねえか。
カップルなんて、フリでもいい。
しかし、白浜さんには本物の婚約者がいる。
だから白浜さんは、学生の間だけ自由を謳歌しているのに。
「ああ、それなら、眼の前にいるわよ?」
「眼の前って?」
「すぐとなり」
白浜さんが、オレの方を向く。再び星梨おばさんに向き直った。
星梨おばさんが、小さくうなずく。
「えーっ」
「えええええ!」
オレが白浜さんの、婚約者だって!?
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