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第三章 Est-ce que votre jeunesse brille?(君の青春は輝いているか)

男爵よ、余の顔を忘れたか!

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「なんだお前たちは、揃いも揃って不法侵入じゃないか!」
 アゴ割れ男爵が、アンたちの方を手で払う。

 アンが、ディプレシの前に立った。
「こんなところに地下要塞を作っていたとは、男爵!」

「冒険者風情が、生意気を言いおって!」





「……ディプレシ男爵よ、余の顔を忘れたか!」






 名指しされた男爵が、機嫌悪そうにアンの顔を覗き込む。途端、冷や汗まみれに。


「ななな、おお王妃殿下ぁ!」
 態度を急変させ、ディプレシが土下座をした。


「その方、国に黙ってこんな地下要塞を建造、ならびに毒ガスで住民を苦しめようとしていた。証拠はすべて応酬してある。おとなしく裁きを受けよ!」

 アンに問い詰められ、男爵がさらに頭を低くする。

「ましてや、子どもたちを実験道具として殺そうとするなど言語道断! 許すわけにはいかぬ!」


「ははーあ」
 ドロテも土下座した。

「ふふふ。かかかかっ」

「貴様、不敬だぞ!」
 デュプレシがドロテの無礼をたしなめる。
 だが、ドロテは笑うことをやめない。

「あはははー。まさか、お相手が王妃殿下だったとはねぇ。いいじゃないか。面白くなってきた。さて殿下、あんたはどうやって泣くんだい!」

「試して、みなさい!」

 チャキッと、アンの剣が鳴った。

「やっちまいな!」
 ドロテが配下に指示する。

 武装した兵士たちが集まってきた。

 刃のない銀の剣を振り下ろし、アンは兵隊たちを撃退する。
 一人には胴を払い、一人には背中に叩き込む。
 後ろの敵は足を払う。
 迫り来る悪党へ剣を打ち込んでいった。

「ええい、だらしない! ダ・ヴィンチから殺すんだよ!」
 
 ドロテの指令を受け、兵士が照準をレオに移す。


 動いた瞬間、ドロテの配下たちは切り裂かれた。歩いているだけの日本人に。イコである。居合いの速度が見えず、歩いているだけにしか見えないのだ。

「寄らば、斬り捨てる!」
 イコは、レオとジャネットを守る状態に。

「まだ新手がいたのかい! やれ!」

 四方から、配下が続々と集まってくる。

 アンは、ドロテの手下を次々と打ち倒す。

 別の戦場で、フランチェが長い槍を操って敵をなぎ倒していた。

 旋回する槍の攻撃で、多数の兵士が斬り捨てられていく。

 敵が三方向から、フランチェを攻める。

「ぬうう!」
 フランチェは、槍の柄を捻った。

 柄が三つに分裂する。つなぎ目は、鎖で繋がっていた。

「あれは東洋の武器、三節棍でありますな」
 解説しながら、レオがヒゲを撫でる。

 三方向からの攻撃を、フランチェは見事に防ぐ。

 彼は、元々槍使いだったようだ。ロングソードは補助武器だったらしい。
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