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第五問 ガウチョは何語? ~クイズ番組研究部の休日~

特別企画「おそとでクイズ」!

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 モールの隣にある国立公園を、収録現場として使うことになった。

 あちこちで、家族らしき団体がビニールシートを広げてピクニックをしている。
 飼い主とフリスビーを用いて遊んでいる犬もいた。
 人もまばらだ。多少騒いでも迷惑にはならないだろう。

「おまたせー」

 やなせ姉が現れた。慶介と腕を組んで、スキップをしながら。彼女も、ガウチョパンツで揃えてきた。

「いつの間にそんなの買ったんだよ?」
「さっきよー。イエーイ!」

 彼女の服装は、七分丈のデニム柄ガウチョと、木の皮を編み込んだサンダルである。さっき買ったばかりなのに、まるでオーダーメイドのように似合っていた。

「さあ、始まってしまいました。本日のクイズ番組研究会! 今回はなんと! 初の、野外ロケでございます!」 

 僕がセリフを言うと、嘉穂さん達が「わーっ」と拍手してくれた。
 慶介にデジカメを持ってもらっている。ポータブルサイズの八ミリだ。スマホでもいいが、画質や確実性を考えるとビデオの方がいいだろう。

「では、クイズ番組研究会番外編、スタートします」

 画面の向こう側にいる想定視聴者を煽りつつ、僕はカメラに顔を近づけた。

 女性陣をなめるように、慶介がカメラを動かす。

「わーいわーい」

 女性陣は、僕の周りをコント走りで駆け回る。かなり張り切ってるな。

 気がつけば、何事かとギャラリーができていた。といっても子供とお年寄りばかりだが。

 屋外でカメラを回しているせいか、女性陣のテンションが妙に高い。

「福原くん、今日はどんな形式のクイズなんですか?」

 嘉穂さんが質問してきた。

「えっと、今日はですね」
「何なのだ?」
「何だろーねー?」

 のんと湊がこちらのタイミングを無視して問答する。やっぱりテンションが高いな。

「今回のクイズ形式は、一問多答クイズです!」
「おおおおおーっ!」

 大げさに、女性グループが驚いた。
 複数の回答がある問題を、一人ずつ答えてもらう形式のクイズである。

「今回は、番組研の四人で答えてもらいます」

 やなせ姉が前に出た。

「ということは、ワタシも参加で?」

 彼女は、自分の胸に手を当てる。
 
「はい。今回は特別編と言うことで、来住先輩も選手として参加してもらいます!」

「いえーい!」

 女性陣がハイタッチでやなせ姉を迎え入れた。

「アシスタント改め来住選手。今日の意気込みを一言でお願いします!」
「足を引っ張らないように頑張りまーす」

 マジでテンションが高いな、今日の番組研は。
 
「全部で、四問出題します。一問だけ間違えでも構いません。ですが、二問間違えると、番組側の勝利となります」

「二問間違えたらどうするんだ?」
「誰かが代表してインタビュー動画を撮って、福原のオカズになるんだよね?」
「するか!」

 個人的に楽しむわけないだろ!
 
「三問無事に正解したら、何かあげましょう! 今日は急な企画にも付いてきてくれましたし」

「いえーい!」

 僕が提案すると、拍手はより大きな物へと変わった。

「それでは参りましょう! 第一も――」
「待った!」

 突然、西畑からストップが掛かる。何か問題があったか?

「どうした、西畑?」
「すまん、男には言いにくい。やなせさん、ちょっと」

 なぜか西畑は、僕ではなくやなせ姉を呼ぶ。
 彼の耳打ちを受けた後、やなせねえが僕に近づいてきた。

「どうしたの、やなせ姉?」
 
「それがね、湊ちゃんのガウチョから下着が透けてるって」

 僕は絶句する。一瞬湊の方を見た。
 確かに、彼女のガウチョパンツだけ生地が薄い。そのため、わずかに光を通している。

 そのせいで、ブルーの布地がぼやけて見えていた。

 中にスパッツを穿いているのんは無事。
 厚手の生地で決めた嘉穂さんも、セーフだ。
 
 やなせ姉の発言を聞いた湊は、頬を真っ赤に染める。

「ひゃあああああああ!」

 突如、湊は悲鳴を上げて、しゃがみ込んでしまった。
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