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バーチャル配信者、女装配信中に妹フラ
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「どうやったら、かわいくなるんだ?」
ヴァーチャル配信者にとって、かわいさは必須だ。
特に、オレのようなバ美肉、つまり「美少女アバターを使う男性配信者」にとっては。
なんとしても人気を得て、底辺から脱出を。
「やはり形から入らなければダメだ!」
そう思って、オレは通販で買った男性用の女装セットに着替えた。
画面に写しはしないが、「女装中」というリアルタイム配信をしてみた。
おお、見たこともない数字を叩き出しながら、カウンターが回っているぞ。
「よし、着替え終わったぞみんな。あ、いや見せられないんだ。スマン」
「見せられないならいいや」と帰っていく者、「妄想で楽しむ」ととどまってくれている者、どちらも大事なリスナーだ。
「オレも女装してみる」という者に至っては、同士とも言える。
しかし、オレの女装姿は……。
うむ。度し難い。
「リスナーのみんな。なんか度し難いぞ!」
思いの丈を、リスナーにぶつけてみる。
それにしても、なんだこの背徳感は?
オレはおっさんなのに。
胸の高鳴りが止まらない!
しかし、なにかが不足している。
もっとだ。もっとかわいさを!
「まだだ! まだ足りない! なんか美意識が斜めっている!」
こういうのはどうだろう?
うさみみポーズを鏡の前で取ってみる。
うむ。やはり度し難い。
言い逃れできないレベルのヘンタイが、鏡の中にいた。
アバターにしている美少女キャラクターは、かわいいのに。
「かわいくねえ! なぜだ!? やはり元の素材がダメか?」
リスナーに嘆きを知らせる。
『語尾に「ぴょん」でもつけたら、カワイさワンチャンあるかも』
「そうぴょんか? これでかわいくなるぴょんか? じゃあためしてみるぴょ……」
部屋のドアを見てみると、わずかに開いていた。
そこには、こちらをじっと見ている視線が。
オレたちは、同時に絶叫する。
妹に見られた!
女装してうさみみポーズを取っているところを!
もう殺すしかねえ!
いやさすがに殺しはせんが!
『妹フラだ!』
『炎上不可避?』
『妹が兄の秘密を握って、アレな展開になる薄い本マダー?』
配信のコメントも、妙に盛り上がっていた。
慌てて、配信を中止する。
「違うんだこれは罰ゲームでだなぁ!」
「よるなお兄ちゃんがどんな姿でもわたしはお兄ちゃんの味方だけどよるな」
弁解しようと近づいたら、妹は後ろに下がっていった。
「本当に罰ゲームなんだ。この間、お兄ちゃんゲームして一回戦負けしただろ?」
妹がコクコクとうなずく。
彼女は、オレのアバターの「ママ」、つまり作成者である。
当然、オレが配信をしていることを知っていた。
「それで、通販サイトの『欲しい物リスト』に入れさせられたんだ。それが今日届いただけで」
「着る必要はないじゃん」
「だってお前じゃサイズが大きすぎるし、お兄ちゃんが着るしかないから」
「転売すればいいじゃん」
「相手先に行ってしまったら失礼だろ? オレが着るしかないんだよ」
妹は、納得しているのかしていないのか複雑な顔をする。
「わかった。わたしの服を勝手に着ていないだけマシと考えることにする」
「誰にも言うなよ?」
こんな格好をするのも、今日だけだし。
「それはさすがに言えない」
妹も了承したようだ。
だが後日、オレはやはり女装を捨てきれない。
あのピッチリとした服の感触や、スカートのスースーする感覚は、忘れ難かった。
最後の一度だけと心に決めて、再び女装してみる。
今度は、父がオレの部屋に上がりこんだ。
「配信、見てたぞ」
魔法少女の姿でサムズアップをしながら。
「ところでお前と娘がイチャラブ展開になる薄」
「ねえから」
ヴァーチャル配信者にとって、かわいさは必須だ。
特に、オレのようなバ美肉、つまり「美少女アバターを使う男性配信者」にとっては。
なんとしても人気を得て、底辺から脱出を。
「やはり形から入らなければダメだ!」
そう思って、オレは通販で買った男性用の女装セットに着替えた。
画面に写しはしないが、「女装中」というリアルタイム配信をしてみた。
おお、見たこともない数字を叩き出しながら、カウンターが回っているぞ。
「よし、着替え終わったぞみんな。あ、いや見せられないんだ。スマン」
「見せられないならいいや」と帰っていく者、「妄想で楽しむ」ととどまってくれている者、どちらも大事なリスナーだ。
「オレも女装してみる」という者に至っては、同士とも言える。
しかし、オレの女装姿は……。
うむ。度し難い。
「リスナーのみんな。なんか度し難いぞ!」
思いの丈を、リスナーにぶつけてみる。
それにしても、なんだこの背徳感は?
オレはおっさんなのに。
胸の高鳴りが止まらない!
しかし、なにかが不足している。
もっとだ。もっとかわいさを!
「まだだ! まだ足りない! なんか美意識が斜めっている!」
こういうのはどうだろう?
うさみみポーズを鏡の前で取ってみる。
うむ。やはり度し難い。
言い逃れできないレベルのヘンタイが、鏡の中にいた。
アバターにしている美少女キャラクターは、かわいいのに。
「かわいくねえ! なぜだ!? やはり元の素材がダメか?」
リスナーに嘆きを知らせる。
『語尾に「ぴょん」でもつけたら、カワイさワンチャンあるかも』
「そうぴょんか? これでかわいくなるぴょんか? じゃあためしてみるぴょ……」
部屋のドアを見てみると、わずかに開いていた。
そこには、こちらをじっと見ている視線が。
オレたちは、同時に絶叫する。
妹に見られた!
女装してうさみみポーズを取っているところを!
もう殺すしかねえ!
いやさすがに殺しはせんが!
『妹フラだ!』
『炎上不可避?』
『妹が兄の秘密を握って、アレな展開になる薄い本マダー?』
配信のコメントも、妙に盛り上がっていた。
慌てて、配信を中止する。
「違うんだこれは罰ゲームでだなぁ!」
「よるなお兄ちゃんがどんな姿でもわたしはお兄ちゃんの味方だけどよるな」
弁解しようと近づいたら、妹は後ろに下がっていった。
「本当に罰ゲームなんだ。この間、お兄ちゃんゲームして一回戦負けしただろ?」
妹がコクコクとうなずく。
彼女は、オレのアバターの「ママ」、つまり作成者である。
当然、オレが配信をしていることを知っていた。
「それで、通販サイトの『欲しい物リスト』に入れさせられたんだ。それが今日届いただけで」
「着る必要はないじゃん」
「だってお前じゃサイズが大きすぎるし、お兄ちゃんが着るしかないから」
「転売すればいいじゃん」
「相手先に行ってしまったら失礼だろ? オレが着るしかないんだよ」
妹は、納得しているのかしていないのか複雑な顔をする。
「わかった。わたしの服を勝手に着ていないだけマシと考えることにする」
「誰にも言うなよ?」
こんな格好をするのも、今日だけだし。
「それはさすがに言えない」
妹も了承したようだ。
だが後日、オレはやはり女装を捨てきれない。
あのピッチリとした服の感触や、スカートのスースーする感覚は、忘れ難かった。
最後の一度だけと心に決めて、再び女装してみる。
今度は、父がオレの部屋に上がりこんだ。
「配信、見てたぞ」
魔法少女の姿でサムズアップをしながら。
「ところでお前と娘がイチャラブ展開になる薄」
「ねえから」
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